小1国語科「てがみでしらせよう」板書例&全時間の指導アイデア

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国語科 令和6年度版 新教材を活用した授業づくりー文部科学省教科調査官監修の実践提案ー
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1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
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文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小1国語科「てがみでしらせよう」(光村図書)の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した全時間の授業実践例を紹介します。

 小一 国語科 教材名:てがみでしらせよう(光村図書・こくご 一下)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/相模女子大学学芸学部 子ども教育学科専任講師・成家雅史
執筆/東京学芸大学附属小金井小学校・廣瀬修也

1. 単元で身に付けたい資質・能力

この単元では、手紙を書くことが主な言語活動となり、身に付けたい資質・能力は大きく三つあります。
1点目は、「丁寧な言葉と普通の言葉の違いに気付き、丁寧な言葉を使った文章に慣れること」です。1年生の児童は、日常生活において普通の言葉で話すこともあれば、丁寧な言葉を使うこともあるでしょう。ですが、丁寧な言葉を使って「書くこと」には、まだ慣れていない児童もいると思います。
この単元に入るまでに様々な場面で書く経験をしてきているので、丁寧な言葉を使って文を書いた経験を振り返るとよいでしょう。

2点目は、「自分が書いた文章を読み返す習慣をつけ、間違いを正したり、語と語や文と文との続き方を確かめたりできること」です。児童は、自分が書いた文や文章に間違いがあることに気付けないことがあります。それは、読み返す習慣がないことが原因だと言えます。
特に、手紙を書く場合には読み手のことを考えて、間違いがないか、伝えたいことがはっきりしているかを確認する習慣をつけることが重要です。

3点目は、「語と語や文と文の続き方に注意しながら、内容の書き表し方を工夫できること」です。
手紙は、受け取った相手が読みやすく、内容を把握しやすいことが大切です。思い付いたことを羅列していくだけでは、脈絡がなく言いたいことが伝わらない文章になってしまいます。そこで、書き表す順番や段落の使い方等を学級全体で確認した上で、手紙を書き始めていく必要があります。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

「手紙を書くこと」が本単元における言語活動です。
そもそも手紙とは、誰かに伝えたいことがあって書くものです。まずは、手紙とはどういうものなのか、何のために書くのか、誰に宛てて書くのかを明確にします。

現在では、SNSやメール等でのやりとりが主流になっており、1年生でも日常生活でタブレットやスマートフォンを使うことは珍しくありません。中には「なぜ、わざわざ手紙を書く必要があるのか」と感じている児童がいるかもしれません。そこで、相手に伝えるための言葉を考えることで、書き表し方を工夫できるようになることを、児童が実感できるようにしていきます。

本単元では、手紙を書く相手を決め、内容を考えます。この手紙の内容を考えることが、単元における主な学習内容となります。手紙の内容を考えることは、一度立ち止まってから伝えたい内容を見直すことにもつながり、日常生活にも役立つ力と言えるでしょう。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉  知らせたいことを手紙にする

1年生は、見るもの聞くものが新鮮に感じて日々新しい発見をしています。担任に対しても「先生あのね、学校に来るときにとかげを見つけたんだよ」「折り紙で動物の顔を作ったよ」といったように嬉しそうに報告してくれることがあります。「自分が経験したことを伝えたい」という思いを強くもっているのが1年生の特徴でもあります。その「伝えたい思い」を表現する手立ての一つとして、「手紙を書くこと」を学ぶのが本単元です。

児童が主体的になるのは、活動に対して必然性を感じているときです。「伝えたい・共有したい」と思っているときに、その思いを叶える手立てを知るための活動は、児童にとって必要性を感じやすいでしょう。
また、文や文章を書けるようになることは、1年生にとっても大きな喜びになると考えられます。

〈深い学び〉 クラスの友達に書いて、他の人にも書くことで伝えたいことを明確にする

本単元では、クラスの友達に対する手紙と、他の人に対する手紙、二つの手紙を書きます。それは、「伝えたい相手・内容を選び、手紙で伝えるための文や文章を考える」ためです。
1度書いたものを書き直すというのではなく、2度書くことで伝えたいことを明確に伝えられるようにすることが深い学びにつながると考えます。

クラスの友達に書くときと、他の人に書くときとでは、当然、相手意識が変わります。相手意識をもつことで、書き終えた後に自分の文や文章を読み直し、間違いがないか、伝わりづらい箇所はないかを意識できるようになることも重要です。人に伝えるための文や文章を考えることは、今後の生活でも大いに役立ちます。

5. 単元の展開(6時間扱い)

 単元名: てがみで しらせよう

【主な学習活動】
1時
学習の見通しをもつ
・手紙を書いたりもらったりした経験を発表し合う。
・教師から、みんなへの手紙を渡して感想を伝え合う。
・クラスの友達に書く手紙の内容を考える。

2時3時
クラスの友達に手紙を書く
・教科書の例を参考に、書き方を確かめる。
・クラスの友達に「うれしかったこと たのしかったこと」についての手紙を書く。
・書いた手紙に間違いがないか、読み返す。
・友達に渡して感想を伝え合う。

4時5時
他の人に手紙を書く
・自分が伝えたい相手や内容を見つける。(できれば、学校外の人)
・手紙を書く。
・書いた手紙に間違いがないか読み返す。
・手紙を投函したり、直接渡したりする。

6時
学習の振り返りをする
・手紙を書いた感想を共有する。
・教科書の「たいせつ」を読み、知らせたいことを書けたか、字や言葉の間違いを確かめるために読み返せたかを振り返る。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例
「主体的な学び」のために

手紙を書いたりもらったりした経験を共有します。
経験がある児童は、どんな手紙だったのかを積極的に発表したがるでしょう。夏休みの間に、教師から児童たちに暑中見舞いや残暑見舞いを出している場合は、それがどんな手紙だったのかを振り返ることもできます。手紙を書いたことがある児童は、自分の経験を生かして手紙を書けることに意欲的になるでしょう。手紙を書いたことがない児童にとっては、実際に自分で手紙を書けるという新しい経験に期待をもつことが予想されます。

手紙についての経験を共有したら、教科書の文章を読んで「うれしかったことやたのしかったことをてがみにかいてしらせよう」という学習課題を確認します。嬉しかったことや楽しかったことを誰かに知らせたいという思いを大切にしながら本単元をスタートさせます。

中には、自分の経験をすぐには思い出せない児童がいるかもしれません。クラスメイトの経験を聞いて思い出す児童もいるかもしれませんが、教師が具体例を示すことも有効です。

また、嬉しかったことや楽しかったことの他に、できるようになったことやもっと知りたいと思ったこと等も手紙に書いてよいことにすると、手紙の内容もより広がるでしょう。

みなさんは、手紙を書いたりもらったりしたことがありますか。

あります、年賀状を書きました。

夏にお手紙を書きました。

「暑中お見舞い申し上げます」の手紙をもらいました。

今日は、先生、楽しくて嬉しいことがあったので、みんなに知らせたいと思って手紙を書いてきました。

えー、何だろう。

先生の嬉しかったことって何かな。

( 手紙を配付する )

先生の手紙

イラスト/横井智美

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