小2国語「どうぶつ園のじゅうい」板書の技術
今回の教材は、説明文の「どうぶつ園のじゅうい」です。本単元の学習活動は、「獣医師の仕事について考え、考えたことを話し合う」です。そのため、獣医師がどのような仕事をしているのか、そのわけや工夫を読み取っていきます。子供たちに仕事やわけ、工夫などがよく分かるような板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教頭・中井裕子(せせらぎの会) 、
埼玉県公立小学校教諭・正能茉莉(せせらぎの会)
単元名 文章を読んで考えたことを、友だちと話そう
教材名 「どうぶつ園のじゅうい」(光村図書出版)
目次
単元の計画(全10時間)
- どのような内容の教材か想像し、範読を聞き、内容の大体を捉える。
- 時を表す言葉を押さえ、1日の仕事の流れを確認する。感想を交流する。
- 2段落の筆者の仕事を確かめ、そのわけや工夫を読み取る。わけを表す言葉を押さえる。
- 3段落の筆者の仕事を確かめ、そのわけや工夫を読み取る。
- 4段落の筆者の仕事を確かめ、そのわけや工夫を読み取る。
- 5・6段落の筆者の仕事を確かめ、そのわけや工夫を読み取る。
- 7・8段落の筆者の仕事を確かめ、そのわけや工夫を読み取る。
- 筆者の1日を振り返り、毎日することと、この日だけしたことに分ける。
- 筆者の仕事について考えたことをノートに書く。
- 考えたことを話し合い、学習を振り返る。
板書の基本
〇獣医さんの仕事の流れ(いつ、どんな仕事)が分かる板書
いつ、どんな仕事をしていたのか、時を表す言葉に着目させながら整理していき、獣医さんの仕事は多岐にわたっていることを理解させます。時を表す言葉の短冊とともに、時計のイラストを貼ったり、獣医さんの仕事の様子が分かるイラストや写真を貼ったりすることで、仕事の流れや内容の大体を捉えることができるようにします。
〇色分けして分かりやすい板書
2/10時間目では、時を表す言葉を青色の短冊で示し、教科書に線を引くときも青色で統一し、分かりやすくします。
8/10時間目では、獣医さんの仕事を毎日する仕事とその日だけの仕事の2つに分けます。その際に、毎日する仕事は青、その日だけの仕事は赤色で囲み、色を分けることで視覚的に分かりやすくします。
板書を活用した授業の進め方(2/10時間目)
1 本時のめあてを確かめる
題名、作者及び本時のめあて「一日のしごとのながれをかくにんし、かんそうをつたえよう。」を板書します。続いて、めあてを全員で読み、学習の見通しをもたせ、音読(一斉読み)します。
2 「じゅういさんの一日」の仕事の流れを確認する
まず、「じゅういさんの一日」の仕事の流れを確認することを伝え、「じゅういさんの一日」と板書します。次に、時を表す言葉を確認します。時を表す言葉を探し、青で囲ませます。どんな時を表す言葉が出てきたかを挙げさせ、黒板に短冊を貼っていきます。時を表す言葉の短冊(青色)で表します。
2段落には「朝」という時を表す言葉があることを確認し、「朝」と書かれた短冊を貼ります。その後、時計や朝日を表すイラストを貼ります。さらに、仕事の内容として、獣医さんの仕事の様子が分かるイラスト・写真を短冊の下に貼ります。そのときに、仕事の内容のキーワードとして「見回り」と書きます。
2段落と同じように、3段落以降も進めます。子供にはワークシートを用意し、ワークシートに書き込ませます。ワークシートはノートに貼れるサイズにし、すべて書き込んだ後にノートに貼ります。
〈子供に配るワークシート〉
3 獣医さんの1日について感想をもつ
「獣医さんの1日の行動を見てどんなことを思いましたか」と問いかけます。もっとも「驚いた」「もっと知りたい」「すごい」と思った出来事を選び、ワークシートの「えらんだりゆう」の欄に、なぜその仕事を選んだのかという理由を書きます。
次に、それぞれが書いた「えらんだりゆう」を交流する学習活動をします。そして、交流の仕方として、「◎かんそうのつたえかた」と板書し、「一番おどろいたのは~」「もっと知りたいと思ったのは~」「一番すごいと思ったのは~」などの話型を示します。
4 感想を交流する
ペアでどの仕事を選んだかを伝え合い、互いに確認します。自分と違う仕事を選んでいる人の話を聞いたり、同じ仕事でも理由が違う人の話を聞いたりして、なるほどと思ったら、自分のワークシートに付け足すように伝えます。ペアを変えて同じ活動を繰り返します。
5 学習の振り返りをする
本時のめあてが達成できたかを振り返り、仕事の流れが分かったか、感想を伝えることができたかについて、ノートに書かせます。最後に、次時は「朝」の仕事やわけ、工夫を確認することを予告します。
板書を活用した授業の進め方(8/10時間目前半)
1 本時のめあてを確かめる
題名、作者及び本時のめあて「どうぶつ園のじゅういさんの一日をふりかえろう。」を板書します。続いて、めあてを全員で読み、学習の見通しをもたせ、教材文を音読します。
2 獣医さんの1日の仕事を確認する
獣医さんがした仕事について順番に振り返ります。これまで(第3時~第7時)にまとめた表を貼りながら、いつ、どのような仕事をしていたかを確認します。
板書を活用した授業の進め方(8/10時間目後半)
1 毎日する仕事とこの日だけの仕事に分ける
獣医さんの仕事には毎日する仕事とこの日だけの仕事の2つがあることを確かめます。最初に、この日だけの仕事について考えさせます。「この日だけのしごと」と板書し、赤で囲みます。これまで(第3時~第7時)にまとめた表を見ながら、この日だけの仕事はどの仕事か確認します。「おなかにきかいを当てた」「くすりをのませた」「はぐきのちりょうをした」「ボールペンをとりだした」の短冊を順番に貼っていきます。このとき、この日だけの仕事は表の枠を赤で囲んでおきます。
次に、「毎日するしごと」と書き、青で囲みます。表を見ながら毎日する仕事である「どうぶつ園を見回る」「日記を書く」「おふろに入る」という仕事の内容を確認し、短冊を貼ります。「毎日する仕事」は、表の枠を青で囲んでおきます。
2 毎日ある仕事がなぜ大切なのかを考えさせる
毎日ある仕事について考えさせます。毎日見回ることは緊急時に役立つため、日記に記録するのはよりよい治療をするため、お風呂に入るのは病気を外に持ちださないために行っていることを確認し、仕事の意味に気付かせ、黒板の真ん中にまとめて書きます。その後矢印を貼り、毎日する仕事とこの日だけの仕事のつながりが分かるようにします。
3 学習の振り返りをする
本時のめあてが達成できたかを振り返り、獣医さんの1日を振り返ることができたかをノートに書かせます。次時は、自分の身の回りのことと比べて考えたことについて書くことを予告します。
構成/浅原孝子