小5国語「文章に説得力をもたせるには」京女式板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は「文章に説得力をもたせるには」です。この単元の学習活動は、「文章に説得力をもたせる工夫を知り、説得力のある意見文を書くことを想定して話し合うこと」です。本時では、文例から、「ここが説得力だ」と思える工夫をまとめます。説得力の根拠が分かるような3段の板書の工夫を紹介します。

監修/元京都女子大学教授
 同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/京都女子大学附属小学校教頭・砂崎美由紀

 

教材名 「文章に説得力をもたせるには」(光村図書出版)

単元の計画(全2時間)

  1. 「文章に説得力をもたせるには」の全文を読み、文例から工夫を見付ける。
  2. 「毎日を安全に過ごすための方法」についての意見文を書くことを想定して考えを伝え合う。

板書の基本

〇本時では、文例の「西村さんが書いた文章」の中から、「ここが説得力だ」と思える工夫を選び出し、ノートと板書に整理したことを通して、説得力をもたせるための工夫をまとめます。

〇「文章に説得力をもたせるには」を読み、「キーワードとなる言葉は何か」を問います。ここでは、「説得力」「主張」「根拠」の3つをあげました。

それぞれの言葉の意味を確かめます。「説得力」は各自で辞書を引き、ノートに書きます。「主張」「根拠」は、教科書の本文中からその説明している箇所を探させます。見付けた言葉をノートに書くように指示します。3つのキーワードを板書にして、学習時に使う言葉の定義を明らかにします。

板書のコツ(1/2時間目前半)

小5国語「文章に説得力をもたせるには」京女式板書の技術  1/2時間目前半の板書
1/2時間目前半の板書

板書のコツ①

「西村さんが書いた文書」を読み、形式段落の番号を付けます。5つの段落があることを確かめ、それぞれの段落ごとの役割を読み進めていきます。そのために、黒板を3段に分けた表を作ることを示します。1段目は段落番号を書くこと、2段目は本文から見付けた言葉を書くこと、3段目は段落での説得力をもたせるための効果について書くことを示します。

板書のコツ②

子供たちに、ノートに直線を引くときには定規を使うように指示します。教師も同様に板書で直線を引くときには定規を使います。マス目のノートでは、何マス目に線を引くか、けい線のノートでは、上から何㎝に横線を引くかなど、具体的に示します。

子供たちに具体的な線の場所を示すためには、板書計画(教材研究)が必要です。板書計画の際、子供が選びそうな言葉を予想します。どの段落も3行程度あれば記入できるので、「1段落は3~4行ずつ」とノートに線を引くための指示をします。5段落で15行ほどのノートを使うことを知らせます。今回は2段落で4行使いましたので、黒板では2段落が少し広めになっています。

黒板全体を使って板書することで、子供たちは、この表を完成させる学習が本時の中心となること、また、どれくらいの言葉を見付けるとよいかなど、学習の見通しをもつことができます。

板書のコツ③

「西村さんが書いた文章」の「一段落」を全員で読みます。この段落で、一人一人が大切な言葉として見付けた言葉に線を引きます。次にペアで、どこに線を引いたかを話し合います。ここでは、「段落の役目(主張が書かれていること)」を確かめることがめあてですので、文章の要約にならないよう、できるだけ言葉を絞るように指示します。

一段落で見付けた言葉を、全体で共有します。西村さんの主張が表れていることを押さえます。黒板に見付けた言葉を書き、子供たちのノートにも書き込ませます。

このように、「1人学習で言葉を見付ける」「ペアで確認する」「ノートに書く」という学習の手順を、一段落で理解させます。

二段落以降も、「1人学習」「ペア学習」「ノートに書く」を繰り返すことを指示します。 

板書のコツ(1/2時間目後半①)

小5国語「文章に説得力をもたせるには」京女式板書の技術  1/2時間目後半①の板書
1/2時間目後半①の板書

板書のコツ

授業の後半では表の3段目「効果」について考えます。「西村さんが書いた文章」から見付けた言葉が、説得力をもたせるためにどのような効果をもつかを話し合います。2段目の「みつけた言葉」を客観的に見ることで、文章の役目や西村さんの思いに目を向けることができます。

一段落では、「主張をはっきり言っている」、二段落では「西村さんのお母さんの子供の頃の事例をあげている」「名前が見られることが危険であるという具体例が分かる」という意見が出ました。

三段落からの効果について、ペア学習で話し合って進めます。ペアで話し合い、それぞれのノートに書きます。その後、全体の場で発表し確かめます。子供の発表すべてを板書するのではなく、「反論を想定」や「反論への考え」など、子供たちの発表を基に板書します。

まとめの段階では、表の1段目の段落番号の横に、「段落の役割」として「主張」「根拠」「反論」を板書します。表全体を見ることで、文章の構成が視覚化されます。

板書のコツ(1/2時間目後半②)

小5国語「文章に説得力をもたせるには」京女式板書の技術  1/2時間目後半②の板書
1/2時間目後半②の板書

板書のコツ

学習の最後には、一人一人が「学習の振り返り」をノートに書きます。振り返りを書くときに使うキーワードを板書で示します。

本時では、学習のはじめに押さえた3つのキーワードを使って、振り返りを書くことを指示しました。学習の振り返りでは、学んだことと、その学びをこれからどんなときに使えそうかについて考えを書くようにします。次の時間には、本時の学びを生かして、考えを話し合うことを予告して次時の学びへとつなぎます。

 

構成/浅原孝子

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