小6国語「イースター島にはなぜ森林がないのか」板書の技術


今回の教材は、「イースター島にはなぜ森林がないのか」です。本単元で付けたい力は、「筆者の論の進め方を捉えよう」です。本文には、イースター島の森林が失われた理由と結果の因果関係が分かりやすく説明されているため、子供といっしょに筆者の論を分かりやすく整理する板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/大阪府公立小学校教諭・岡本美穂
教材名 「イースター島にはなぜ森林がないのか」(東京書籍)
目次
単元の計画(全7時間)
- 教材文を通読し、初発の感想を交流し、学習計画を立てる。この単元で身に付けたい力を確かめる。
- 原因と結果の関係に着目して筆者の例の挙げ方について確かめる。
- (※2と同様)
- (※2と同様)
- 筆者の論から自分の考えをもち、教材文を根拠にして伝える。
- 書いたものを交流し、自己の考えを広げ、深めていく。
- 単元の学習を振り返る。
板書の基本
本教材は、序論・本論・結論という大きな3つのまとまりで構成されています。イースター島の森林が失われた理由と結果の因果関係が分かりやすく説明されており、本文では題名のとおり、「イースター島にはなぜ森林がないのか」という問いに対しての説明が展開されています。
まず「序論」ではモアイ像で有名なイースター島の紹介がされています。次いで「本論」では森林が失われた原因について書かれています。そこでは主な原因として、1つ目は、まず農地にするために森林が切り開かれたこと。2つ目は、丸木船を作るために森林から太い木が切り出されたこと。3つ目は、宗教的・文化的な目的で森林が伐採されたこと。4つ目は、人間とともに島に上陸し、野生化したラットが、ヤシの木の再生をさまたげたことと書かれています。そしてその結果、森林が失われたとあります。
最後の「結論」では、イースター島がたどった歴史から教えられることと、筆者自身の主張が書かれています。その主張に対して、子供がこれまでの自分の経験や価値観を根拠として考えをもち、主体的に教材文を読み進めることができると考えました。
また、「モアイ像はなぜ作られたのか」や「モアイ像は木を使ってどうやって運ぶのか」「ポリネシア人はなぜ島にやってきたのか」「今のイースター島の様子は」など、興味や疑問をもって楽しみながら学習できる教材であると考えました。そこで、今回は板書を2段に分けることで、比較しながら考えやすいように工夫しました。
板書という視点で授業を考えるときに陥りやすいことが「とにかく、意見すべてを板書しなければ」という気持ちが強いことです。その気持ちが次のような板書になっています。
①事実と子供の考えがまざってしまう。
②子供の意見を教師が勝手に解釈して書く。
③子供の考えだけを書いて板書が終わる。
懸命に書いた板書には、板書に書いた言葉が、本文に書かれていたものなのか、子供の意見や考えなのかが区別できないことが度々あります。その結果、授業に参加している子供は、板書の意図や学習内容が見分けられない板書になることがあるのです。
改善策として、板書する前に、
「○○さんだったら今の意見をどうノートに書く?」
「キーワードはどうしようか?」
と子供に聞いていっしょに考えて書くことも実践しています。