小3算数「棒グラフと表」指導アイデア《目的に応じた資料を集め、分類整理し、表に表す》

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
小3算数「棒グラフと表」指導アイデア タイトル

執筆/さいたま市立桜木小学校教諭・播元和貴
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫

年間指導計画「棒グラフと表」

単元の展開

第1・2時(本時第1時)目的に応じた資料を集め、分類整理し、表に表す。

第3・4時 棒グラフの表し方と、集団の特徴の読み取り。

第5時 グラフを基に見いだしたことを伝え合い、さらに問いを見いだす。

第6・7・8時  目的に合った観点から資料を集め、分類整理し、表やグラフに表す(二次元表や複数の棒グラフを組み合わせたグラフを扱う)。

第9時  いろいろな棒グラフの読み方とかき方。

第10時  グラフを基に見いだしたことを伝え合う。

本時のねらい

データを分類整理する方法や整理した結果を表にまとめる方法を理解する。

評価規準

データを表に適切に分類整理することについて、落ちや重なりがないように確認することができる。(知識・技能)

本時の展開

問題場面

最近3年生のけがが増えているので、けがを減らすためのポスターを作りたいと思います。けがを減らすためにどのようなことを調べたり、ポスターにかいたりすればよいでしょうか。

どのようなけがが多いかを調べるとよいと思います。

いつけがをすることが多いかを調べれば、けがをしないように注意できるよ。

どこでけがをすることが多いが分かると、気を付けられるんじゃないかな。

けがが増えているって、どれくらいの人がけがをしているのかな。数を調べてみたい。

そうですね。それらのことを調べると、けがをしないように注意できそうですね。保健室から記録を借りてきたので、見てみましょう。

※記録表を提示する。

わあ、けがをする人は本当に多いんだね。でも、たくさん書かれていて、このままだと分かりづらいね。

どこから調べたらいいかな。

けがを数えて表をつくると、見やすいんじゃないかな。

そうですね。いろいろなことが記録されているので、まずは、どのようなけがが多いのか、けがの種類についてまとめていきましょう。

学習のねらい
けがの記録を整理して、表にまとめよう。

見通し

けがごとに1つずつ数えて、表にしていこう。

1つずつ印をつけながら数えて、表にまとめてみよう。

けがの種類ごとに数字を書きながら数えれば、数え間違いが減ると思う。

自力解決の様子

A つまずいている子
印をつけずに数え、落ちや重なりがあり、誤って数えている。


B 素朴に解いている子
1つずつ印をつけながら数えて、落ちや重なりがなく、正しく表にまとめている。


C ねらい通り解いている子
けがごとに印の形や色を変えるなど、落ちや重なりがないように工夫しながら数えて表にまとめている。


学び合いの計画 

この時間のねらいは「データを分類整理する方法や整理した結果を表にまとめる方法を理解する」ことです。本時では、「3年生のけがを減らす」という目的を明確にして活動を進めていきます。

印をつけながらグラフや表にかく活動は、2年生までに「10のまとまりを意識して囲む」「絵グラフにまとめる」といった学習のなかで行っています。本時では、落ちや重なりがないように数えるために、「✓」や「・」をつける、種類ごとに数字を振る、同じ種類ごとに○で囲むなどが考えられます。一人一人の印のつけ方をICT端末で共有することで、複数の方法で確かめたり、子供が自分に合った印のつけ方を見付けられたりすることが期待されます。「正」の字を使って5ずつ数える方法を示し、落ちや重なりを防いだり数を整理したりしやすいことに気付かせます。教師があえてやり方を間違えて見せるなどで、落ちや重なりがあると正しく整理できないことにふれることも有効です。

また、保健室の記録をそのまま使うのではなく、教師側がICT端末でカードなどにつくり替えて子供に配付することで、同じカードをまとめて数える選択肢を用意することも考えられます。これにより、カードを並べて整理する考え方を提示することにより、「長さで比べると視覚的に分かりやすい」という着想から棒グラフの導入に繋げられると期待できます。

図表1

本単元では目的を明らかにして、それにあった分類をすることが学習のねらいであるので、子供の実態により「クラスの仲を深めるための遊びを考える」という目的で好きな遊びを考えて整理したり、「給食の残りを減らす」という目的で好きな食べ物、苦手な食べ物、残りやすい献立などを調べて整理したりする活動も考えられます。

ノート例

A つまずいている子

ノート例1

B 素朴に解いている子

ノート例2

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

※自力解決後、子供が数えたプリントやノートを撮影し、ICT端末で共有する。

どのように数えたか、友達のやり方を見てみましょう。

数えたものに印をつけて、同じものを2回数えないようにしています。

けがの種類ごとに、印を変えている人もいます。数を確かめやすそうだと思います。

数えたものに印をつけ、正の字を使って数を数えました。

なぜ正の字を使ったのですか。

5ずつのまとまりをつくれて、数を表にまとめやすいからです。

確かに、正の字を使うと数えやすそうですね。このようにけがごとに印をつけながら、正の字を書いて数を数える方法があります。

図表2

私は、数え終わった数を全部足して、30になるか確かめました。けがの記録が30個あるから、全部足すと30になると思ったからです。

合計を求めれば、全体の人数とあっているか確かめられますね。この表からどのようなことが言えるでしょう。

すり傷が多いのかと思ったけれど、打撲が多いことが分かりました。

全部で30のけががあったので、毎日1人は保健室に行っていることが分かりました。

どの場所でけがが多いかも調べたいなあ。

今日の学習を基に、場所や時間など他のことについても調べてみましょう。

学習のまとめ

・印をつけたり、「正」で数えたりすれば、正しく数えられる。

・合計と合っているか確かめる。

評価問題

けがをした場所を数えて、表にまとめましょう。表から言えることをかきましょう。

図表3
図表4

子供に期待する解答の具体例

・場所ごとに印を変えながら数えていこう。
・正の字を使って数えて、5ずつ足していこう。
・数えた場所の合計も30になるはずだから、確かめてみよう。
・校庭は遊んだり体育をしたりするから、けがが多い場所だと思う。
・思ったより教室のけがが多いから、教室内の危ないところを探してポスターにのせよう。

感想例

  • 印をつけたり、正の字を使って数えたりしていけば、間違えずに数えられると思いました。
  • 数えた後、足したら合計になっていることを確かめるのが大切だと思いました。
  • 他のものも数えて、けがをする人を減らすポスターを作りたいです。

ワークシート(ダウンロード可)
ワークシート見本
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板書例

イラスト/横井智美

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