小4社会「自然災害から人々を守る活動」指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

執筆/宮城県仙台市立鶴巻小学校教諭・岡崎大地
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登
     国士舘大学教授・秋田博昭

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・自然災害から人々を守る活動
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目標

自然災害から人々を守る活動について、過去に発生した地域の自然災害、関係機関の協力などに着目して、聞き取り調査をしたり、地図や年表などの資料で調べたりしてまとめ、災害から人々を守る活動を捉え、その働きを考え、表現することを通して、地域の関係機関や人々は、自然災害に対し、様々な協力をして対処してきたことや、今後想定される災害に対し、様々な備えをしていることを理解できるようにするとともに、主体的に学習問題を追究・解決し、学習したことを基に、地域で起こり得る災害を想定し、日頃から必要な備えをするなど、自分たちにできることを考えようとする態度を養う。

評価規準

知識・技能

①過去に発生した地域の自然災害、関係機関の協力などについて聞き取り調査をしたり、地図や年表などの資料で調べたりして、必要な情報を集め、読み取り、災害から人々を守る活動を理解している。
②調べたことを年表や文などにまとめ、地域の関係機関や人々は、自然災害に対し、様々な協力をして対処してきたことや、今後、想定される災害に対し、様々な備えをしていることを理解している。


思考・判断・表現

①過去に発生した地域の自然災害、関係機関の協力などに着目して、問いを見いだし、災害から人々を守る活動について考え、表現している。
②自然災害が発生した際の被害状況と災害から人々を守る活動を関連付け、災害から人々を守る活動の働きを考えたり、学習したことを基に、地域で起こり得る災害を想定し、日頃から必要な備えをするなど、自分たちが協力できることを考えたり選択・判断したりして表現している。


主体的に学習に取り組む態度

①自然災害から人々を守る活動について、予想や学習計画を立てたり、見直したりして、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。
②学習したことを基に、地域で起こり得る災害を想定し、日頃から必要な備えをするなど、自分たちが協力できることを考えようとしている。

学習の流れ(10時間扱い)

問題をつくる 3時間

  • 宮城県内で過去に発生した自然災害について調べる。
  • 東日本大震災発生時の被害や対処の様子について調べる。
  • 1・2時間目で調べたことを基に学習問題を設定し、学習計画を立てる。

(学習問題)
地震から命やくらしを守りたいという人々の願いにこたえるために、だれがどのようなことをしているのだろう。


追究する 4時間

  • 県や市の取組(津波への対策:公助)を調べる。
  • 県や市の取組(防災情報の提供:公助)を調べる。
  • 地域の取組(共助)を調べる。
  • 家庭の取組(自助)を調べる。

まとめる 3時間

  • 調べて分かったことを関係図にまとめ、それぞれの関係やその働きを考える。
  • 県や市が、私たちの防災意識を高めるための取組を調べ、なぜ、そのような取組を行っているのか考える。
  • 学習したことを基に、地震から私たちの命や暮らしを守るために自分たちにできることは何かを話し合う。

問題をつくる

宮城県で発生した過去の災害や被害の様子を調べ、地震による被害が大きいことや今後の地震発生確率などを基に話し合うことで、学習問題を設定し、学習計画を立てる。(1、2、3/10時間)

導入のくふう

東日本大震災発生時の対処の様子や、今でも多くの市民が地震災害に不安を感じていること、今後も大きな地震が発生する確率が高いことなどを資料で示し、地震に対する「備え」の大切さに関心をもって追究することができるようにする。


1時間目 
宮城県内で過去に発生した自然災害について調べる。

宮城県では、これまでどのような自然災害が起きてきたのか調べてみましょう。

宮城県で起こった自然災害の表

東日本大震災の時には、津波が来たり、水道や電気が止まったりして、とても大きな被害が出たと聞いています。

私は、大雨で道路が水浸しになって、学校に避難したことがあります。

年表を見てみると、江戸時代には蔵王山が噴火したことがあったのですね。知りませんでした。

年表からは、宮城県ではこれまでに、地震や水害が多いこと分かりますね。

では、今、宮城県で生活している人たちは、どのような自然災害に不安を感じているのか調べてみましょう。

生活の中で特に不安に思う災害のグラフ

こんなに多くの人が、地震による災害に不安を感じていたのですね。これは、東日本大震災の時の経験があるからだと思います。

※2時間目は、東日本大震災発生時の被害や対処の様子を調べる。

問いを見出すためのポイント≫
どの災害を中心に学習していくのかを決定する際には、上記の災害年表や市民アンケート調査のような資料を基に話し合うことで、子供たちが必要性や意欲をもって追究できるようにすることが重要です。


3時間目 
1・2時間目で調べたことを基に学習問題を設定し、学習計画を立てる。

東日本大震災の時にはとても大きな被害がありましたね。

はい。地震やそれに伴う津波によってたくさんの方々の命や暮らしが奪われました。また、大きな地震や津波が起きたらどうしようかと心配になります。

そうですね。どうしたらこれから起きるかもしれない地震や津波から、私たちの命や暮らしを守ることができるのでしょう。

これは、これから大きな地震が起きる確率を表したものです。この数字を見て、どのようなことを考えましたか。

大きな地震発生確率、30年以内に90%
大きな地震発生確率、10年以内に50%

大きな地震はいつ起きるか分からないと思っていたけれど、30年以内に起きる確率が高いことを知って驚きました。

私たちが生きている間に、ほぼ間違いなく起きるということですね。それならば、大きな地震や津波の発生に備えて、何か対策をする必要があるのではないかな。

 
地震から命やくらしを守りたいという人々の願いにこたえるために、だれがどのようなことをしているのだろう。

追究する

県や市の取組(公助)、地域の取組(共助)、家庭の取組(自助)に着目して、地震災害から人々を守る活動について調べる。(4、5、6、7/10時間)

話合い活動のくふう

3つの立場から調べることで、地震災害から人々を守るために、地域の関係機関や人々が様々な協力や備えをしていることを捉えることができるようにする。また、調べる際には、県庁や市役所といった行政関係者の願いや想いに触れる時間を設定することで、自分たちが、地域で起こり得る災害を想定したり、日頃から必要な備えをしたりすることの大切さに気付くことができるようにする。
4・5時 県や市の取組(第4時 津波への対策、第5時 防災情報の提供)を調べる。


4時間⽬ 
県や市の取組(津波への対策)を調べる。

イラスト/(資)イラストメーカーズ

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