小4算数「わり算1けた」指導アイデア《何十(何百)÷1桁の除法(あまりなし)の計算の仕方を説明する》
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執筆/東京都目黒区立駒場小学校主任教諭・越後真紀
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、東京学芸大学玉川大学非常勤講師・長谷豊
![年間指導計画 わり算1けた](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2024/06/a8eb8a9e24e24f77e7f0cc210019e1b5.jpg)
目次
単元の展開
第1時 (本時)あまりのない、何十や何百のわり算(60÷3、600÷3)や、各位とも割り切れるあまりのない2位数÷1位数(63÷3など)の計算の仕方を説明する。
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第2時 あまりのない2位数÷1位数(72÷3など)の計算の仕方を、既習の計算を基にして説明する。
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第3時 あまりのない2位数÷1位数(72÷3など)の筆算の仕方を理解する。
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第4時 各位とも割り切れず、あまりのある2位数÷1位数(93÷4など)の筆算の仕方を説明する。
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第5時 十の位が割り切れる、あまりのある2位数÷1位数(83÷4など)の筆算の仕方を説明する。
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第6時 各位とも割り切れない3位数÷1位数=3位数(472÷3など)の筆算の仕方を、既習のわり算の計算の仕方を基に説明する。
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第7時 商に空位を含み、割り切れる3位数÷1位数=3位数(642÷6など)の筆算の仕方を説明する。
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第8時 首位に商が立たない3位数÷1位数 (252÷6など)の筆算の仕方を説明する。
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第9時 2位数÷1位数=2位数の暗算と、商が何十、何百何十になる3位数÷1位数の暗算の仕方を考える。
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第10時 他国のわり算の筆算の仕方を知り、自国のわり算の筆算の仕方と比べ、共通点や相違点を見いだす。
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第11時 問題に取り組み、学習内容の定着を確認し、理解を確実にする。
本時のねらい
10や100のまとまりを用いて、乗法九九1回の適用で商が求められる何十(何百)÷1桁の除法(あまりなし)の計算の仕方を考え、説明することができる。
評価規準
何十(何百)÷1桁の除法(乗法九九1回適用・あまりなし)の計算の仕方を考え、10や100のまとまりを用いて説明している。(思考・判断・表現)
本時の展開
□まいの色紙を3人で同じ数ずつ分けます。 1人分は何まいになりますか。
今日は、この問題を解きたいと思います。
このままでは、答えが出せません。
そうですね。このままでは式も立てられませんね。
式にはできます。
えっ。できるのですか。では、ノートに書いてみてください。
□÷3です。
本当ですか。
色紙が何枚かあって、それを3人で同じ数ずつ分けるということは、トランプ配りの場面と一緒です。こういう場面はわり算で表せると3年生のときに勉強しました。
付け足しです。例えば、□が12だったら、12枚の色紙を3人で同じ数ずつ分けるのだから、12÷3=4で、1人分は4枚になります。
なるほど。「例えば」というのがいいですね。□にどんな数を入れても、この場面は□÷3でいいですか。
□の数によってはあまりが出るときもあるけど、式は□÷3です。
確かに。数によっては割り切れない場合もありますよね。ところでさっき、12枚の色紙を3人で同じ数ずつ分ける場合は12÷3というのは、みなさんは納得ですか。では、1人分が4枚になるのは、どうやって分かったのですか。
3の段の九九で、12になるのは4だからです。
12÷3=○で、○を求める場合は、3×○=12と考えて、○に当てはまる数が答えです。
なるほど。かけ算九九を使えば答えが導けるのでしたね。では、実際に数を変えて考えてみましょう。18枚だったらどうですか。
18÷3です。
3×6が18になるので、答えは1人分が6枚です。
すごいですね! かけ算九九で答えが出るんですね。では、27枚だったらどうですか。
27÷3です。
3×9=27なので、答えは1人分が9枚です。
かけ算九九はすばらしいですね。一発で答えが出てくるのですね。では、60枚だったらどうですか。
60÷3だけど……。
3×□=60になる九九はありません。
3の段の九九の最高はさっきの3×9=27ですね。27より大きくなったら、かけ算九九は使えないのでしょうか。
60÷3の計算の仕方を考えよう。
見通し
27枚より大きい数のわり算の計算の仕方を考えましょう。
掛ける数が1大きくなると答えは3ずつ大きくなるのだから、10、11、12……と順に大きくしていって、答えに3を足していけばいいんじゃないかな。
確かにできるけど、大変だね。
60が6だったらできるんだけどな。
なるほど。確かに60を6と見ることができたら6÷3=2と考えられますね。なんとかして、60を6と見る方法がないでしょうか。
あ、分かった。できるかも。
自力解決の様子
A つまずいている子
・形式的に60÷3を行っている。
60÷3の60から0をとって6÷3=2。さっきとった0を付けて答えは20。
B 素朴に解いている子
・図を使って説明している。
![図表1](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2024/06/d364ecf0b874b2ec26c02622e61ce5c2.jpg)
C ねらい通り解いている子
・10の束で考える。
60は10の束で考えると6÷3=2で1人2束。10枚が2束で20枚。
![図表2](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2024/06/61fc3102304dee84052547c44b609f70.jpg)
学び合いの計画
60÷3を6÷3と見ることはできないものかと尋ねると、まずは、60から0をとって……、60の0を隠して……、60の0を置いておいて……、6÷3=2だから0を足し(付け)て、答えは20でできたなどと表現するAのような子供が多く見られます。ようするに、形式的に考えて答えは出るけれど、なぜ、60を6と考えてよいのか問うと答えられず、答えは出るけれど、なぜそうしてよいのかは分かっていません。本当の意味理解に導きましょう。
そこで止まっている子供には「60を6と見たいんだね」「0をとったり付けたりせずに、どうすれば60を6と見ることができるかな?」「大きな数のかけ算のときを思い出してごらん」などと声をかけます。それでも気付かないようだったら具体的な数値で、「例えば20×3のとき、20を2と見て2×3=6と考えたよね。どうしたら20を2と見られたのだったかな?」と尋ねると、「10が2個」と考えたことを思い出し、その考えを使うCの考えに導けます。
また、Bの図は上部だけの図をかく子供もいます。これは一見、包含除の図ですが、数直線図につながるので下に線を引き、1、2、3人とかくことにより、数直線図の見方をさせましょう。この図から60÷3という式になることと、1人分が確かに20になることは分かるけれど、60を6と見てよい説明にはなっていないこと、どうすれば、60を6と見ることができるかを問い、Cの考えに導きます。
ノート例
B 素朴に解いている子
A つまずいている子
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
形式的に答えは出ているAと、図でまたは具体的操作で答えは分かっているけれど60を6と見てよいわけには思い当っていないBを発表しながら、Cに導いていきます。また、何のために10のまとまりで考えたのか考えさせ、「かけ算九九を使うため」に10のまとまりで考えさせます。
60の0をとって、6÷3=2と考えて、2に0を付けたら20になるんだけど、どうしてそうしていいのか分かりません。(A)
60を3つに分けるのだから、図で考えれば、60÷3の答えは20だということは分かります。(B)
実際に、60÷3の場面を図にしてみると60枚あって、それを3人で分けるのだから20になります。(B)
Bで答えが20だということは分かるけれど、Aをやっていいわけは分からないな。
60÷3を6÷3と考えていいのはなぜでしょう。6÷3が見えている人、ヒントをもらえませんか。
Bの図にもう出ているよ。
60は、0をとったり隠したりしなくても、見方を変えれば6に見えるよ。
60枚を1枚ずつ配るのではなく、まとめて配ればいいんだよ。
えー? あっ、分かった。
本当ですか。ちょっと、お隣とどういうことなのか説明し合ってみてください。
※隣どうしで説明し合う。
説明し合って分かったことを教えてください。
60枚を10の束6個と見れば、6÷3と見ることができます。
6÷3=2の2は何を表しているのですか。
10の束が2個の2です。
だから、60÷3=20です。
なるほど。60÷3は、1が60と考えるのではなく、10のまとまりが6と考えれば6÷3と考えられるのですね。6÷3と考えると、どんないいことがありますか。
九九が使えます。
学習のまとめ
今日は、一見、かけ算九九でできそうのない大きな数のわり算の計算の仕方を考えてきました。
10のまとまりで考えれば、1桁のわり算で考えられるから、1桁の簡単な九九で計算できます。
確かに、10のまとまりで考えたら60÷3も、6÷3で考えられましたね。ところで、これがもっと大きくなっても、これらの考えを使って解けますか。例えば、600÷3はどうですか。
できます。
600を100が6個と見れば6÷3=2。100が2個だから答えは200です。
なるほど。60÷3も600÷3もそれぞれ10や100のまとまりで考えれば6÷3と考えられるのですね。もしかして、6000÷3、60000÷3も同じようにできますか。
6000÷3は1000が6個と考えれば6÷3で2。1000が2個なので2000です。
60000÷3は1万が6個と考えれば6÷3で2。1万が2個なので20000です。
どんなに大きくなっても、まとまりで考えれば九九で商を求められます。
今回は60÷3で考えたけれど、他の数でもできますか。誰か、問題を考えられますか。
はい。160÷4です。
できます。160÷4は10が16個と考えれば16÷4=4。10が4個だから答えは40です。
それなら、1600÷2はどうかな。
1600÷2は100が16個と考えれば16÷2=8。100が8個で答えは800です。
何十や何百の計算はどうすれば求められるとまとめられそうですか。
10や100を基にして考えれば九九で商を求められます。
割られる数がどんなに大きくなっても、10や100のまとまりで考えれば、九九で求められるのですね。ところで、□が63だったら、これは使えませんね。
63を60と3に分けて、60÷3=20。3÷3=1。20+1で答えは21です。
位ごとに割り切れる場合なら、どんなに大きな数でも同じような考えで計算できます。
693÷3だってできます。
でも、72÷3みたいに、割り切れない場合はどうすればいいのだろう。
では、次回は割り切れない場合、例えば72÷3というときどうするか、みんなで考えましょう。
評価問題
①120÷4=
②300÷6=
③2800÷7=
④2000÷4=
解答例
![①解答例](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2024/06/0956a0e6675f76d438f6b1ddda45d47f.jpg)
![②解答例](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2024/06/f721512eec993671d404adfaaf4ec8a7.jpg)
![③解答例](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2024/06/cb0982aff7ebbb6d3f9031a31a5b1bad.jpg)
![④解答例](https://kyoiku.sho.jp/wp-content/uploads/2024/06/05dca1b3df9f3beffbbdbaf3a4056607.jpg)
感想例
- 60を10が6個と見たり、600を100が6個と見たりすると、60÷3も600÷3も6÷でできることが分かった。
- まとまりで考えるとすごく簡単に計算できることが分かった。
- 今度は、何十何÷3のような難しい計算もやってみたい。
イラスト/横井智美