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「せかい×まなびのプラン」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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文部科学省が令和5(2023)年8月に公表した「せかい×まなびのプラン」。いったい、どのようなプランなのか、その概要と作成の背景などを解説します。

執筆/創価大学大学院教職研究科教授・宮崎猛

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せかい×まなびのプランでグローバル人材の育成をより活発に

【せかい×まなびのプラン】
教育未来創造会議第二次提言(令和5年4月27日)やG7教育大臣会合で合意された「富山・金沢宣言」(令和5年5月15日)などを踏まえて作成されたもので、日本のこれからのグローバル人材を育成するための施策をパッケージとしてまとめたもの。

せかい×まなびのプランは、主に高校生と大学生を対象にしています。「日本からの留学・人材の交流」「優秀な留学生や人材の受け入れ・定着」「教育の国際化」の3つのアクション(観点)から必要な施策を学校段階に応じて提示しています。また、令和6(2024)年の重点項目として、6つのポイントを掲げています。(「せかい×まなびのプラン」より一部抜粋して紹介します)。

3つのアクション
1.日本からの留学・人材の交流
小中学校:AIやオンラインを活用した国際交流や英語教育の強化
高校:海外経験、留学支援による体制づくりや、海外と提携したアントレプレナーシップ教育の推進
大学:本格的な留学への送り出し・頭脳循環(国際共同研究等)への参画の推進

2.優秀な留学生や人材の受け入れ、定着
小中学校:外国人の子どもが安心して学べる体制づくり(就学や日本語指導の支援)
高校:優秀な留学生獲得のための素地形成
大学:優秀な留学生の本格的な受け入れ・国際頭脳循環の強化

3.教育の国際化
小中高校:国内外の子どもたちをグローバル人材として育成するための環境整備
大学:留学生交流が自然と発生する環境整備

6つのポイント
①世界と日本・地域を結ぶ「大学」の国際拠点化の推進
②産官学を挙げた高校・大学段階の留学支援強化
③G7、ASEAN等重点地域との戦略的連携強化
④国際頭脳循環の促進
⑤戦略的な国際展開のための情報収集・留学生誘致機能強化
⑥在外教育施設の機能強化

上記のように、高校生と大学生を対象にしているものの、小中学校における基盤づくりも重視されています。そのため、初等中等教育段階から高等教育段階へのグローバル教育の接続もより一体的に図られていく必要があるでしょう。

せかい×まなびのプランの背景

教育のグローバル化を促進することの要請は、近年ますます高まってきています。その背景には、日本の世界経済における位置が年々低下していることが挙げられます。GDP(国内総生産)で長年アメリカに次ぐ経済力を備えていた日本は、現在は中国、ドイツなどに抜かれ、2050年頃にはさらに順位を落とすことが予想されています。

そこで大切になるのが、世界的な企業をつくる力、国際共同研究を行う力、外交などの世界と対等に交渉する力などをもつグローバルリーダーの育成です。国内だけに留まっていてはグローバルリーダーとしての資質は身に付かないでしょう。

国外に出て行く、国外から受け入れる、その循環やネットワークでの切磋琢磨を通して国際対応能力(グローバル・コンピテンシー)が磨かれることになります。

コロナ禍により海外との交流は停滞し、海外への留学や海外からの留学生の受け入れは激減しました。回復とともにさらなる拡大が求められており、その基盤として「せかい×まなびのプラン」が策定されたのでしょう。

せかい×まなびのプランの実際

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