小4社会「ガスはどこから」指導アイデア
執筆/杉並区立天沼小学校指導教諭・新宅直人
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登
国士舘大学教授・秋田博昭
目次
年間指導計画
・都道府県の様子
・水はどこから
・ガスはどこから
・ごみの処理と利用
・自然災害から人々を守る活動
・伝統文化を今に伝える福島県
・郷土の発展に尽くす
・伝統的な技術を生かす新宿区
・伝統文化を守り生かす台東区
・豊かな自然環境を生かす小笠原
・国際交流に取り組む大田区
目標
ガスを供給する事業について、供給の仕組みや経路、県内外の人々の協力などに着目して、見学・調査したり地図などの資料で調べたりしてまとめ、ガスの供給のための事業の様子を捉える。その事業の果たす役割を考え、表現することを通して、ガスを供給する事業は、安全で安定的に供給できるよう進められていることや、健康な生活の維持と向上に役立っていることを理解できるようにする。また、主体的に学習問題を追究・解決し、学習したことを基に、自分たちが協力できることを考えようとする態度を養う。
評価規準
知識・技能
①供給の仕組みや経路、県内外の人々の協力などについて、見学・調査したり地図などの資料で調べたりして、必要な情報を集め、読み取り、ガスの供給のための事業の様子を理解している。
②調べたことを白地図や図表、文などにまとめ、ガスを供給する事業は、安全で安定的に供給できるよう進められていることや、地域の人々の健康な生活の維持と向上に役立っていることを理解している。
思考・判断・表現
①供給の仕組みや経路、県内外の人々の協力などに着目して問いを見いだし、ガスの供給のための事業の様子について考え、表現している。
②ガスを供給する仕組みや協力関係と地域の人々の良好な生活環境を関連付け、事業の果たす役割を考える。また、学習したことを基に、ガスを無駄なく安全に使うために、自分たちにできることを考えたり選択・判断したりして、適切に表現している。
主体的に学習に取り組む態度
①ガスを供給する事業について、予想や学習計画を立てたり、学習を振り返ったり見直したりして、学習問題を追究し、解決しようとしている。
②学習したことを基にガスを無駄なく安全に使うために、自分たちが協力できることを考えようとしている。
学習の流れ(10時間扱い)
問題をつくる 2時間
- 図を基に、家の中では、どのようなエネルギーが使われているかを話し合う。
- エネルギーの消費量のグラフからガスを供給する仕事に着目して、学習問題を設定し、学習計画を立てる。
(学習問題)
私たちが生活で使うガスは、どこから、どのように運ばれているのだろう。
追究する 5時間
- ガスの生産場所、生産方法、運ぶ方法を調べる。
- ガスを安全に供給するための仕組みや人々の努力について調べる。(2時間)
- 家の中以外の場所では、ガスがどのように利用されているのか調べる。
- 新しいガス資源や、今後、利用が期待されているガス資源について調べる。
まとめる 3時間
- ガスが生産され、私たちの手元に届くまでの道のりや、そこに携わる人々の働きについて「ガスはどこからマップ」にまとめる。(2時間)
- マップを基に話し合い、ガスを無駄なく安全に使うために自分たちにできることを考える。
問題をつくる
家の中で使われているエネルギーには何があるかを調べ、私たちの生活とエネルギーとの関わりについて話し合う。(1、2/10時間)
導入のくふう
家の中で使われているエネルギーを調べることで、照明や冷暖房、給湯や電化製品など様々な道具を通して多くのエネルギーを使っていることに気付くことができるようにする。また、生活の中で一番多くエネルギーを使っているのは、何をするためなのかを調べることで、ガスの重要性、ガスを供給する仕組みや協力関係などに着目して学習問題を設定することができるようにする。
1時間目
図を基に、家の中では、どのようなエネルギーが使われているかを話し合う。
このイラストや自分の家のことを参考にして、家の中ではどのようなことにエネルギーが使われているかを話し合ってみましょう。
料理をつくるときには、コンロや電子レンジ、冷蔵庫でもエネルギーを使っています。
お風呂を沸かすことにも使っていますね。あっ、洗濯機を動かすのにも使っています。
掃除機をかけたり、テレビを見たりするときにも、エネルギーを使っています。
車を動かすのにも使っています。私たちの生活では、たくさんのエネルギーを使っているのですね。
いろいろなところでエネルギーを使っていますね。どのようなエネルギーが使われているのか、種類を分けてみましょう。
冷蔵庫や洗濯機、エアコンやテレビなどの電化製品は、「電気」を使っています。私の家には、他にもゲームやスマホ、ドライヤーやパソコンなど、電気を使うものがあります。
コンロやお湯を沸かすのには、ガスを使っています。僕の家では、ガスのヒーターもあります。それから、車にガソリンを入れています。ガソリンは石油の仲間なのかな。
2時間目
エネルギーの消費量のグラフからガスを供給する仕事に着目して、学習問題を設定し、学習計画を立てる。
家では、いろいろな場面でエネルギーを使っていましたが、その中で一番エネルギーを使っているのは、どのような場面だと思いますか?
家の中では、電化製品がたくさん使われていたから、一日中スイッチを入れっぱなしの冷蔵庫が一番エネルギーを使っていると思います。
私の家では、冬から春の間は、どの部屋でもエアコンをつけて、温度を上げて生活しているから、エアコンが一番使っていると思います。
このグラフからは、どのようなことがわかりますか?
お湯を沸かすことに一番多くのエネルギーを使っています。お風呂に入るには、たくさんのエネルギーを使っていたのですね。
お湯を沸かすには、ガスを使っています。だから、家ではガスをたくさん使っているということもわかります。
家では、ガスコンロやガスヒーターを使っているから、思ったよりたくさんのガスを使っていることがわかりました。ガスってどこから来ているのかな。自然の中にあるのかな。
それでは、私たちの生活の中で使われているガスについて、知りたいことや疑問に思うことを話し合ってみましょう。
ガスはどこから来ているのかな。火山とかから出ているのかな。
ガスはどうやって家まで運ばれてきているのかな。
家にはガスメーターがあるけれど、そこからガスが来ているのかな。
追究する
学習計画を基に、ガスが私たちの家に届くまでの道のりや安全に運ぶ方法、ガスを計画的に供給するための工夫を調べる。(3、4、5、6、7/10時間)
ICT活用のくふう
ガスに関する資料館などの施設を見学することが有効である。見学が難しい場合は、1人1台端末を用いてガス会社等の取組や、ガスの供給の仕組みや経路を調べる活動を設定する。
3時間⽬
ガスの生産場所、生産方法、運ぶ方法を調べる。
参考サイト:東京ガスネットワーク「おどろき!なるほど!ガスワールド」
タブレット型端末を使って、ガスについて調べましょう。ガスはどこから来るのでしょうか。
天然ガスは、海の底からとれるんですね。日本は、主にオーストラリア、カタール、マレーシアといった国から輸入しています。
海の底からとれた天然ガスは、日本のLNG基地まで来るんですね。
≪追究する際のポイント≫
本時では、「外国とのつながり」に注目して調べることができるようにすることが大切です。また、なぜ外国から天然ガスを運んで来ているのかについて話し合う活動を設定することで、天然ガスは日本には少ない「資源」であることに気付くことができるようにします。
4・5時間⽬
ガスを安全に供給するための仕組みや人々の努力について調べる。
イラスト/(資)イラストメーカーズ