小3社会「私たちのくらしと農家の仕事」指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
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執筆/高松市立古高松南小学校教諭・髙木浩彰
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登
     高松市立十河小学校校長・大嶋和彦

年間指導計画

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・身近な地域の様子
・市の様子
・私たちのくらしと農家の仕事
・わたしたちのくらしと工場の仕事
・わたしたちのくらしとスーパーマーケットの仕事
・火事から地域の安全を守る
・事故から地域の安全を守る
・市の様子の移り変わり(人口の変化を中心に)
・市の様子の移り変わり(土地利用を中心に)
・市の様子の移り変わり(交通の違いを中心に)

目標

地域に見られる農家の仕事について、仕事の種類や産地の分布、仕事の工程などに着目し、見学・調査したり地図などの資料で調べたりして、白地図などにまとめる。生産に携わっている人々の仕事の様子を捉え、地域の人々の生活との関連を考え、表現することを通して、農家の仕事は、地域の人々の生活と密接な関わりをもって行われていることを理解できるようにする。また、主体的に学習問題を追究・解決しようとする態度を養う。

評価規準

知識・技能

①仕事の種類や産地の分布、仕事の工程などについて、見学・調査したり地図などの資料で調べたりして、必要な情報を集め、読み取り、生産に携わっている人々の仕事の様子を理解している。
②調べたことを白地図や文などにまとめ、生産の仕事は地域の人々の生活と密接な関わりをもって行われていることを理解している。


思考・判断・表現

①仕事の種類や産地の分布、仕事の工程などに着目して、問いを見いだし、生産に携わっている人々の仕事の様子について考え、表現している。
②生産の仕事の様子と地域を結び付けて、地域に見られる生産の仕事と地域の人々の生活との関連を考え、適切に表現している。


主体的に学習に取り組む態度

地域に見られる生産の仕事の様子について、予想や学習計画を立て、学習を振り返ったり見直したりして、学習問題を追究し、解決しようとしている。

学習の流れ(10時間扱い)

問題をつくる 2時間

  • ふるさと給食の食材や地図を基に、町内の主な農作物について調べる。
  • 農業試験場の人の話を聞き、疑問に思ったことを話し合うことで学習問題をつくり、学習の見通しをもつ。

(学習問題)
農家では、「瀬戸ジャイアンツ」をつくるために、どのような工夫や努力をしているのだろう。


追究する 5時間

  • 農家を見学する計画を立てる。
  • 農家を見学して農家の工夫を調べる。
  • 調べてわかったことをカレンダーや工夫カードにまとめる。

まとめる 3時間

  • ぶどうをPRするポスターやチラシの内容を話し合う。
  • ぶどうをPRするポスターやチラシをつくる。

問題をつくる

町の主な農作物について調べたり、農業試験場の人の話を聞いたりして、疑問に思ったことを話し合い、学習問題をつくる。(1、2/10時間)

導入のくふう

地元では多くの人に知られているマスカット「瀬戸ジャイアンツ」が、実際は認知度が低く、地元の人以外にはあまり知られていないという課題を子供たち自身が実感することで、子供たち自らが「瀬戸ジャイアンツ」のつくり方やその魅力を調べ、発信したいという思いをもてるようにする。

 


1時間目 
町の主な農作物について調べる。

これは、みなさんのある日の給食のメニューです。この中に、地元の国分寺町でつくられたものがあります。何があるか、わかるかな?

給食のメニューの写真
ふるさと給食のメニュー

キャベツやきゅうりかな。野菜は、おじいちゃんやおばあちゃんがつくっているよ。

きっと、ぶどうだ! このぶどうは、「瀬戸ジャイアンツ」っていう名前だよ。知ってる! 毎年ふるさと給食の時に出ているよ。甘くて粒も大きくて、大好きだよ!

国分寺町では主に、どのような農作物がつくられているか、資料で調べたり、地図を活用して整理したりして、詳しく調べてみましょう。

国分寺町でつくられる主な野菜や果物の地図
国分寺町でつくられる主な野菜や果物

やっぱり! ぶどうがあったよ。ぶどう以外にも、地元では、いろいろな野菜や果物がつくられているんだね。

ぶどうは、山の近くでつくられているようだよ。どうして山の近くでつくられているのだろう。

地元では、いろいろな農作物がつくられていることがわかったよ。その中でも、「瀬戸ジャイアンツ」は、地元の国分寺町でつくられる私たちの自慢の農作物だよ。もっと詳しく調べてみたいな。

≪教材選定のポイント≫
調べていく農作物を取り上げる際には、農家の仕事の工夫が明確であるだけでなく、子供たちにとって身近で魅力ある(自慢できる)ものを取り上げることで、意欲的に学習に取り組めるようになります。


2時間目 
農業試験場の人の話を聞いて思ったことを話し合い、学習問題をつくる。

「瀬戸ジャイアンツ」について、農業試験場の方にお話を聞いてみましょう。

瀬戸ジャイアンツの写真

「瀬戸ジャイアンツ」の試食だ! あまくておいしい! 最高!

誰が、どのようにして、こんなおいしいぶどうをつくったのか聞いてみたいな。

(農業試験場の方)「瀬戸ジャイアンツ」は皮がとても薄く、種もないので、丸ごと食べられるのが特徴だよ。糖度も高く、甘くておいしいぶどうです。
農家の人が苦労してつくっている「瀬戸ジャイアンツ」ですが、実は、あまり知られていないんだよ! おいしい「瀬戸ジャイアンツ」をいろんな人に知ってもらって食べてもらいたいな。

≪動機づけのポイント≫
子供の認識と現実とのずれが生まれるように単元を展開することで、子供たちの中に、自然と課題意識が生まれ、農作物をPRしたいというゴールを自分たちで見いだせるようにしました。

知らない人が多いなんて初めて知った。こんなにおいしいから有名だと思ってた……。

もっとたくさんの人に「瀬戸ジャイアンツ」のことを知って食べてもらいたい!

このままだと売れずに「瀬戸ジャイアンツ」がなくなるかも……。私たちがPRして農家の人たちをサポートしよう!

「瀬戸ジャイアンツ」を多くの人に知ってもらうためには、どうすればいいかな。

ポスターやチラシをつくって配ったらいいと思います。農家の人も喜ぶと思うよ。

そのためには、私たち自身が「瀬戸ジャイアンツ」についてもっと詳しく知らないといけないと思います。実際に農家に見学に行ってつくり方を調べたり、農家の人に会って話を聞いたりしてみたい!

≪問いをもつ場面のポイント≫
導入の場面において、どんな問いをもった(問題に出合った)かで、その後の学習意欲が違ってきます。教材の内容や、教材に出合う順番や展開、発問などを丁寧に精査し、じっくりと導入の場面を扱い、子供の心に火を点けるようにしましょう。

 
農家では、「瀬戸ジャイアンツ」をつくるために、どのような工夫や努力をしているのだろう。

≪学習計画のポイント≫
課題を解決するために何を調べ、何にまとめるのかなど、子供たちの考えや思いを大切にしながら一緒につくりましょう。

【学習計画】
①実際に見学に行き、おいしいぶどうをつくる秘密を調べる。
②ぶどうをPRするポスターやチラシをつくる。
③ポスターやチラシを農家の人やお店に届ける。

追究する

ぶどう農家に見学に行き、農家の仕事の工程や工夫について調べ、わかったことをカレンダーやカードにまとめる。(3、4、5、6、7/10時間)

見学・調査活動のくふう

子供にとって実際に見学して調べることはとても楽しい活動である。しかし、事前の準備なしに見学を行うと、雑多な調べになり、教科の本質に迫る部分が抜け落ちてしまうことがある。そこで、見学前に調べる視点を整理して共有し、見学後にはどういったまとめをするのかといった見通しをもった上で見学に行くようにする。  


3~5時間⽬ 
農家の仕事について調べる視点を基に、実際に見学に行って、農家の仕事の工程や工夫を調べる。

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