小2国語「ふきのとう」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「ふきのとう」です。単元学習は「お話を読み、役に分かれて音読しよう」です。音読につなげるために各場面の登場人物の気持ちを想像させ、登場人物の気持ちを表すには、どのような音読の工夫があるかを考えさせます。登場人物の気持ちが読み方に表れるような板書の工夫を紹介します。

監修/元京都女子大学教授
 同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教頭・中井裕子(せせらぎの会)
   埼玉県公立小学校教諭・正能茉莉(せせらぎの会)

 
単元名 お話を読み、やくにわかれて音読しよう
教材名 「ふきのとう」(光村図書出版 2年)

単元の計画(全9時間)

1 学習課題を確認し、学習の見通しをもつ。感想を交流する。 
2 登場人物とできごとについて確かめる。
3 竹やぶのはっぱとふきのとうの音読の工夫を考える。
4 雪と竹やぶの音読の工夫を考える。
5 お日さまとはるかぜの音読の工夫を考える。
6 ふきのとうの音読の工夫を考える。 
7 グループに分かれて、誰がどこを読むか決め、音読の工夫について考える。
8 音読発表をし、学習を振り返る。 
9 「この本、読もう」で紹介されている本の読み聞かせを聞き、読書記録のしかたについて知る。

板書の基本

〇登場人物の行動や様子が捉えられる板書

各場面に出てくる登場人物を確認する板書にします。誰のせりふなのかが分かるように挿絵を活用して板書します。誰が何をしたのか、誰がどのようなことを言ったのか、お話のだいたいと順序を理解し内容を捉えさせます。

〇登場人物の気持ちと音読する活動が結び付く板書

各場面の登場人物の気持ちを想像させます。登場人物の気持ちを表すには、どのような音読の工夫があるかを考えさせます。声の大小だけでなく、速さや抑揚、間の取り方なども考えさせ、工夫できるような板書にします。5/9時間目の板書では、登場人物の気持ちと読み方を上下に並べ、気持ちが読み方に表れるように板書します。

板書を活用した授業の進め方(2/9時間目)

2/9時間目の板書
2/9時間目の板書

1 本時のめあてを確かめる

題名、作者及び本時のめあて「お話のじゅんじょをたしかめよう。」を板書します。子供には、「先生といっしょに書きましょう」と言っていっしょに書きます。続いて、めあてを全員で読み、学習の見通しをもたせます。教材文を音読(一斉読み)します。

2 「登場人物」について理解させる

登場人物というのは、「お話の中でせりふがある人や物のこと」として押さえます。「とうじょう人ぶつ」と板書し、黄色いチョークで囲みます。

次に、教材「ふきのとう」に出てくる登場人物(人や物)を挙げさせます。登場人物の名前を書き、その下にイメージのイラストや写真(板書では竹やぶのはっぱを示したもの)を貼ります。

3 お話の順序を確認する

お話の順序と場面ごとの出来事を確認することを伝え、「できごと」と板書します。場面①、②、③④、⑤⑥、⑦⑧の挿絵を活用します。場面絵の挿絵5枚を大型テレビに映します。映すときは順序を変えて並べます。その後、学級全体で話し合いながら、画面を操作して正しい順序に並べ替えます。そして、並べた通りに黒板に挿絵を貼ります。大型テレビの活用には、並べ替えをしやすくする意図があります。

4 それぞれの場面にどんな出来事があったか確認する

場面絵の挿絵の下に、対応する段落番号(①、②、③④、⑤⑥、⑦⑧)を書きます。そして、出来事を板書します。「だれが」「何をする」のかを押さえます。

まず、1段落(①)で出てきた登場人物を確認します。「竹やぶのはっぱが」と板書し、黄色いチョークで線を引きます。ここでは、竹やぶのはっぱが主語なので、「竹やぶのはっぱ」に線を引きます。線を引くことで、主語がだれなのかをはっきりさせ、分かりやすくします。

また、子供のノートのマス目を確認しながら、ノートに視写させます。ノートには上から4マス空けて横線を引き、後から挿絵のプリントを貼れるようにします。

視写の後、竹やぶのはっぱが何をしていたのかを問い、「さむかったねとささやく」と板書します。「ささやく」という言葉の意味を動作化して確認します。2段落以降も、同じように問いかけ、板書していきます。

5 学習の振り返りをする

本時のめあてが達成できたかを振り返り、分かったことをノートに書かせます。振り返りの例として、次のようなものがあります。

「だれがなにをしているのかわかりました。」
「お話のじゅんじょがわかりました。」

板書を活用した授業の進め方(5/9時間目)

5/9時間目の板書
5/9時間目の板書

1 本時のめあてを確かめる

本時の学習は5段落と6段落になります。題名、作者及び本時のめあて「お日さまとはるかぜの音読のくふうをかんがえよう。」を板書します。子供には、「先生といっしょに書きましょう」と言っていっしょに書きます。続いて、めあてを全員で読み、学習の見通しをもたせ、教材文を音読(一斉読み)します。

 5段落の登場人物の様子を理解し、音読の工夫を考える

まず、「⑤」(5段落)と板書し、登場人物であるお日さまのせりふを教科書で確かめます。教科書で確かめた文章をあらかじめ短冊で用意しておき、その短冊を黒板に貼ります。黒板に貼った短冊の上に、お日さまのイメージのイラストを貼ります。これは誰が言ったせりふなのかを分かりやすくするためです。

お日さまのイメージのイラストは2/9時間目で活用したものです。「おや、~ こまっているな。」の短冊を貼るときに、「みんな」とは誰のことなのかを確認します。次に、なぜ困っているのかを問いかけ、理由を考えさせます。学級全体で考えながら、お日さま、はるかぜ、竹やぶ、雪、ふきのとうの位置関係を大型テレビに映して確認します。ここでは、登場人物たちの位置関係を理解しにくいことを予想して、大型テレビに映します。

大型テレビに挿絵を写す
大型テレビに自作のイラストを写す。

次に、教科書に戻り、お日さまはどんな様子なのかを問いかけ、笑っていることや笑っているときの気持ちなどを想像させます。黒板の真ん中に横線を引き、子供にもノートの真ん中に線を引くことを指示します。上段に登場人物の気持ちを表す赤いハートの枠を書きます。枠の中に、「元気」「楽しい」など、お日さまの気持ちを書きます。

5の場面の音読の工夫について指導します。お日さまの様子や気持ちが伝わる音読を考えます。どのように音読するとよいかを問いかけ、考えさせます。

下段の部分に、子供が音読しているイラストと「音」の音読マークを貼ります。黒板にイラストと音読マークを貼った後、子供があげた音読の工夫である「やさしいこえ」「あかるいこえ」「大きなこえ」などを板書します。

3 6段落の登場人物の様子を捉え、音読の工夫を考える 

まず、「⑥」(6段落)と板書し、登場人物であるはるかぜのせりふを教科書で確かめます。教科書で確かめた文章をあらかじめ短冊で用意しておき、その短冊を黒板に貼ります。短冊の上に、はるかぜのイメージのイラストを貼ります。これは誰が言ったのかを分かりやすくするためです。はるかぜのイメージのイラストは2/9時間目で活用したものです。

次に、教科書に戻り、はるかぜはどんな様子か問いかけ、「あくび」「せのび」と書きます。お日さまに起こされてあくびしたり、せのびしたりしているところや、そのときの気持ちについて想像させます。黒板の真ん中に横線を引き、子供にもノートの中に線を引くことを指示します。上段に赤いハートの枠を書き、その中に「まだねむい」「もうおきないと」など、はるかぜの気持ちを書きます。

6の場面の音読の工夫について指導します。はるかぜの様子や気持ちが伝わる音読を考えます。下段の部分に、子供が音読しているイラストと「音」の音読マークを貼ります。黒板にイラストと音読マークを貼った後、子供があげた音読の工夫である「ゆっくり読む」「ねむいこえ」などを板書します。

4 学習の振り返りをする 

本時のめあてが達成できたかを振り返り、分かったことをノートに書かせます。振り返りの例として、次のようなものがあります。

「お日さまやはるかぜのきもちをそうぞうできました。」 

「はるかぜはねむいだけでなく、うれしいきもちもあると気づきました。」

 

構成/浅原孝子

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