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21世紀型の対話的・探求的学びを目指す「学びの共同体」とは

2019/3/24

新学習指導要領が、これからの教育に求めている「主体的・対話的で深い学び」。それに先駆けこの20年来、「学びの共同体」の理論で目指すべき教育を追究し、各国の教育現場に広く指導してきた学習院大学特任教授・佐藤学先生。 新刊著書の『学びの共同体の挑戦 ─改革の現在─』(小学館) をもとに、「学びの共同体」の本質についてお話を伺いました。


佐藤学(さとう・まなぶ)さん
学習院大学 特任教授


特徴は、21世紀型の学びにふさわしい学校づくりにある

――佐藤先生は、学校が「学びの共同体」となるために、「聴き合う関係」「ジャンプの課題」「真正の学び」が必要と言われています。具体的にはどのような実践なのでしょうか?

佐藤 「学びの共同体」の改革は35年前に始めました。現在では全世界で17か国が挑戦しています。

学びの共同体の特徴は、21世紀型の対話的・探求的学びを初めから提示し、それにふさわしい学校づくりをしてきたことです。その中でもベースとなるのが「聴き合う関係」です。

学びは対話によって成立するもので、一人では学びは成立しません。聴き合う関係をつくり、対話的なコミュニティを大切にすることで、高いレベルの学びを実現することができます。結果として、低学力の子供がいる学校でも必ず成績が伸びるのです。

この「聴き合う関係」をつくるためには「場」と「環境」が必要です。

例えば、机の配置をみんなの顔が見えるコの字型にしたり、3、4人のグループの配置にしたりするなどして「聴き合う場」をつくります。

また、誰もが安心して聴き合う関係をつくるために最も重要な「静かな環境」をつくります。廊下まで先生の声が響いているような教室では「聴き合う関係」はつくれません。

教科の本質に沿った学びこそ「真性の学び」

佐藤学氏 撮影/編集部

――「ジャンプの課題」と「真正の学び」とは、どのようなことを示しているのでしょうか?

佐藤 先生の話や誰かの発言を聴いているだけでは、一人ひとりが学びの主人公として育ちません。

そのため、学びの共同体では、授業の前半は「共有の課題」として教科書レベルの内容について扱います。そして授業の後半は「ジャンプの課題」と言って、通常の授業よりもはるかに高いレベルで、3分の1くらいの子供にしかわからないような難しい内容を設定します。

それによって、どの子も授業の最初から最後まで受け身ではなく、自ら学びの主人公となり、共同で探求し合う授業をつくっていくことができます。

実は学力の低い子ほどジャンプの課題に夢中になるのです。お互いに協力し、支え合い、探求し合う形をつくることで、できる子とできない子が対等に学び合うことができます。

「真正の学び」とは、教科の本質に沿った学びのことです。

文学には文学らしい読みがあります。数学では問題が解けるというだけではなく、問題を解く過程が数学的思考になることを目指すべきです。理科なら、仮説を立てて検証・実験するだけではなく、そこで見えた事象を細かく観察して、説明するモデルをつくらせます。いずれの教科もそこまですることで「探求」になります。

つまり、その教科の背後にある学問や文化の本質に迫るような学びをつくるのが「真正の学び」なのです。

--教科書レベルの課題から、飛躍問題へ。さらに深い学びへと段階を進めていくことによって、学びの共同体が成立するのですね。そのためには、教師の技量が問われますね。

佐藤 もちろんこれら3つの実現はとても難しく、一部の教師だけでなく、学校全体で取り組む必要があります。国内では年間に1000回ほど「学びの共同体」の公開研究を行っています。教員の皆さんは、ぜひ学びの共同体の学校を訪問して、その教室を見ていただきたいですね。


学びの共同体の挑戦 ─改革の現在─
 佐藤学・著 定価:本体1600円+税 ISBN:978-4-09-840194-9
 https://www.shogakukan.co.jp/books/09840194

学びの共同体

2020年完全実施の新学習指導要領のキーワードは「主体的・対話的で深い学び」です。それに先んじること20年、まさにその先駆けともいうべき取り組みを続けてきた「学びの共同体」の理論的指導者が、学習院大学特任教授・佐藤学氏です。「行動する教育学者」として日本各地・アジア各国の小中学校を訪問し、教師と協同して学校を内側から改革する取り組みを長年にわたり行い、圧倒的な成果を上げてきた現代教育学界の第一人者です。本書を通して、新時代に求められる「対話的で深い学びの創造」とは何か?を佐藤氏が示します。


『小一~小六教育技術』2018年10月号より

インタビュー/EDUPEDIA まとめ/出浦文絵
●これと関連したインタビュー記事が「EDUPEDIA」でも配信されます。

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