伝わる板書の書き方:プロット図とキャラクターマップで物語を見える化する

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樋口綾香&樋口万太郎夫妻が解説! 国語・算数 伝わる板書のルール

大阪府公立小学校教諭

樋口綾香

スッキリした分かりやすい構成で、子どもたちに伝わりやすい板書の書き方を目指す本シリーズ。今回は、小五の国語の「不思議な世界へ出かけよう」をテーマに、物語を創作する単元におけるキャラクターマップやプロット図を用いた構造的板書について解説します。

執筆/ 大阪府公立小学校教諭 ・樋口綾香

樋口綾香先生 撮影/水本克美(桑島写真スタジオ)

「書くこと」の学習には構造的な板書を

物語を創作する単元は、東京書籍の教科書では全学年で、光村図書の教科書では隔年で系統的に配置されています。

物語創作は書くことの領域ですが、物語を書くためには、様々な物語に慣れ親しんでいないとなかなかスムーズに書き進めることはできません。さらに、系統的に学んできたことが定着していることが、より読み手を惹きつけるおもしろい物語を書ける力となります。

五年生の子供たちは、これまで登場人物の特徴や出来事の重要性、冒頭と結末の関係や山場での人物の変容、作者のしかけなどについて学んできました。しかし、これらを抜け落ちなく物語創作に取り入れることは容易ではありません。物語の内容も、子供たちの思考も構造的に整理しながら、スモールステップで学習を進めていきましょう。

国語スキル1:キャラクターマップ

まずは、どのようなお話にするかを子供たちに考えさせます。単元名に「不思議な世界」とあるので、ファンタジー作品にしたり、物語世界そのものが不思議な舞台であったりと、自由に子供たちに想像するよう促します。

物語の世界が決まれば、登場する人物を考えます。このとき、中心人物(主人公)だけにこだわるのではなく、ほかに登場する人物の特徴や、中心人物との関係についても考えさせます。箇条書きにすると関係を一目で把握することはできません。キャラクターマップを使って、大きめの紙に整理するようにしましょう。

「不思議な世界へ出かけよう」キャラクターマップ の板書例 (クリックすると別ウィンドウで大きくなります)

キャラクターマップには、人物同士の関係と人物の特徴を書き込みます。人物相関図のように、相関関係だけではキャラクターがはっきりしません。どこから書き始めても、付け足しや削除が自由にできるため、取り組みやすく、より具体的に考えることができます。付け足すにはイメージマップのように、線をのばして丸で囲み、削除をするにはそれを消さず、上からバツを書きましょう。物語を書き進める間も、特徴として不必要であった内容にはバツを書くようにすれば、人物の特徴とお話の展開のつながりを意識して物語を書ける子が育ちます。

国語スキル2:プロット図

物語を書くとき、出来事がどのように変化していくかがおもしろさの鍵になります。出来事は一つの物語の中でいくつも起きますが、その中でも物語を貫くもっとも大事な出来事を「事件」といいます。この事件が、起きたとき、変化したとき、解決したときを詳細に考えることが大切です。

書くことが苦手な子は、「出来事」に変化をつけられない、どうやってつなげればよいか分からない、事件解決の方法が思いつかないなど、想像力が乏しいことや物語のおもしろさが何かを理解しづらいことが理由として考えられます。これらは、物語を前からしか読んでいない、人物の気持ちしか読んでこなかった、場面ごとにぶつ切りに読んでいたなどの要因が考えられます。物語を丸ごと捉える、立体的に捉えられると、物語創作のハードルは低くなるでしょう。

そこで、プロット図を使って物語の構成を考えさせます。プロットとは、物語の重要な出来事をまとめたもののことです。プロット図は、折れ線グラフのようになっており、それぞれの出来事が物語の中でどのような位置づけになるかをイメージすることができます。

「不思議な世界へ出かけよう」プロット図 の板書例 (クリックすると別ウィンドウで大きくなります)

具体的な授業の流れ

①「前の時間に考えた物語の大枠や、登場する人物について、隣の人に紹介しましょう」
言葉にすることでより物語世界が想像しやすくなります。また、隣の人に話すと、分からないことなどを質問してもらい、解決することができます。

②「どんなお話にしたか言える人?」

③「おもしろい物語にするために、物語の構成を考えます。構成と聞いて思いつく言葉はありますか?」

④「三年生で学習しましたね。物語の場面展開のことを構成といいます。構成は、『冒頭-事件の起こり-事件の変化-事件の解決-結末』となります。ファンタジー作品を書く人は、現実-非現実-現実をこれに当てはめましょう」

⑤「いちばん盛り上がるのはどこですか?」

⑥「それぞれの場面はいちばん盛り上がるところに向かって、徐々におもしろくなっていくように工夫しなければいけません。読み手をどきどきさせる展開や、表現を工夫するなどして、人物の行動や心情の変化をよく考えましょう」

⑦「では、プロット図を見ながら、出来事の内容を5W1Hを意識して具体的に書きましょう」


『小五教育技術』2018年11月号より

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