小4社会「国際交流に取り組む大田区」指導アイデア
執筆/小金井市立小金井第一小学校主任教諭・丸野陽子
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登
国士舘大学教授・秋田博昭
目次
年間指導計画
・都道府県の様子
・水はどこから
・ガスはどこから
・ごみの処理と利用
・自然災害から人々を守る活動
・伝統文化を今に伝える福島県
・郷土の発展に尽くす
・伝統的な技術を生かす新宿区
・伝統文化を守り生かす台東区
・豊かな自然環境を生かす小笠原
・国際交流に取り組む大田区
目標
国際交流に取り組んでいる大田区について、位置や自然環境、人々の活動や産業の歴史的背景、人々の協力関係などに着目して、地図帳や各種の資料、ホームページなどで調べ、文章や新聞などにまとめ、大田区の様子を捉え、表現することを通して、大田区では、人々が協力し、特色あるまちづくりや観光などの産業の発展に努めていることを理解できるようにするとともに、主体的に学習問題を追究・解決しようとする態度を養う。
評価規準
知識・技能
①大田区の位置や自然環境、人々の活動や産業の歴史的背景、人々の協力関係などに着目して、地図帳や各種の資料、ホームページなどで調べて、必要な情報を集め、読み取り、国際交流に取り組んでいる大田区の様子を理解している。
②調べたことを文章や新聞などにまとめ、大田区では、人々が協力し、特色あるまちづくりや観光などの産業の発展に努めていることを理解している。
思考・判断・表現
①大田区の位置や自然環境、人々の活動や産業の歴史的背景、人々の協力関係などに着目して、問いを見いだし、国際交流に取り組んでいる大田区の様子について考え、表現している。
②大田区の人々の活動や産業とそれらの地域の発展を関連付けたり、自分たちの住む地域と比較したりして、その地域の特色を考え、適切に表現している。
主体的に学習に取り組む態度
①国際交流に取り組む大田区について、予想を立てたり、考えたりして、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。
学習の流れ(9時間扱い)
問題をつくる 3時間
- 東京都で生活する外国人人口の推移や、日本の玄関口である羽田空港について調べる。
- 大田区に住んでいる外国人の国籍や人口の推移、「国際都市おおた宣言」の内容を調べ、学習問題を立てる。
(学習問題)
大田区では、国際都市を目指してどのような取り組みをしているのだろう。
- 学習問題に対する予想をし、学習計画を立てる。
追究する 4時間
- 大田区が国際交流に取り組むことになった背景や歴史、外国人旅行者に対する取組を調べる。
- 大田区で生活する外国人を支援する活動を行っている地域の人たちの取組を調べる。
- 「『国際都市おおた』多文化共生推進プラン」を読み、大田区の取組や人々の協力関係について調べる。
- 大田区や関係機関、大田区民の取組について調べる。
まとめる 2時間
- 大田区が、どのようなまちづくりを進めているかを話し合う。
- 調べたことを関係図に表し、学習問題に対する自分の考えをまとめる。
問題をつくる
東京都や大田区に住んでいる外国人の国籍や人口の推移などを調べ、気付いたことを話し合い、学習問題を設定する。(1、2、3/9時間)
導入のくふう
大田区に住んでいる外国人の国籍や人口の推移を調べるとともに、「国際都市おおた宣言」の内容について話し合うことで、大田区のまちづくりに関心をもち、主体的に追究できるようにする。
2時間目
大田区に住んでいる外国人の国籍や人口の推移、「国際都市おおた宣言」の内容を調べ、学習問題を立てる。
羽田空港(東京国際空港)のある大田区では、外国人の人口について、どのようなことがわかりますか。下のグラフを基に話し合ってみましょう。
大田区には、多くの国の人が住んでいることがわかります。こんなに多くの国の人が、大田区で生活しているとは思いませんでした。
一番人口が多いのは、中国の人なんですね。2位の韓国の人たちの倍以上の数だけど、こんなに多いということは、大田区は、中国の人が生活しやすいのかな?
5年間の間に、人口が増えている国がほとんどですね。どうして増えてきたのかな? やっぱり羽田空港が近いことに関係があるのかな。
僕は、羽田空港が近いことだけが理由ではなくて、大田区は、外国人が生活しやすいまちづくりをしているのではないかと思います。
大田区では「国際都市おおた宣言」をしているそうです。この宣言の本文を読んで、大田区のまちづくりについて、疑問に思ったことを話し合ってみましょう。
国際都市おおた宣言
~地域力で世界にはばたく~
おもてなしの翼を広げ 世界中の人々を歓迎しよう
暮らしが息づく多彩な魅力あるまちとして
訪れる人を迎えます
ふれあいの翼を広げ 多様な文化を分かち合おう
互いの個性を認め誰もが活躍できる
笑顔あふれるまちをつくります
みらいの翼を広げ 豊かな明日をともにつくろう
おおたが誇る匠の技が世界の期待に応え
新しい産業をつくります
大田区は、日本のゲートウェイとして、地域の力を結集し、新たな時代を切り拓いて、
世界にはばたく「国際都市おおた」を宣言する。
平成29年3月12日
大田区
「おもてなしの翼を広げ、世界中の人を歓迎しよう」と書いてあるので、浅草や小笠原のように、大田区も観光に力を入れていると思います。羽田空港にやって来るたくさんの外国人を迎え入れる取組をしているのではないかな。
大田区に住んでいる外国人もいるよね。「ふれあいの翼を広げ、多様な文化を分かち合おう」とあるから、地域の人が協力して外国の方と交流をしたり、外国人が住みやすいよう取組を区が行ったりしていると思います。
「国際都市おおた」を目指しているのだから、外国人が住みやすいまちづくりをしていると思います。でも、多くの国の人が住んでいるから、言葉が通じなかったりすることはないのかな。何か取組をしているのではないかな。
大田区では、国際都市を目指してどのような取り組みをしているのだろう。
追究する
国際交流に取り組む大田区について、人々の活動や産業の歴史的背景、人々の協力関係などに着目して調べる。(4、5、6、7/9時間)
関連付けて考えるくふう
国際交流の歴史、外国人観光客への取組、地域の人たちの支援活動を調べた後に、「『国際都市おおた』多文化共生推進プラン」を読み合う活動を設定することで、関係機関や地域の人々の協力とまちづくりの方針を関連付けて考えられることができるようにする。
6時間⽬
「『国際都市おおた』多文化共生推進プラン」を読み、大田区の取組や人々の協力関係について調べる。