小5国語科「方言と共通語」全時間の板書&指導アイデア

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文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小5国語科「方言と共通語」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小五 国語科 教材名:方言と共通語(光村図書・国語 五)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/神奈川県横浜市立東汲沢小学校校長・丹羽正昇
執筆/神奈川県横浜市立石川小学校・岡村友香

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、方言と共通語の違いを理解し、相手や目的に応じて適切に使用できる力を身に付けていくことが、求められます。

共通語の特徴としては、地域を超えて通じる言葉なので、適切に使うことで異なる地域の人々が互いに伝えたいことを理解することができます。一方、方言はある地域に限って使用され、地域の風土や文化に根付いた言葉なので、方言の価値を見直し、保存・継承していくことが求められます。共通語と方言のそれぞれの特徴を理解した上で使い分ける必要があります。

しかし、本単元だけでこの力を付けることは難しいので、本単元で方言や共通語の特徴を考え、日常の中でも使い分けることで、それぞれのよさを感じさせるようにします。

また、生活の中では、思っている以上に方言に触れる機会が多く、意識せずに使っている言葉が方言なのか共通語なのか、もしくは新たに生まれた言葉なのかを十分理解できていない状態も考えられます。多くの言葉であふれるこの時代、自分たちの今使っている言葉を見直すきっかけとして、相手や目的を意識した言葉の担い手に育てていきたいと思います。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本実践では、方言と共通語、それぞれの価値や使用する場面を考えた上で、自分たちの住んでいる地域の方言を調べ、方言や共通語が使われる場面や状況をまとめ、方言や共通語の特徴を捉える言語活動を設定します。
自分の地域の方言を調べることによって、普段何気なく使っている言葉がじつは方言だったということに気付くこともあります。また、自分たちが使っている言葉が方言なのか、共通語なのかを自覚することができるでしょう。

自分たちの地域の方言を実際に調べることは、方言の特徴である「地域の風土や文化に根付いた言葉」を保存・継承していくということに適切な場面だと考えます。
また、方言は書き言葉ではあまり使われないことが多いので、学んだ言葉を生かしていくためにも、話し言葉の中でどのように方言を使うかを考えることも必要です。

一方、共通語が使われている場面や状況も調べ、そのよさや特徴などを方言との違いから理解し、適切に方言と共通語を使い分けていく子供たちが育つことを願い、この言語活動を設定しました。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 ゴールを見通した導入

主体的な学びを生み出す上で大切なのは、学びたいという意欲です。
興味・関心を抱き見通しをもって学習をするという意味では、単元の導入部分が大切だと考えます。
導入の部分で、方言で書かれている地域紹介パンフレットと共通語で書かれている地域紹介パンフレットを読み比べたり、子供たちが普段見ている情報番組を視聴したりします。
そこでは、方言が使われている部分と共通語が使われている部分を具体的に比較することができるので、両方の特徴に無理なく気付くことができます。
方言と共通語の特徴を実際にあるパンフレットや身近な情報番組によって整理・分類することで、自分たちが普段何気なく使っている言葉に関心を寄せることができ、主体的な学びに繋がると考えます。

〈対話的な学び〉 グループの友達と協働し、方言と共通語を使う場面や状況を整理する

方言や共通語で書かれている地域紹介パンフレットを読み比べたり、情報番組の地域の特産物紹介コーナーとニュースを伝えるコーナーの動画を見比べたりする中で、共通語と方言の特徴や、適切に使う場面を、グループで整理・分類します。そうすることによって、さまざまな視点が生まれてくることを期待します。
個人で考える時間を取った後、グループ内でそれらについて話し合うことで、自分だけでは気付かなかった共通語や方言の価値に気付くことができます。
自分では共通語だと思っていた言葉がじつは方言だったことに気付いたり、わざと方言を使っている部分に着目し、その理由を考えたりする活動は、個人で行うことも大切ですが、一人一人の言語感覚の違いからの気付きのほうが大きい場合があります。
その意味では、各自の言語感覚を土台として、実際に使われている場面や状況を整理するための対話的な学びの効果は大いに期待できます。

〈深い学び〉 日常でも方言と共通語を意識し、相手や目的に応じて使い分けようとする

本単元で方言と共通語に親しんだことをきっかけに、今後、様々な機会をとらえて方言と共通語の使い分けを意識できるようにしたいものです。
方言の価値や面白さ、共通語の大切さに気付き、普段自分たちが使っている言葉を見直したり、相手や目的、場面等を意識したりしながら、自覚的に運用できる力を育てていきましょう。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)共通語と方言の特徴や使用する場面を整理、分析する場面で活用

1時間目に、情報番組の地域の特産物を紹介するコーナーとニュースを伝えるコーナー、方言を使用した地域紹介パンフレットと共通語を使用した地域紹介パンフレットを比較します。
その際、ICT機器の中の情報を整理するアプリケーションを活用し、表などに整理していくことで、特徴が捉えやすくなります。さらにコミュニケーションツールを活用することで、友達と意見交換したり考えを共有したりすることもできます。

(2)情報を収集する場面で活用

自分の地域の方言について資料を活用して調べていく際には、動画などを用意することで、方言のアクセントなども実際に体験することができます。
しかし、言葉集めの段階でやみくもに端末を使用することは、一度に大量の情報を子供たちに与えることになり、迷いを生じさせてしまうことにもなりかねません。
以上の点を踏まえて、教師は、活用できる資料をあらかじめ絞って提示することが大切です。ICT機器内に資料をアーカイブ化できる場所を用意し、資料箱をつくるとよいと思います。

6. 単元の展開(2時間扱い)

 単元名: 方言と共通語の特徴や使う場面を整理して、自分の考えをまとめよう

【主な学習活動】
1時、2時
① 方言と共通語で書かれたパンフレットや、情報番組の中で方言や共通語がどのように使われているのかを比較し、方言と共通語の特徴や使う場面を知り、自分たちの地域の方言や共通語の特徴を整理する。〈 端末活用(1)(2)〉

② 1時間目に作成した方言や共通語の特徴をまとめた表を活用し、そこから方言や共通語について考えたことを出し合い、自分の考えをまとめる。〈 端末活用(1)〉

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例
「主体的な学び」のために

イラスト/横井智美

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