小4算数「変わり方」指導アイデア《伴って変わる2つの数量を探して式に表す》

特集
文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」

執筆/横浜市立庄戸小学校教諭・渡邊督之
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、島根県立大学教授・齊藤一弥

単元の展開

第1時 伴って変わる2つの数量の関係(和が一定になる場合)について、表を用いてその関係を捉え、□や○を使った式に表すことで、問題を解決する。

第2時 伴って変わる2つの数量の関係(差が一定になる場合)について、表を用いてその関係を捉え、□や○を使った式に表すことで、問題を解決する。

第3時 伴って変わる2つの数量の関係(商が一定になる場合)について、表を用いてその関係を捉え、□や○を使った式に表すことで、問題を解決する。

第4時(本時)既習事項や日常の事象から、伴って変わる2つの数量を見いだし、表を用いてその関係を捉え、□や○を使った式に表す。

本時のねらい

既習事項や日常の事象から、伴って変わる2つの数量を見いだし、表を用いてその関係を捉え、□や○を使った式に表すことができる。また、そのことを通して、既習事項や日常の事象から、伴って変わる2つの数量を見いだそうとする態度を育てる。

評価規準

・既習事項や日常の事象から、伴って変わる2つの数量を見いだし、表を用いてその関係を捉えたり、□や○を使った式に表したりすることができる。
・既習事項や日常の事象から、伴って変わる2つの数量を見いだそうとしている。

本時の展開


今までの学習や身の回りのことから、ともなって変わる2つの量をさがそう。

今日の問題を考える前に、これまで学習してきたことをふり返りましょうか。まず、教室にある76ページの本を、「読んだページ数」と「残りのページ数」の2つの量について、表にしたり式にしたりしましたね。どんな関係がありましたか。(表と式を提示する)

「読んだページ数」が1ずつ増えると、「残りのページ数」が1ずつ減りました。

表の上と下を足したら、いつも76になることを○○さんが見付けました。

「読んだページ数」を□、「残りのページ数」を○としたら、□+○=76という式になりました。

それが分かると、どんなよいことがありましたか。

「読んだページ数」が分かれば、「残りのページ数」が簡単に見付けられました。

次に、1辺が1㎝の正三角形を隣にくっつけて(2個のときはひし形、3個のときは台形、4個のときは平行四辺形となるように)並べていって、「正三角形の数」と「周りの長さ」の2つの量について、表にしたり式にしたりしましたね。どんな関係がありましたか。(表と式を提示する)

「正三角形の数」が1ずつ増えたら、「周りの長さ」も1ずつ増えました。

表の下から上を引いたら、全部2になることを□□さんが見付けました。

「正三角形の数」を□、「周りの長さ」を○としたら、□+2=○という式になりました。

○-□=2の式にもできました。

そうすると、どんなよいことがありましたか。

「正三角形の数」が20個のようにたくさんのときも、すぐに「周りの長さ」が分かりました。

20+2=22と、すぐに求められたよ。

そして、前の時間には、1辺が1㎝の正方形を階段のように1段、2段……、と並べていきましたね。そのときも「段の数」と「周りの長さ」の2つの量について、表にしたり式にしたりしましたね。どんな関係がありましたか。(表と式を提示)

「段の数」が1ずつ増えたら、「周りの長さ」が4ずつ増えました。

「段の数」を□、「周りの長さ」を○としたら、□×4=○という式になりました。

○÷□=4という式もできることを△△さんが考えていました。

表の下から上を割ると全部4になることも見付けました。

そうすると……。

「段の数」が大きくなっても、「周りの長さ」がすぐ分かります。

100段でも100×4=400だとすぐ分かります。

学習してきたことを並べてみたけれど、式を見て気付くことはありますか。

たし算とひき算とわり算があります。

あっ、かけ算だけないよ。

確かにそうですね。でも、式にするとかけ算になる、伴って変わる2つの量はありますか。

表の上と下を掛けたら、いつも同じになるものだよね。

□×〇がいつも同じになるものかぁ。

思い付きませんか。例えば、九九の答えが24になるかけ算は何がありますか。

4×6です。

3×8です。

そうしたら、2には何をかけたら24になりますか。

2×12だから12です。

1はどうですか。

1×24だから24です。

それを「掛けられる数」と「掛ける数」の2つの量で、表にしてみたらどうなるでしょう。(表を見せる)

上と下をかけたら全部24になっているよ。

□×〇=24になるね。

では、いよいよ問題について考えてみましょうか。黒板に4つの例があるように、上と下、□と〇の関係が、たし算、ひき算、わり算、かけ算になる、伴って変わる2つの量を探してみましょう。


今まで学んだことや身の回りのことから、伴って変わる2つの量を探し、表や式で表そう。

見通し

「差」と聞くと「年の差」を思い出すけど、関係あるのかな。(方法の見通し)

2つの量の1つが1増えると、もう1つが1増えたり減ったりするものを探したらいいのかな。(方法の見通し)

九九表に何個も積としてのっている数のかけ算だと、掛けられる数と掛ける数が伴って変わりそうね。(結果の見通し)

自力解決の様子

A つまずいている子
本時のそれまでの学習から解決策を類推したり、伴って変わる2つの数量を捉えたりすることができず、表や式がかけずに困っている。


B 素朴に考えている子
本時のそれまでの学習を基にして、数値を変えたり、場面を変えたりして、伴って変わる2つの数量を、表や式に表している。


C ねらい通り考えている子
本時のそれまでの学習から発展させ、既習事項や日常の事象から、伴って変わる2つの数量を見いだし、それを表や式に表している。

学び合いの計画

Aの子が3割ほどいるので、まずは学習のねらいを示す前に、同単元のこれまでの学習をふり返り、「伴って変わる2つの量」や「表から読み取ってきたこと」、さらに「式に表すよさ」について再確認します。そのことで、Aの子も解決に向かいやすくします。

また、そのことによって、四年生では見いだしにくい積が一定になる場合の伴って変わる2つの数量にも「和が一定・差が一定・商が一定」という流れから、自然にふれられるようにします。

そうすることで、自力解決の際の考えの1つとして表現できるようにしておくとともに、六年生での「反比例」の学習の素地としてふれられるようにしておきます。さらには、これまでの学習が示されていることから類推して考えることができるようにし、Aの子も解決に向かいやすくします。

BやCの子には、「和が一定」のものを考えているなら、「差・商・積が一定」のものも考えられないか声をかけ、より既習事項や日常の事象から、伴って変わる2つの数量を見いだそうとする態度を育てていきたいものです。

A、B、Cのすべての子が自分の考えをもつことができた状態で、タブレット端末を活用して、全体で考えを共有し、学び合うことで、伴って変わる2つの数量の関係についての見方を広げることができる環境をつくります。

ノート例

B 素朴に解いている子

C ねらい通り考えている子

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

※C1、C2、C3のそれぞれが発表をする。

C1
答えが20になるたし算のたされる数とたす数

○+□=20


C2
わたしと妹の年れい

○-□=2


C3
1こ10円のおかしを買った数と代金

○÷□=10


24このからあげを分ける人数と1人分の数

○×□=24


みんなが考えた、伴って変わる2つの量がテレビに映っていますね。同じだと思う考えはありますか。

イラスト/横井智美

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