「イノベーション・コモンズ」とは?【知っておきたい教育用語】
大学全体が多様なステークホルダーと連携して、創造性豊かな人材を養成し、独創的かつ先端的な研究を推進していく共創拠点「イノベーション・コモンズ」。各大学では、キャンパスの共創拠点化に関する様々な取組が始まっています。
執筆/「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム

目次
イノベーション・コモンズとは
日本では、Society 5.0の実現に向け、国立大学、大学共同利用機関、国立高等専門学校が地域や社会の課題解決や新たなイノベーションに貢献していくことが期待されています。また、今後さらにグローバル化が進んでいくなか、世界中から優秀な研究者、留学生を集め国際競争力のある環境を整えていくことも重要な課題です。
こうした状況から、大学が市民・行政・教育研究機関・企業など社会の様々なステークホルダーと連携して、新たな価値を共創していくことが求められており、キャンパス全体をその共創拠点となる「イノベーション・コモンズ」へと転換する動きが国立大学などで進んでいます。
令和3年10月には「国立大学法人等の施設設備の推進に関する調査研究協力者会議」が設置され、「イノベーション・コモンズ」の実現に向けて、国及び国立大学等における推進方策を検討し、国の予算の確保、教育研究機関等の充実に向けたソフト・ハード面の一体的な取組への支援などが提言されました。
共創が求められる背景
近年の日本社会は、急速な人口減少や少子高齢化などの課題に直面する一方で、Society5.0の実現や、SDGsの目標達成も求められています。こうした困難かつ大きな課題に対応していくためにも、大学の果たす役割はますます大きくなっています。
また、地方社会にも様々な課題があり、地域の様々な人材が知見を持ち寄って連携を図り、地域社会を支える取組を行っていくことが求められています。
イノベーションを従来のような「新しい産業につながる革新的な技術を創出すること」だけではなく、経済や社会の変革や国民一人一人のライフスタイルを含めた「社会的意義のある新しい価値を創造し、社会的変化をもたらすこと」として捉え直すなかで、大学の「イノベーション・コモンズ」化が求められているのです。