小3 国語科「詩のくふうを楽しもう」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小3 国語科 「詩のくふうを楽しもう」(光村図書)の全時間の板書、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都渋谷区立富谷小学校・佐藤綾花
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
この単元では、文章を読んで理解したことに基づいて、感想や考えをもつ力を身に付けます。
教科書には「何かがかくれている詩」「声に出して読むと、楽しい詩」「見て楽しむことのできる詩」がそれぞれ2編ずつ紹介されています。
これらの詩を読むことをきっかけにして詩の工夫に注目し、自分のお気に入りの詩を選んだり、読んだ詩の工夫をいかして自分で詩を書いてみたりすることを通して、詩の工夫への理解を深め、感想や考えをもつ力を身に付けられるようにします。
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
本単元では、「お気に入りの詩の工夫を紹介する」「読んだ詩の工夫をいかして創作する」という二つの言語活動を行います。
第2~3時で、「お気に入りの詩の工夫を紹介する」、第4時で「読んだ詩の工夫をいかして創作する」ことを行っていきます。詩を創作することが難しいと感じる児童もいることが予想されますが、第1時で詩の工夫を押さえ、その工夫を用いて詩を創作することを伝え、取り組む意欲を喚起させていきます。
どちらの言語活動においても詩の工夫に目を向けさせ、見つけた工夫を基に紹介したり創作したりすることができるようにします。「お気に入りの詩を紹介する」際は、Microsoft PowerPointを使って「①お気に入りの詩の紹介(引用)→②詩の工夫→③自分の感想や考え」の順で紹介します。
PowerPointにまとめたものを見せながらお気に入りの詩を紹介し合い、友達のお気に入りの詩にも触れることで、詩の工夫への理解をさらに深められると考えます。
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉「詩の工夫を見つけて紹介したい!」「工夫をいかして創ってみたい!」と意欲をもてる導入
単元の導入で児童が教科書に提示されている六つの詩と出合い、詩の面白さを感じられるようにするとともに、「紹介する」「詩を創作する」という言語活動にも意欲をもてるようにします。そのために、それぞれの詩の工夫に合わせて提示の仕方を工夫します。
「何かがかくれている詩」は、2編の詩をいっぺんに提示し、何を表している詩か、クイズのようにして考えさせます。(「かたつむり」の後に「ことばだいすき」の詩を提示すると、行頭の文字を並べて読むと言葉になるという工夫にすぐに気付いてしまいます。)「分かっても声に出さないでね。」と伝え、全員の児童がしっかりと詩に向き合える時間を作ります。
「声に出して読むと、楽しい詩」は「色々な読み方をしてみよう。」と投げかけ、色々な音読の仕方を試す時間を設定し、面白い読み方ができたら披露させるなどして、言葉の響きや似た言葉の面白さを十分に感じられるようにします。
「見て楽しむことのできる詩」は、目に入った瞬間に感じられる面白さと、じっくり読んでみて感じられる面白さがあります。「波(階段)の形になってる!」という気付きだけでなく、「波(階段)の様子を表している」という点にも目を向けさせたいところです。
六つの詩との出合いの後、教師自身がよいと思った詩を紹介します。教師自身が詩集から見つけたお気に入りの詩の工夫を紹介することで、「自分も詩の工夫を見つけて紹介したい!」と思えるようにします。
〈対話的な学び〉 紹介し合うことを通して、互いの考えや良さを認め合う
本単元では、「お気に入りの詩の工夫を紹介する」「読んだ詩の工夫をいかして創作する」という二つの言語活動を行っていきますが、共通しているのが、「紹介し合う場面がある」ということです。
「お気に入りの詩の工夫を紹介する」場面では、児童が紹介し合うことで、一人一人の感じ方の違いに気が付いたり、自分では気付くことができなかった言葉のよさに気が付いたりすることができます。
また、「読んだ詩の工夫をいかして創作する」際に紹介し合う場面では、互いの工夫や詩のイメージを共有することで、互いの考えを認め合うことができます。
それぞれの紹介する場面を丁寧に指導することで、本単元の学習を通して児童が互いの感じ方や考え方の違いをよさとして認め合うことができるように進めていきます。
〈深い学び〉 学んだ「詩のくふう」を広げていく
本単元で、児童は3点の詩の工夫に触れます。
・行の最初の字に言葉を隠す。
・声に出して読むと面白い言葉を使う。
・文字や言葉を絵のように並べる。
の3点です。本単元では、この3点の工夫を中心として学習を進めていきますが、私たちの身の回りには、回文や韻を踏むこと、七・五調や新聞のテレビ欄の縦読みのようなアクロスティックなど、様々な言葉の工夫があります。
今回の学習をきっかけにして、身の回りにある言葉の工夫に目を向け、言葉のよさを感じ、言葉を大切に使おうとする態度の育成につなげていきます。
5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント
(1)PowerPoint等の資料を使って、お気に入りの詩や創作した詩を紹介する
「お気に入りの詩の工夫を紹介する」「読んだ詩の工夫をいかして創作する」どちらの言語活動でも、1人1台端末を使って紹介することで、より多くの詩に触れることができます。それぞれの言語活動における、1人1台端末活用の指導のポイントは以下の通りです。
「お気に入りの詩の工夫を紹介する」
PowerPoint等の資料を使い、次のような構成でお気に入りの詩の工夫を紹介します。
① お気に入りの詩の紹介(引用)
② 詩の工夫
③ 自分の感想や考え
本単元は、お気に入りの詩の工夫を書いて伝える力を付けることがねらいではありません。「理解したことに基づいて感想や考えをもつ」という読むことの力を身に付けることがねらいです。そのため、紹介の仕方の構成はあらかじめ決め、「どのように伝えるか」で悩むことがないようにします。
「創作した詩を紹介する」
創作した詩をPowerPoint等に打ち込みます。出来上がった詩は、友達同士で読み合い、付箋機能を使って感想を貼っていきます。
6. 単元の展開(4時間扱い)
単元名: 詩のくふうを楽しもう
【主な学習活動】
・第一次(1時)
第1時
① 6編の詩を読み、それぞれの詩の工夫について考える。
・2編ずつ提示された詩を読み、それぞれの工夫はどのようなことか話し合う。
・教師のお気に入りの詩を読み、工夫はどのようなことか話し合う。
② 学習の見通しをもつ。
・2~3時で「お気に入りの詩の工夫を紹介する」こと、第4時で「読んだ詩の工夫をいかして創作する」ことを見通し、学習計画を立てる。
・第二次(2時、3時)「お気に入りの詩の工夫を紹介する」
第2時
・学校図書館にある詩集を読み、お気に入りの詩を見付ける。
・PowerPoint等を活用して「①お気に入りの詩の紹介(引用)→②詩の工夫→③自分の感想や考え」の順でまとめる。
第3時
・まとめたPowerPoint等の資料を見せ合い、お気に入りの詩の工夫を紹介する。
・第三次(4時)「詩を創作し、紹介し合う」
第4時
・第1時で学習した詩の工夫をもとに、詩を創作する。
・創作した詩を読み合い、PowerPointに感想を付箋で貼っていく。
全時間の板書例と指導アイデア
イラスト/横井智美
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