「コンビニ陳列」で、職員室をより楽しく、事務作業をより効率的に! オススメの文具備品管理・環境美化法
人生は探しものの連続です。あれがない、これがない、どこに行った? 探している時間を積算するとすごい時間に…。学校の事務仕事でDX化は進んでいますが、アナログ的な文具グッズ、事務ツールなどはまだまだ活用の場が多いですね。これらをきれいに整頓する実践を行っている事例をご紹介します。見た目が美しく、仕事のやる気がアップすること間違いなし。作業の時短につながりますし、教職員の定時退校にも大いに役立ちますよ。
【連載】がんばれ教頭クラブ
目次
1 働いていて気持ちよく、やる気が出る環境に
まずは上掲の写真をご覧ください。どうですか、まるでコンビニのように、きれいに陳列された文具品の数々。見ているだけで楽しくなってきませんか? これは、わたしの勤務校における実例です。
文具や事務グッズが散乱していて、どこにあるか分からないと、仕事へ取りかかるスタートラインからつまずいてしまいますね。そして仕事の効率が悪いと、その質も低下してしまいます。
管理職としては、仕事の効率化を図る上で、まずは環境面から着手するのが大変効果的です。事務職員とタッグを組み、文具を共有化して、使いやすい配置をするのがオススメです。
よほどお気に入りの文具であれば、個々人の専用として管理するのがよいでしょうが、使用頻度の低いものについては、この写真のように共有化するほうが、効率向上とコスト削減の両面で効果的です。
2 棚卸しをして、再検討しよう
まず、教頭と事務職員が共同して、現在職員室にある事務用品をリサーチします。使用頻度の低いもの、個人で持っていなくてもよいと思われるものを教職員各人の判断で提出してもらい、いったん回収してしまいましょう。「コンビニ陳列」に向けた、いわば「棚卸し」の作業ですね。
ここで、どのような文具を自分の手元に残すのか、かなり個人差があるかもしれません。それはそれでOKです。実際に使ってみなければ分からないことも多いからです。いったん「コンビニ陳列」が完成し、教職員全員が実際に活用を始めれば、各人の共有化と私物化の効率性が、どんどん向上していきます。
回収や分類には手間がかかりますので、委員会を立ち上げて、担当職員を決めた上で、共同で作業するのをオススメします。
回収した文具類を分類すると、どの程度の陳列スペースが必要か、という、配置するときの規模感をイメージできるようになります。
これをもとに、陳列スペースをどこにとるか、レイアウトや導線を考えましょう。
また、導線を考える際には、プリンターやコピー機など、共用の機器をどこに配置するかも考えましょう。陳列棚と共用機器の利用がバッティングして、お互いを邪魔したりしないように配慮しましょう。
買い足したほうがよいもの、当面補充の必要がないものなど、大体の予算感もつかめると思いますので、陳列に使うための部材とともに、不足品の補充手配も進めます。
3 文具を設置するポイントは?
「コンビニ陳列法」による文具設置では、「フェイスを増やす」「グルーピング」「ゴールデンライン」の3つのキーワードをもとに改善していくことが望ましいです。以下、ポイントを示します。
①フェイスを増やす
それぞれのアイテムの視認性を上げることで、利用者が探しているものが、すぐに目につくようにするテクニックです。垂直方向に並べる陳列方法が、フェイスを増やすのには最も向いています。コンビニなど、お店の陳列方法を真似しましょう。アイテムによっては、バスケットやゴンドラの活用も効果的です。
②グルーピング
アイテムの種類と用途に応じて、似たものや近いものをまとめるようにします。探すほうは、「何か貼りたい」「切りたい」「綴じたい」などの目的をもっているからです。アイテムの名前をラベリングすることでさらに視認性が高まり、一層効率化が図れます。
③ゴールデンライン
コンビニなどの陳列方法には、「ゴールデンライン」という概念があります。人間の目線の高さに近いところ(約1メートル~1.5メートル)に陳列された商品が、売上のほとんどを占める、というものです。また、商品の左右の並びの中では、中央に配置されたものが最も売れるそうです。
この考え方を活用し、使用頻度の高いものほど、自然に手を伸ばせば取れる場所、中央の一番目立つ場所に並べていきます。ユーザビリティの視点で使い手にやさしい環境づくりをしていきましょう。
4 教育活動とは区別して
わたしの周囲でも、このように文具や事務ツールを配置している学校は、効率よくクリエイティブに働けると、とても好評です。
共用の備品が可視化されることで、時計の電池交換や、ホワイトボードの筆記具、イレーサーシートの交換など、共用の設備のメンテナンスも気付いた人が実行するようになり、学校全体の環境保全にも役立ちます。
管理職と管理委員とで共同して、欠品がないかどうか、使った後にしっかり返却されているかどうか、時々チェックしていきましょう。
ただ、職員の事務効率向上を目的としているのに、文具や紙などを授業や児童会、クラブ活動などで児童生徒に大量に使わせ、補充しないケースが発生することがありますので、教職員全員と、授業で使うものや教材づくりは、別の予算で行うべきことを明確にしておきましょう。 設置者と使用者がお互いの思いを伝え合い、適切なルールをつくって、運用していきましょう。
なお、こちらのサイトも大変参考になりますので、ぜひご覧ください。
【参考図書】
教師の生産性を劇的に上げる職員室リノベーション 32のアイデア 上部充敬/明治図書出版
山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、様々な分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、様々な資格にも挑戦しているところです。