You really use good eye contact, you also use gestures, and you have your smile 【「英語教育実施状況調査」4回連続全国1位!さいたま市中学生の英語力はナゼ高い? #02】

関連タグ

前回、さいたま市教育委員会が早くから国際的なコミュニケーション力の育成を目指し、平成28年度から全市でグローバル・スタディ(以下、G・S)を開始した経緯を紹介しました。では、G・Sカリキュラムのもとで、実際にどのような授業が行われているのでしょうか。今回は、さいたま市教育委員会も、その授業力を評価するさいたま市立宮原中学校の岩崎拓也教諭が、ALTのポール先生とAll Englishで行った授業の様子をレポートします(授業中の英会話文に出てくる、岩崎:=岩崎教諭の発言、ポール:=ポール先生の発言、生徒:=生徒の発言)。

さいたま市立宮原中学校の岩崎拓也教諭。

英語で旅行者へ道案内&名所の情報を伝える

始業の挨拶後、「OK, Everyone? Are you ready to start?」と問いかける岩崎教諭に、「OK!」と生徒たち。岩崎教諭は Warm-up Activity として、既習表現や語彙の復習を行うためのリスニング教材用ワークシートを配付し音声を流します。

Steve が Miki に京都観光に行った話をし、Miki が他の観光地もすばらしいと勧める英会話を聞き、まず内容理解ができているか確認のため、ワークシートの問いに答えた後、正誤の確認。続いて、生徒たちは会話文のスクリプトを一緒に読み(オーバーラッピング)、どんな英会話の内容が話されていたかを確認します。

ここで岩崎教諭が、「You have a school trip next week. Right? Where are you going to go?」と、修学旅行を控えている生徒たちに、旅行の予定や調べ学習で学んだことについて英語で問いかけ、ポール先生と一緒に旅行先に関する英会話に巻き込んでいきます。

この会話を基盤に、2nd Activity として旅行者がさいたま市内にいると設定。岩崎教諭とポール先生が、さいたま市の名所案内をする例を見せます。

Warm-up Activity で確認した単語やセンテンスを基に、さいたま市の有名な観光地について話を進めていく岩崎教諭とポール先生。

ポール:What are the famous places in Saitama city?

岩崎:OK. I think Miyahara station is a famous place in Saitama city. There is a big summer festival, Miyahara matsuri in summer. ……(会話続く)

この観光案内の英会話例文から基本文を3文抜き出して示し、発音練習。それを使って生徒同士で、さいたま市の名所を観光案内する練習を行い、Warm-up Activity を終えました。

ここから教科書教材を示し、生徒と一緒に本時の活動目標を確認する岩崎教諭。

「OK. Let’s move on the today’s lesson. Power up 1. “道案内しよう2。電車の乗り換えをしよう” You will practice to guide at the station for travelers in English.」と話し、「旅行者に駅で道案内ができるようになろう」「旅行者に旅行をより楽しんでもらえるように、自分が知っている情報を相手に伝えよう」と目標を確認していきます。

そしてポール先生と地元宮原についての簡単な英会話をした後、ポール先生がトラベラー役、岩崎教諭が案内役として本時のモデルとなる会話を見せていきます。

ポール:Excuse me, could you tell me how to get to the Bonsai Museum?

岩崎:Ah! The Bonsai Art Museum. OK. We are at Miyahara station now.

ポール:OK.

岩崎:So, Go to Omiya and change trains there.

ポール:OK. Which train should I take there?

実際に道ゆく人を呼び止めて道を尋ねる様子を演じながら英会話を見せていく、ポール先生と岩崎教諭。

乗り換えの駅や路線、時間などを英会話でやり取りして見せる2人。このモデルによって、どんなことができればよいのか生徒たちにイメージをもたせた後、本時の活動で使う表現について、教科書教材である福岡市の地下鉄の乗り換え教材の音声を聞き、岩崎教諭が生徒に電車の乗り換え案内の表現を確認していきます。

岩崎:OK, everyone? Question. Where does she want to go?

一人の生徒:Fukuoka 空港.

岩崎:Fukuoka 空港. What is 空港 in English?

生徒:Airport.

岩崎:OK, airport. Fukuoka 空港=Fukuoka Airport.

そこから登場人物の居場所や乗り換え方法、所要時間などについて英語で質問を続けていくと、次第に聞き取れていない生徒もいたのでしょう、反応が少しずつ減っていきます。

岩崎:OK. Let’s listen again. Try to catch the information.

再度、会話音声を流した後、周囲の人たちと登場人物の居場所や乗り換え方法、所要時間について英語で確認させていきます。そして、黒板に貼り出した福岡市営地下鉄の路線図を指しながら、改めて質問する岩崎教諭。

岩崎:Where are they now? They are at…?

生徒:Kaizuka station.

岩崎:That’s right. Kaizuka station is on the Hakozaki line=blue line. She wants to go to Fukuoka airport. So at first, she should go to…?

岩崎教諭が英語で乗り換えについて質問し、それに答えていく生徒たち。乗り換え時間の30分について、thirteenと発音した生徒がいるのを聞き取ったポール先生は、すぐに「Thirty minutes」と発音を示して確認します。

それから教科書を開かせ、「Let’s check phrases with reading.」と言い、会話の確認。全文確認後、ポール先生と発音練習、センテンス確認をしていきます。

教科書教材の画像資料を基に、乗換案内の表現を練習していく。

旅行者に英語でさいたま市の道案内&名所案内しよう

教科書の事例で電車の乗り換え案内の基盤づくりをした後、岩崎教諭とポール先生が英語でやりとりしながら、福岡の有名なものや場所から、さいたま市の有名なものや場所へと話を戻していきます。

岩崎:Do you know anything about Fukuoka?

ポール:Yes. I like Hakata ramen.

岩崎:Oh, you like Hakata ramen. We have Tofu-Ramen in Saitama city.

ポール:Tofu-ramen? What’s that?…(さいたま市の話へ)

自然に地元さいたま市へと話題転換した後、岩崎教諭とポール先生がここから行う道案内&観光案内の学習活動について、次のように状況設定を説明します。

岩崎:The traveler is at Miyahara station now. The traveler wants to go to famous places in Saitama City.

ポール:I live in Kanagawa. So, I don’t know any famous places in Saitama. Could you tell me what are famous places in Saitama?

生徒の一人が、「My house.」とのジョークを言い、さらに別の生徒が「Nothing!」 と自虐を込めて言い、教室に笑いが広がります。

ポール:Nothing? You live in Saitama City so long. Give me an example! (生徒の反応が薄い)

ポール:I know Miyahara Junior High School.(生徒笑う)

ここで、さいたま市の簡単な路線図と名所が示された画像をプロジェクターで映しながら、さいたま市の観光名所の特徴を英語でやり取りし、確認する岩崎教諭。

路線図や観光地の画像を見せながら、乗り換えや時間の表現などを問いかけていく岩崎教諭。

岩崎:For example… What’s this?

生徒:Bonsai Art Museum.

岩崎:Yes. The Bonsai Art Museum is very famous.

ポール:I have never been there.

などと、ポール先生と1例会話して見せた後、生徒たちに投げかけながら、鉄道博物館や岩槻人形博物館など、さいたま市内の名所の特徴と何が体験できるかなどについても英会話で確認。それから、次のように投げかける岩崎教諭。

岩崎:So please guide these places from Miyahara station. Let’s show the example. This is the Bonsai Art Museum. What is the nearest station?

生徒:Toro.

岩崎:Toro station. That’s right. This is the JR map. Where is the Toro station?

とプロジェクターの路線図を見せながら質問します。

生徒:There.(黒板上の路線図を指差す)

岩崎:Here? OK. We are at Miyahara station, now. To go to Toro station … at first … we should go to…?

生徒:Omiya.

岩崎:That’s right. Say, Go to Omiya and…?

生徒:Change trains there.

岩崎:That’s right. Which line should I take?

生徒:Utsunomiya line. Take the Utsunomiya line.

さらに岩崎教諭は、鉄道博物館や岩槻人形博物館の最寄駅や、そこへの乗り換えなどを英語で聞いて確認していきます。

smile, big and clear voice, and eye contact

そこから実際に道案内&観光案内をするため、さいたま市の路線図と名所が記されたワークシートを配付し、英語で次のように確認する岩崎教諭。

岩崎:There are famous places in Saitama City. Omiya Bonsai Art Museum, Iwatsuki 人形 Museum, Omiya Park…. There is an information about the nearest station. For example, Omiya Bonsai Art Museum… the nearest station is Toro station. And it will take about …, for example 10 minutes from(駅名)to(駅名). And there is the train map under the worksheet. So please use this information and let’s practice guiding!

岩崎教諭は続けて、ペアを作ってじゃんけんし、まず勝者が旅行者役をやるように英語で指示をします。「OK. Let’s try, 3 2 1, action!」と岩崎教諭の声で会話を始める生徒たち。流暢な発音の生徒、多少たどたどしい生徒など様々ですが、全員が楽しげに会話を行います。事前に指示された1分のタイマーが鳴ると、旅行者役と案内役を交代して練習を行っていきます。1回目の会話終了後、ポール先生が生徒たちにこう声をかけました。

ポール:When you are helping someone, you must be happy, so you have a smile, and use a … big and clear voice. And eye contact is very important, OK? So let’s try with smile, big and clear voice, and eye contact.

ここでペアの相手を変えさせてから、再度、道案内&観光案内を練習します。

ワークシートを参考にしながら、道案内&観光案内をし合う生徒たち。

岩崎:Paul, do you have any advice?

ポ:Yes. Now, let’s try to introduce interesting facts about the places. For example, Omiya Bonsai Art Museum… “Oh, You can see many bonsai plants there.” “Railway Museum… What can I do?” “Ah, you can ride the train there.” など、続けて実例を多数示して見せます。

岩崎:Please introduce interesting facts, OK?

ここで改めてペアを変え、道案内に名所の楽しさの説明を加えた案内を、1分のタイマーが鳴るまで楽しげに行っていく生徒たち。ここでチャイムが鳴ったため、各自着席。ポール先生は生徒たちに実体験を交えて次のように話しました。

ポール:You can help someone nearby. Before, I was lost in Shinjuku station. Then, one Japanese person helped me. I was very happy, because he helped me a lot, and he tried to speak English. Now you know what to do. So when you see people who are lost, you can help them. Or foreigners who are lost, you can help them. OK? You know how to give directions, you know how to change trains. So, I know that you can do it properly. Don’t forget to use manners like… saying “Thank you.” “You are welcome.” … like that. And then, you have knowledge of places that should be visited here in Saitama. You live in Saitama, so let’s be proud. So you really use good eye contact, you also use gestures, and you have your smile, which is very important.

真剣に聞いている生徒たちに説明し、最後に謝辞も添えて話を終えるポール先生。
Thank you, Mr. Iwasaki and Mr. Paul. と生徒たちの挨拶で授業を終えました。

次回は、授業者である岩崎教諭に、G・Sカリキュラムを基に授業を進めていく上で配慮していることや、以前との変化などについて話を聞いていきます。

執筆/教育ジャーナリスト・矢ノ浦勝之

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
関連タグ

授業改善の記事一覧

雑誌『教育技術』各誌は刊行終了しました