小6社会「江戸幕府と政治の安定」指導アイデア

特集
文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
小6社会「江戸幕府と政治の安定」指導アイデア バナー

執筆/東京都新宿区立四谷小学校主任教諭・杉本季穂
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登
     国士舘大学教授・秋田博昭

年間指導計画

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・日本国憲法とわたしたちの生活
・政治の働き・社会保障
・むらからくにへ
・天皇中心の国づくり
・日本風の文化
・源頼朝と鎌倉幕府
・今に伝わる室町文化
・織田・豊臣の天下統一 
・江戸幕府と政治の安定
・町人の文化と新しい学問
・明治維新と新しい国づくり
・世界に歩みだした日本
・長く続いた戦争と人々のくらし
・戦後の新しい日本
・つながりの深い国々(国際交流)
・世界の課題と日本の役割

目標

江戸幕府の始まり、参勤交代や鎖国などの幕府の政策、身分制について、世の中の様子、人物の働きや代表的な文化遺産などに着目して、遺跡や文化財、地図や年表などの資料で調べたりしてまとめ、我が国の歴史上の主な事象を捉え、我が国の歴史の展開を考えるとともに、歴史を学ぶ意味を考え、表現することを通して、武士による政治が安定したことを理解できるようにするとともに、主体的に学習問題を追究・解決しようとする態度を養う。

評価規準

知識・技能

①世の中の様子、人物の働きや代表的な文化遺産などについて、遺跡や文化財、地図や年表などで調べて、必要な情報を集め、読み取り、江戸幕府の始まり、参勤交代や鎖国などの幕府の政策、身分制を理解している。 
②調べたことを年表などにまとめ、武士による政治が安定したことを理解している。


思考・判断・表現

①世の中の様子、人物の働きや代表的な文化遺産などに着目して問いを見いだし、江戸幕府の始まり、参勤交代や鎖国などの幕府の政策、身分制について考え、表現している。
②江戸幕府の始まり、参勤交代や鎖国などの幕府の政策、身分制を関連付けたり、総合したりして、この頃の世の中の様子を考え、適切に表現している。


主体的な学習に取り組む態度

①江戸幕府の始まり、参勤交代や鎖国などの幕府の政策、身分制について、予想や学習計画を立てたり見直したりして、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。

学習の流れ(7時間扱い)

問題をつくる 2時間

  • 江戸幕府が力を強めていった様子や江戸幕府が続いた期間の人口の変化を調べ、疑問に思ったことを話し合う。

(学習問題)
江戸幕府は、どのような取組によって政治を安定させようとしたのだろう。

  • 学習問題に対する予想を考え、学習計画を立てる。

追究する 4時間

  • 1人1台端末を活用し、大名に対してどのような政策を行ったのかを調べる。
  • 前時で調べたことを共有し、安定した政治につながった政策はどれかについて、自分の考えをまとめる。
  • 1人1台端末を活用し、大名や武士以外の人たちに対して、どのような政策を行ったのかを調べる。
  • 1人1台端末を活用し、幕府と外国との関わりについて調べる。

まとめる 1時間

  • 江戸幕府の政策を表にまとめ、学習問題に対する自分の考えを表現する。

問題をつくる

関ヶ原の戦いや江戸城の様子などを基に、江戸幕府が力を強めていった様子について話し合い、学習問題を設定する。(1、2/7時間)

導入のくふう

江戸幕府が続いた期間の人口の変化を関連付けて考える活動を設定することで、江戸幕府が政治を安定させた仕組みについて、関心をもって追究できるようにする。

 


1時間目 
江戸幕府が力を強めていった様子や江戸幕府が続いた期間、江戸時代の人口の変化を調べ、疑問に思ったことを話し合う。

関ヶ原の戦いは、どのような戦いだったのかを調べましょう。

徳川家康と豊臣側の石田三成が戦って、家康が勝利しました。

天下分け目の戦いと言われ、勝利した徳川家が政治を行うようになりました。

関ヶ原の戦いに勝利した徳川家康は、江戸に幕府を開きます。幕府が置かれた江戸城の様子からは、どのようなことが分かりますか。

小6社会「江戸幕府と政治の安定」 イラスト

東西6km南北4kmのとても大きな城です。城の周りには大名屋敷がありました。

城の周りはいくつものお堀で囲まれていて整備されているから、江戸城をつくった将軍の力がかなり強いのだと思います。

次の資料は、江戸幕府が続いた期間と戦国の世が続いた期間を、次のグラフは、当時の人口の変化の様子を表しています。2つの資料からどのようなことが言えますか。

小6社会「江戸幕府と政治の安定」 板書
小6社会「江戸幕府と政治の安定」 グラフ

江戸幕府は260年もの長い間続いたのはびっくりしました。なぜそんなに続いたのかな。

江戸幕府が260年間続いたということは、その間、戦いがなかったということかな。

そうだと思います。なぜなら、この頃の人口が増えているので、それだけ世の中が安定していたということだと思います。

江戸幕府は、安定した世の中を260年間も続けるほどの力を、どうやってもつようになったのかな。

※ここでは、江戸幕府が安定した政治を行うために行った取組に関心をもてるようにすることが大切です。本実践では、江戸幕府が260年間続いたことと、人口が増えていったことを関連付けて考えることで、政治を安定させるための幕府の取組に関心をもてるようにしています。

 
江戸幕府は、どのような取組によって政治を安定させようとしたのだろう。

話合いのくふう

学習問題に対する予想を発表した後に、その予想をグループで話し合って分類する活動を設定することで、調べる内容を明らかにし、見通しをもって追究できるようにする。

 


2時間目 
学習問題に対する、予想を考え、学習計画を立てる。

江戸幕府は、戦いのない安定した政治を行うために、どのようなことに取り組んだと思いますか。

戦いを起こしてはいけないなど、守るべききまりをつくったのではないかな。

きまりだけでなく、大名が戦いを起こすことができないよう、幕府が食料やお金をとり立てたのではないかな。

織田信長のように、外国と関わる中で新しい文化や政治の仕組みを取り入れたのではないかな。

豊臣秀吉の検地や刀狩のように、武士と農民や商人の区別をしたのではないかな。

発表された予想を、グループで話し合って分類してみましょう。

私たちのグループでは、①幕府の政策、②身分制度、③外国との関係の3つに分類できました。

このグループでは、安定した政治をするためには、大名の力を抑えたり、農民や商人に言うことを聞かせたりしないといけないのではないかという話になりました。そこで、①大名への政策、②農民や商人に対する政策、③その他の政策という分類になりました。

小6社会「江戸幕府と政治の安定」 板書

それでは、①幕府の仕組みや大名への政策、②身分制に対する政策、③幕府の外交という順に調べていくことにしましょう。

※ここでは、学習問題に対する予想を分類・整理することで、学習問題の解決に向けた追究の視点を明確にしました。そして、学級全体で共有し、⼀⼈⼀⼈が追究の⾒通しをもつことができるようにすることが⼤切です。また、予想を分類・整理する際には、1⼈1台端末を⽤いて予想を焦点化したり、多様な意⾒を集約したりすることも考えられます。

追究する

江戸幕府の仕組み、参勤交代や鎖国などの幕府の政策、身分制など江戸幕府による政策を調べる。(3、4、5、6/7時間)

調べ⽅のくふう

学習計画から1時間ごとに問いを設定し、1人1台端末などを活用して調べたり、調べたことを共有したりする活動を設定する。

 


3時間⽬ 
1人1台端末を活用し、大名に対してどのような政策を行ったのかを調べる。

江戸幕府は、大名に対してどのような政策を行ったのでしょう?

「参勤交代」という仕組みがあると聞いたことがあります。

「武家諸法度」とはどのような内容のものだったのか、調べてみます。

小6社会「江戸幕府と政治の安定」 板書

幕府は、大名を取り締まるきまりをつくったんですね。

参勤交代の制度をつくって、大名が反乱することを防いでいたんですね。

 


4時間⽬ 
前時で調べたことを共有し、安定した政治につながった政策はどれかについて、自分の考えをまとめる。

イラスト/栗原清、横井智美

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