「デジタルネイティブ」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】

「デジタルネイティブ」とは、ゲームやスマホ、パソコンなどのデジタル機器が身の回りにあり、それらを活用しながら育ってきた世代のことを指します。インターネットがすでに普及していた世代であることから、ネット世代と言われることもあります。

執筆/創価大学大学院教職研究科教授・宮崎猛

デジタルネイティブとは

ネイティブとは、「その土地にもともといた人」という意味です。日本で生まれ育ち、日本語を母国語にしている人は、日本語のネイティブないしはネイティブスピーカーとなります。こうしたことから、デジタルがもともと普及した環境で生まれ育ち、デジタル技術を母国語のように習得し、自然に活用している人のことを「デジタルネイティブ」と呼びます。

デジタルネイティブという言葉は、アメリカの作家マーク・プレンスキー (Marc Prensky)が最初に用いたとされ、2000年代後半より広く聞かれるようになりました。

デジタルネイティブの特徴

デジタルネイティブの年齢層は明確ではありませんが、幼少期にはすでにインターネットが普及していたことになります。すなわち、デジタルネイティブは1990年代以降の生まれであり、「Z世代」と言われる年齢層と重なります。

Z世代とは、一般に1990年代中盤以降に生まれた世代を指します。また、2000年代に生まれた若者を指すこともあります。スマホやタブレットを駆使して、情報を入手・発信したり、SNS等を用いて、人間関係やコミュニティを築いたりすることを当たり前に受け入れている世代です。小さな頃から情報処理が得意という特徴をもっています。

日本は少子化で若者の人口に占める比率が下がっていますが、世界に目を向けると、アメリカではこの世代が総人口の3割を占めるなど消費や文化など社会に大きな影響を与えています。近年、インターネットで消費者に直接販売する商形態、D2C(Direct to Consumer)が拡大していますが、D2Cの利用者は主にデジタルネイティブと言われています。

ベネッセ教育総合研究所によるとデジタルネイティブには、6つの特徴があると指摘しています。

①リアルとネット上での人間関係との区別が薄い
②対面でのコミュニケーションを苦手とする場合がある
③インターネット検索による情報収集が主流
④情報の発信をスピーディーにできる
⑤自分の価値観を大事にする
⑥デジタル機器やネットを使いこなせているとは限らない

ベネッセ教育総合研究所「デジタルネイティブとは?Z世代の6つの特徴や子育てのポイントを紹介

デジタルネイティブへの対応

デジタルネイティブはデジタル技術を自然に使うことはできるものの、スマホのみの利用に限られていたり、誤った使い方を身につけてしまったりしていることがあります。そのため、SNSの正しい理解やネット上の情報を正確に読み取ること、情報モラルや情報セキュリティに関する知識を身につけることなどメディアリテラシーにかかわる教育が不可欠となっています。またデジタル・ディバイドといわれるインターネットやパソコン等の情報通信技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる格差を解消するための教育も重要になっています。

文部科学省は「GIGAスクール構想」(Global and Innovation Gateway for All)を推進し、小中学校の児童生徒が1人1台のデバイス(パソコンやタブレットなど)を所持する環境を整えていますが、教員のICTリテラシー不足やセキュリティ対策など、様々な課題が浮き彫りになっています。今後さらにIT人材を増やす必要もありますが、他国に比べコンピューターサイエンス学部の設置など、その育成に遅れをとっている状況があります。そのため、プログラミング教育やSTEAM教育といった理数教育の重要性が改めて見直されています。

▼参考資料
日本経済新聞デジタル(ウェブサイト)「ネットでの直接販売開拓を デジタル時代の小売り」2021年6月4日
ベネッセ教育総合研究所(ウェブサイト)「デジタルネイティブとは?Z世代の6つの特徴や子育てのポイントを紹介
総務省(PDF)「令和5年版 情報通信白書 ICT白書

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