空気の温まり方を見える化する工夫 【理科の壺】

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理科の壺/進め!理科道~理科エキスパートが教える、小学校理科の指導法とヒント~
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國學院大學人間開発学部教授

寺本貴啓

4年生「物の温まり方」の学習では、金属、水、空気の温まり方について調べます。以前は、金属板にろうを塗ったり、水におがくずを入れたりして調べることが多かったですが、最近では、示温インクを使って色の変化で温度の変化を調べることができるようになりました。しかし、空気の温まり方だけは、空気に色を付けるわけにはいかず…。教室内の温度を測ったり、線香の煙の動きを観察したりしつつも、確かめにくいと感じたことはありませんか。そんなときにちょっと役立つ工夫を紹介します。

執筆/東京都公立小学校主任教諭・木月里美
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓

示温インクやシャボン玉を使って空気の温まり方を調べよう

 示温インクで染めたタコ糸を使って、空気が上から順に温まることを調べる。

用意する物 
 示温インク、タコ糸、容器(飼育箱など)、白熱球、台(底上げ用、なくてもよい。)
方法 
 1.タコ糸に示温インクを染み込ませる。
 2.タコ糸を乾かす。
 3.飼育箱などの容器を逆さまにして、タコ糸を吊るす。(熱源に触れないように注意する。)
 4.白熱球を点灯し、タコ糸の色の変化を観察する。

※示温インクは「サーモインク」などの名称で、理科教材を扱う業者から手軽に入手できる。
※示温インクを染み込ませたタコ糸は、繰り返し使用することができる。
※タコ糸のほか、示温インクを全体に塗った紙などを容器の中に貼って使うこともできる。
※容器内の空気を温めるには白熱球が扱いやすい。
※白熱球の点灯中や消灯後しばらくは、大変熱くなっているので触らないように指導する。
※白熱球にタコ糸や紙などが直接触れると発火の恐れがあるため触れないようにする。

サーモインク(日本教材システム、ナリカなど)
左:原液タイプ(水で希釈して使用)
右:塗るタイプ(先端にスポンジがついており、そのまま使える)
約40℃で青色からピンク色に変化する。

② シャボン玉を使って、温められた空気が上に移動することを調べる。

用意する物
 シャボン液、ストロー(シャボン液を吹くためのもの)、熱源(アルコールランプ、電熱器、実験用ガスコンロなど)
方法 
 1.熱源のないところでシャボン液を吹き、シャボン玉の動きを観察する。(シャボン玉が下に落ちていく。)
 2.熱源の上でシャボン液を吹き、シャボン玉の動きを観察する。(シャボン玉が上がっていく。)

※熱源のないところでシャボン液を吹いても上に動くと思っている子もいるので必ず先に熱源のないところでのシャボン玉の動きを確認する。
※熱源に電熱器を使うと、炎が出ないため、より温められた空気が動いていることに注目しやすい。

ちょっとした工夫で子どもの理解を深めることができます。子どもたちの手で実際に実験させるのが理想ではありますが、難しい場合は、教科書通りの学習をした後に教師の演示実験に取り入れてみてはいかがですか。

イラスト/難波孝

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木月里美先生

<執筆者プロフィール>
木月里美●きづき・さとみ 東京都公立小学校主任教諭。大学では理科専攻にて学び、卒業後は学級担任、理科専科を経験。教科書の編集委員として教科書作りに携わる。共著に「これからはじめる “GIGA” 全学年・全単元×1人1台端末×活用事例 小学校理科5・6年」(日本標準)、「小学校理科『フローチャート型』授業ガイド」(東洋館出版社)など。


<著者プロフィール>
寺本貴啓●てらもと・たかひろ 國學院大學人間開発学部 教授 博士(教育学)。小学校、中学校教諭を経て、広島大学大学院で学び現職。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、学習指導要領実施状況調査問題作成委員、教科書の編集委員、NHK理科番組委員などを経験し、小学校理科の教師の指導法と子どもの学習理解、学習評価、ICT端末を活用した指導など、授業者に寄与できるような研究を中心に進めている。


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