「七夕〇×クイズ」全校朝会【校長講話】文例集 #4
全校朝会での校長講話といえば、校長先生にとって腕の見せどころです。とはいえ、毎月、子供たちの知的好奇心を掻き立てたり、子供たちの心を整えたりする内容を考えるのは苦労するもの。そこで、本連載(月1回公開、全11回)では、学級経営や学校経営に関する多数の著書をもつ俵原正仁先生が、実際に使用したスピーチの全文を公開します。7月の講話は「七夕〇×クイズ」を取り上げます。
執筆/兵庫県公立小学校校長・俵原正仁
目次
7月のテーマはこう選ぼう
7月といえば、七夕。日本の伝統的な行事ということで、話題の1つとして取り上げるクラスも多いと思います。そこで7月の全校朝会では、子供たちと先生が共通の話題にできるように、七夕にまつわる雑学をメインにして話をします。その月の行事を取り上げることは、全校朝会ネタとしては王道です。今回のキーワードは「行事」です。
7月の講話「七夕〇×クイズ」全文
もうすぐ七夕です。七夕といえば、織姫と彦星のお話が有名(※1)ですよね。でも、今日は、その話ではありません。織姫と彦星以外の七夕のお話を七夕〇×クイズ(※2)にしてみました。全問正解を目指して、がんばってください。
それでは、第1問。
たなばたを漢字で書くと、「七」に「夕」という漢字になります。これは、7日の夕方という意味である。○か×かで考えてください。
時間は5秒です。5、4、3、2、1(※3)
正解は、○です。もともとは7月7日の夕方を表して七夕(しちせき)と呼ばれていたものが、七夕(たなばた)という読み方に変わっていったそうです。
続いて、第2問。
学校や幼稚園では、短冊を笹に飾り付けることが多いですが、仙台の七夕祭りなど、大きなお祭りでは、竹に飾り付けることが多いそうです。ということで…
七夕の日に食べる物といえば、「タケノコ」が有名である。○か×か。
これも、時間は5秒です。5、4、3、2、1。
正解は、×です。七夕飾りを笹や竹にしますが、「タケノコ」は食べません。七夕の日によく食べられているのは「そうめん」です。あさっての給食にもそうめんが出る予定(※4)です。楽しみにしていてください。
第3問。
七夕の日に食べるそうめんですが…
そうめんを食べることは1000年も前から行われていた。○か×か。
時間は5秒です。5、4、3、2、1。
正解は、〇です(※5)。そうめんのルーツは、中国の「索餅」(さくべい)という小麦粉料理だといわれています。「7月7日に索餅を食べると1年間病気にならない」という伝説があり、1000年以上前の奈良時代に索餅が日本に伝えられると、貴族だけでなく一般の人たちにも広がっていきました。やがて、索餅はそうめんへと変化し、七夕にそうめんを食べるようになりました。
第4問。最後の問題です。
七夕の歌『たなばたさま』に、「五色の短冊……♪」という歌詞がありますが…
短冊の5つの色は「赤・黄・桃・緑・紫」である。○か×か。
時間は5秒です。5、4、3、2、1。
正解は×です。「赤・黄・桃・緑・紫」ではなく、「赤・黄・白・青・紫」の五色です。色によって、叶う願いごとの種類が違うそうです。詳しい説明は、学校だよりを見てくださいね(※6)。
では、この五色の短冊に、みんなならどんな願い事を書きますか? 1年生は、すでに授業で書いていましたね(※7)。
「いつもおいしいごはんをつくってくれてありがとう」「クラスのみんなとなかよくできますように」「しゅくだいをわすれないように」「にがてなニンジンがたべられるように」「さんすうのテストで100てんがとれますように」「ピアノがうまくなりますように」(※8) ……いろいろな思いや願い事が笹に飾られていました。
少し時間をとりますので、みんなも「自分なら、何を書くかな」と、考えてみてください。………………何か思いつきましたか? そして、願い事が思いついたら、次はその願い事が実現できるように、何をしたらいいのかを考えて、実行してほしいと思っています。ただ、願い事を書いて、それで終わりにしていたら、願い事はいつまでたっても願い事のままです。決して叶うことはありません。
ところで、今、1学期の振り返りをしているクラスも多いのではないでしょうか。振り返りも同じです。そこで終わりにしてはいけません(※9)。しっかり振り返りをして、がんばったことやがんばれなかったことをはっきりとさせることができたら、次は自分の力を伸ばすために、何をしたらいいのかを考えてください。それが、夏休みや2学期の目標につながります。
校長先生も、この〇〇小学校が、「みんなの笑顔が輝く学校」(※10)になるために、何ができるのかを考えていきたいと思っています。
これで校長先生のお話を終わります。
話し方のコツとポイント解説
(※1)図書室から、七夕の絵本を持ってきて、見せながら話をします。「具体物を用意する」と、子供の集中力が増します。また、6月のテーマに選んだ読書の話ともつながります。
(※2)1年生から6年生までの全校児童が同じように楽しみながら話を聞けるように、○×クイズを話の軸にしています。
(※3)このようなクイズ形式の話は、テンポよく行うことがポイントです。間をあけると、子供たちの話を聞く集中力が途切れます。
(※4)多くの学校では、この時期の給食に「そうめん」が出ると思います。ここで話をすることで、7月の楽しみを1つ増やすことができます。
(※5)○×クイズ後半は、大人でもあまり知らない七夕の雑学を入れていきます。子供たちだけでなく教師にも、興味をもって校長の話を聞いてほしいからです。
(※6)全校朝会で話したことが、家庭でも共通の話題になることを期待して、「学校だより」ともリンクさせます。ちなみに、赤=礼(両親や身近な人への感謝)、黄=信(友達を大切にする)、白=義(義務を果たす。規則を守る)、青=仁(人間力の向上)、紫=智(学業の向上)となっています。
(※7)実際に子供たちが行っている具体的な事例を講話の中に入れるようにします。そのためにも、校長は普段から学校内で行われている教育活動の情報収集に努めなければいけません。
(※8)最初から順番に「赤(礼)・黄(信)・白(義)・青(仁)・紫(智)」の短冊に書く具体例となっています(ただし、最後の紫だけ2つ例示しています)。1年生が実際に書いたものをいくつか紹介しましょう。
(※9)この部分は、子供たちに「こうしてほしい」という思いよりも、「振り返りはこのように指導してください」という意味で、教師を意識して話をしています。
(※10)学校の教育目標や目指すべき学校像と絡めて、校長先生もみんなと同じように考えていきます…と意思表示して終わります。丸投げして終わりでは、子供たちもやる気がそがれます。
私は、パワーポイントなどで、スライドショーを作って話をしています。「音声(言葉)+映像(文字・写真)」で、より多くの子供に話の内容が伝わるようになります。全校朝会を運動場で行っているのでなければ、ぜひ、スライドショーを作成してください。子供たちの興味関心もぐっと高まり、しっかり話を聞こうという姿勢になります。
俵原正仁(たわらはら・まさひと)●兵庫県公立小学校校長。座右の銘は、「ゴールはハッピーエンドに決まっている」。著書に『プロ教師のクラスがうまくいく「叱らない」指導術 』(学陽書房)、『なぜかクラスがうまくいく教師のちょっとした習慣』(学陽書房)、『スペシャリスト直伝! 全員をひきつける「話し方」の極意 』(明治図書出版)など多数。
写真/写真AC