書道家直伝。硬筆指導は書き順と字形の確認から~苦手な子どもも上手に書ける!「硬筆」指導のポイント②~

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文字をきれいに書けることは、学校生活以外にもさまざまな場面で役立ちます。子どもたちが丁寧かつ上手に書けるよう、プロ書道家の石川香雪先生に「硬筆」のコツを伺いました。今回は、具体的な指導の方法、文字をきれいに書くためのポイントをご紹介します。

本記事は2回連載の2回目です。1回目はこちら。

硬筆の練習には、短い例文がおすすめです。一生懸命に書いた部分をたくさん褒めて、子どものモチベーションをアップさせましょう。

書き順/正しい書き順が美しい文字を書く最短ルート

実際に書く前に、まずは書き順を確認しましょう。正しい書き順で書けば、楽に書くことができ、自然と整った文字が書けます。空中に文字を書く「空書き」で書き順を確認するのもおすすめです。

成り立ちがわかれば、字も整う

ひらがなの「す」は、漢字の「寸」を崩してできた文字。1・2画目の書き順や線の長さが共通ですし、交わる位置も似ています。書き順を確認するときに、文字の成り立ちを説明すると、子どもの興味を引き、書き順や字形への理解につながります。

字形/字を観察しよう

お手本を見る際に役立つのが、十字リーダー。マスのどのあたりから1画目が始まり、どのように進んで、どこのマスで止める(はらう)のか。また、どの線がいちばん長い(短い)のかなど、お手本の字形を確認しましょう。

書く/常に意識したい3つのポイント

書き順と字形を押さえたところで、実際にノートに書いてみましょう。3つのポイントを押さえるだけで、字形の整ったきれいな文字に見えます。

ポイント1 面積は均等にする

「目」「明」「注」「理」など、面積を区切る際は、均等になるように等間隔で書きましょう。これだけでも文字が整います。

ポイント2 隠れている「2:1の法則」を見つける

字形をよく観察すると、2:1で分けられている線が見つかります。例えば「す」の2画目は、1画目が2:1になる位置から書き始めています。すべての線がこの「2:1の法則」に当てはまるわけではありませんが、実はたくさん隠れているんです。

ポイント3 漢字の左側はコンパクトに

漢字の左側を大きく書いてしまうと、右側が小さくなってしまい、バランスが取りにくくなってしまいます。左側の偏やつくりは、やや小さく、右側は大きく書きましょう。また漢字にも、ポイント2「2:1の法則」が隠れていることがありますよ。

声かけ/印象に残るフレーズが効果的

漢字の「木」だったら、「下の部分は、V字バランスをつくるよ」。しんにょうの最後の画だったら、「1、2、3で、ワルツのリズムだよ」など、子どもたちの頭に残る声かけで、書き順と字形を意識させましょう。

硬筆指導の前に、先生も書いてみよう

硬筆指導では、教師自身も字形を正しく把握しておくことが欠かせません。子どもたちに指導する前に、一度、お手本を真似して書いてみましょう。そして、どの画が全体のバランスをとっているのか、どの画が長くて、どの画が短いのかなど字形を確認しておくと、子どもたちに指導しやすくなります。その際、きっと十字リーダーが役立ちます。

本記事は2回連載の2回目です。1回目はこちら。

お話を聞いた先生
香雪書道教室 石川香雪さん
毎日書道展審査会員、佑育書道会副代表などを務める。香雪書道教室主宰。東京女子大学書道部講師。過去に小学校での書道指導、高校での書道科講師の経験もある。

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