学級最後の1週間の過ごし方
1年間を締めくくる最後の1週間は、これまでの成果を振り返り、次のステージへの飛躍台となる大切な時間です。この1週間が楽しい思い出になるでしょう。そのために担任はどんな準備と指導が必要でしょうか。その活動例を紹介します。
執筆/東京都公立小学校教諭・吉井貴彦
目次
クラスメートのみんなと
「有終の美を飾る」
「終わりよければすべてよし」
「立つ鳥、跡を濁さず」
毎日席替え
朝の会でランダムに座席を決めます。「心に残っていること」などの話題を設定し、隣の席同士で振り返ってもよいでしょう。毎日やるので時間をかけないことが大切です。
1年間を「アルバム」「ムービー」で振り返る
これまで撮りためた写真があれば作成できます。保護者会や学年集会で活用も可能です。タブレット端末を使えば、児童が作成してもよいでしょう。ただし、全員が載るようにする配慮を忘れないようにします。
学級文集づくり
1年間の成長や思い出を原稿用紙1枚にまとめます。キャリア・パスポートとして残すこともよいアイデアです。また、これまで作成した学級通信を載せてもよいでしょう。
1年間ありがとう会(学級集会)
1年間を振り返られる内容の会にします。活動内容の例として「思い出ベストテン」「感謝状」「手紙交換」などがあります。大事なことは、学級目標に照らし合わせ、学級や個人としてどれだけ成長できたかを実感できるようにすることです。1年間の成長を教師が価値づけましょう。
児童が先生になって授業
1年間の学習の復習を児童に任せ、授業をやってもらいましょう。パワーポイントやロイロノートを用いて、45分を15分ずつの3人に分けて行うのがお勧めです。
10年後の自分への手紙
10年後の自分に向けて手紙を書き、10年後担任から同窓会のお知らせとともに手紙を送ってみてはいかがですか。
卒業編
1年生の教室で授業
1年生が下校後、その教室を借りて授業を行います。机や椅子の小ささから成長を実感できるのではないでしょうか。
校長・教頭先生の特別授業
管理職の先生に授業をリクエストしてみましょう。子供たちにとっても心に残る授業をしてくださると思います。
プチタイムカプセルづくり
校舎の空いている場所にタイムタプセルを埋めることは難しくなってきていると思います。そこで、担任が預かる形の小さなタイムカプセルにして、成人した際に渡すのもよいでしょう。
ランドセルにメッセージを
卒業アルバムだけでなく、ランドセルや筆箱に寄せ書きするのもいいでしょう。
6年間をデータ化
6年間の軌跡をデータで視覚化しましょう。
①身長
養護教諭と連携し、身長が伸びた分をテープに切って表すのがお勧めです。
②図書の冊数
6年間で借りた本の分厚さがわかれば、高さもわかります。身長を越えているかもしれませんね
③登校日数・授業時間数
帯グラフや円グラフで表してみてはどうでしょうか。
④通学路の距離
タブレット端末を用いて自宅から学校までの距離を求め、登校日をかけると、どこまでたどり着くかがわかります。下図のようなワークシートがあるとよいでしょう。
手づくりの「祝電」にチャレンジ!
卒業した子供たちが4月に中学校に入学するとき、手づくり祝電を送ってみませんか。100円ショップで簡単に道具をそろえられます。また、モザイクアートができるウェブサイトもあります。
苦楽しい(くるたのしい)
小説家・遠藤周作氏が残した言葉のひとつに「苦楽しい」があります。
この言葉は学校においても大切な言葉です。1年間過ごした学級では、楽しいことばかりではなく、苦しい壁もあります。その「苦しい壁」を「楽しい壁」に変える方法があります。それが「仲間」の存在です。大きな壁に立ち向かうとき、仲間と肩を組んだり、一緒に悩んだりして壁を乗り越えることで、「苦しい壁」は「楽しい壁」に変わります。そのときの充実感、達成感、本物の「楽しさ」を味わえるのが学校の醍醐味です。
苦楽をともにした子供たちとの最後の時間を、みんなと一緒に創ってみてください。
イラスト/高橋正輝
『教育技術 小五小六』2022年2/3月号より