小2国語「主語とじゅつ語」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は「主語とじゅつ語」です。「鳴く。」を板書し、何がをみんなで考えます。次は「弟が」を板書し、何をしたのかをみんなで考えます。「主語の大切さ、述語の大切さ、そして、主語や述語がなければ、意味がわからないことをみんなで考える板書の工夫を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/大阪府公立小学校教諭・岡本美穂

 

教材名 「主語とじゅつ語」(東京書籍)

単元の計画(全3時間)

1 主語と述語がどのようなものであるかを伝えて学習課題を明確にする。
2 短い文を作り、主語と述語の関係を確かめる。
3 さまざまな文を使って主語と述語の関係を確かめる。学習を振り返る。

板書の基本

板書計画はあくまでも「計画」

板書計画では、授業の「めあて」や構想している授業展開、予想される子供たちの意見などを、構造的に、明確に表すように本時の板書計画を作っていきます。ただ、研究会授業の前に他のクラスでも授業を行うことがありますが、そのときと実際の研究授業の本番とでは、板書は必ず変わってきます。つまり、学級集団が変われば、それぞれ少しずつ板書も変わるということです。子供の反応によって板書も変わるからです。どんなに「板書計画」を考えていても、授業をしながら、子供の反応を見て、板書を変えているのです。

子供たちと共に作る授業であり板書

板書計画の際に、一斉指導、ペア活動やグループ活動など学習形態の工夫、子供の学習活動を促す指示、思考を深める発問も書いていきます。すると、予想される子供の反応やそれに対する手立ても整理できるからです。

私は、子供の意見や考えを土台にしながら、子供が板書したり子供が説明しながら進んでいったりする授業を目指しています。それは、「板書」は教師が一方的に表示したり、教師だけががんばって板書を仕上げたりするのではなく、子供たちと教師が一緒に板書を作り上げていくということです。その過程で子供たちの学習意欲を引き出します。そして子供どうしで説明させることで理解が深まり、「できた」「わかった」という達成感を子供たちに味わわせることができるのです。

板書だからできる共同を育む授業

学習指導要領では「協働」と表記されていますが、私は「共同」があってこその「協働」だと考えています。この「共同」の経験を子供の頃に行っていないと、「協働」はできにくいでしょう。共同は気付きの場面だと意識すると、板書の使い方も変わります。今の時代、タブレットが導入されて、とても便利です。それは確実に言えることです。私もどんどん活用していきます。しかし、一人一人の顔を見ながら授業を進める、表情をお互いに見合いながら思考を深めるという経験は、タブレットよりも「板書」のほうが手軽にできます。

教室に1つある「板書」をみんなで一緒に見ている、同じものを見ているにもかかわらず、子供たちの頭の中では違う思考が生まれていくことがおもしろいのだと気付くと、子供たちからもどんどん意見が出てきます。

板書のコツ(1/3時)

小2国語「主語とじゅつ語」板書の技術 板書
1/3時の板書

板書のコツ① 

仕上がった板書を見ると、いたってシンプルですが、この板書では「書く順番」にこだわっています。

まず「めあて」を書きます。

主語と述語は大切な働きをすると書かれていても、どう大切なのかは教科書には書かれていません。今回は、その大切さを子供たちが感じてほしいと思い、「鳴く。」と板書しました。子供たちは「上に何か言葉が入りそう」など自由に発言していきます。そして、電子黒板に教科書の絵だけを提示して「鳴く。」を指さし、「誰が鳴いているのですか」と発問すると、子供たちは「鳥」「カラス」など意見を出し合います。そこで、「鳴くだけでは、誰が鳴いているかわかりませんね」と伝えた後に、これが主語が必要である大切な理由となることを伝えました。

「からすが 鳴く。」と板書し、みんなで音読しました。

板書のコツ② 

続いて、「弟が」を板書します。さっきとは逆に聞いていきます。

T:「弟がどうしたのですか」 
C:「ないた」「びっくりした」「遊ぶ」

とまた意見を言い合いました。そしてその後、電子黒板に教科書の絵を写します。
すると、絵を見て、子供は予想するでしょう。
「弟が、だけでは弟がどうしたかがわかりませんね」
これが、述語が必要である大切な理由となります。

「弟が おどろく。」を提示し、みんなで音読しました。

板書のコツ③

「からすは」を伝えます。「からすは、何でしょうか」と発問すると、
「からすは飛んだ」「からすは黒い」など意見が出てきます。ここで正解はあえて伝えません。

「教科書を開いて、どう書いてあるかを見てみましょう」と言いながら、ここで初めて教科書を読み始めます。この後、教科書の記述を読ませ、主語とは何で、述語とは何かを改めて教えます。そして、板書に「主語」「じゅつ語」と書きました。

「外は」「今日は」と「~は」となっているのも主語だとみんなで意見を出し合いながら、最後のまとめはノートに1文書く活動を入れます。最初に思いついたことを聞くと「私は、歩く。」「給食が、おいしい。」という文が出てきたので、それを板書しました。そうすることで不安な子供がその例文を真似してノートに書くことができるからです。安心できる工夫なのです。

 

構成/浅原孝子

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