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6年理科 土地のつくりと変化②

2019/9/23

執筆/大阪府大阪市立堀江小学校首席・宮本純
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・鳴川哲也、大阪府大阪市立滝川小学校校長・民辻善昭、大阪府大阪市立東田辺小学校校長・細川克寿

ハザードマップを子供たちに見せている様子

主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善

「主体的・対話的で深い学び」の視点から授業改善を行い、資質・能力を育成するには、どのようにすればよいのでしょうか。

まず、「主体的な学び」を実現するには、身近な自然の事物・現象から問題を見いだすことが効果的です。例えば、自分たちが住む地域にある火山の活動や、地震によって変化した土地を取り上げることで、火山の活動や地震による土地の変化についての興味を引き出すことができます。適切な教材が見当たらない場合は、最近起こった自然災害でメディア等でも大きく取り上げられた事例(草津白根山噴火、大阪北部地震、北海道胆振東部地震など)から、問題を見いだすことも効果的であると考えられます。しかし、被災者や子供の精神面において、取り上げ方には十分に配慮する必要があります。

次に、「対話的な学び」では、自分が調べたことをグループやクラス全体で意見交換したり、資料を基に議論したりして、自分の考えをより広げることが大切です。例えば、日本で過去に起こった大きな火山の活動や地震について、個人やグループで調べることで、様々な土地の変化の事例や災害の様子(溶岩流、火山灰、地割れ、山崩れなど)が浮かび上がってきます。それらを、交流を通して共有し、それぞれの事例における共通点や差異点を見いだすことで、火山の活動や地震により変化した土地についての特徴を捉えるなど、自らの考えをより広げることができます。さらには、人々の生活の営みに与える影響について目を向ける学習活動へとつながっていくことも考えられます。

最後に、「深い学び」では、新たに獲得した資質・能力に基づいた「理科の見方・考え方」を、日常生活における問題解決の場面で働かせることが大切です。近年、全国各地で見られる自然災害では、「想定外」と言われるものが多く、いつ、どこで、どの規模の自然現象に出くわすのかを想定することが難しい状況にあります。そんな中で自分の身を守るためには、正しい判断力がとても重要となります。正しい判断をするためには、幅広い知識が必要です。本単元の学習を科学的な知識の獲得で終わらせるのではなく、防災学習などとリンクさせることで、いつ起こるか分からない自然災害に対して、より適切に判断するための材料として知識を備え、活用できることが大切であると考えます。

授業づくりのポイント

①身近な自然の事物・現象から問題を見いだす場面の設定。

②資料を基に調べたことをグループや全体で交流し、自らの考えをより広げる場面の設定。

③獲得した様々な科学的な知識を防災学習などとリンクさせ、日常生活における問題解決場面で活用できるようにする学びの場の設定。

単元のねらい

土地やその中に含まれているものに着目して、土地のつくりやでき方を多面的に調べる活動を通して、土地のつくりや変化についての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けとともに、主により妥当な考えをつくりだす力や主体的に問題解決しようとする態度を育成する。

単元計画(3次~4次 全7時間)

土地のつくりと変化①からの続きになります。

3次

1時

私たちが住む地域の土地の変化について調べよう。

●身近な火山の活動や地震による土地の変化の様子を表した資料を提示し、気付いたことや疑問に思ったことを話し合う。(活動アイディア①)

 火山の活動や地震による土地の変化には、他にはどのようなものがあるのだろうか。


2・3時

火山の活動による土地の変化には、どのようなものがあるのだろうか。

●火山の活動により溶岩が流れ出たり、火山灰が噴き出したりして、土地が変化している様子を資料から調べる。(活動アイディア①)

考え 火山の活動によって、山や島ができたり、窪地や湖ができたりするなど、大地が変化することがある。


4・5時

地震による土地の変化には、どのようなものがあるのだろうか。

●地震により、地割れが生じたり断層が地表に現れたり、崖が崩れたりした様子を資料から調べる。

考え 地下で大きな力が働いて断層が生じると、地震が起こり、地割れなど大地が変化することがある。

(地震が起こると、津波や火災が発生する場合があることにも触れておく)

四次

6・7時

火山の活動や地震による災害と私たちの暮らしについて考えよう。

●火山の活動や地震などの自然災害から、私たちの暮らしを守るためにできることについて考え、話し合う。

考え 火山や地震などの自然災害が起きた時に、被害を少しでも減らせるよう、日頃から備えておく必要がある。(活動アイディア②)

単元デザインのポイント

単元構想

子供が主体的に問題解決に取り組むために、自分たちの地域の自然を取り上げるようにする。そこから、火山の活動や地震に興味をもち、3次の学習が進められるようにする。また、4次では、単元での学習と日常生活をつないで考える場を設定することで、深い学びとなるように単元を構想する。

3次

3次では、火山の活動や地震について資料を基に調べることが主な活動となる。火山の活動と地震に取り組む順については、子供や地域の実態に合わせてどちらから取り組んでもよい。また、火山の活動と地震に分かれ、複線型にグループを編成し、後に互いに調べたことを交流するという方法も考えられる。どちらにしても、3次では、交流を通して調べたことを共有するといった対話的な学びを展開することで、自らの考えを広げることができるようにする。

4次

4次では、これまで調べてきた火山の活動や地震による土地の変化が引き起こす自然災害と、私たちの暮らしをつなぐ場とする。災害を少しでも減らすためにできる備えについて資料を調べたり、防災訓練と関連付けたりして考えることができるようにする。自助・共助・公助の視点をもち、自分にできることや地域で行われている防災の取り組み、ハザードマップや町の設備などについて調べ、考えることができるようにする。また、災害だけでなく、自然がもたらす恵みについても触れるようにしたい。

活動アイディア①(3次 1・2・3時)

三次 1時

この写真は、私たちが住む地域の地層の写真です。この地層には、火山灰の層が含まれています。

この地域には昔、火山があったのかな?

火山灰がどこからか飛んできて、降り積もったのだろうか?

火山の活動は、私たちが住む地域にもこのように影響を及ぼしていたのですね。

火山について、もっと詳しく調べたいな。

3次 2・3 時

問題

火山の活動による土地の変化には、どのようなものがあるのだろうか。

資料調べ

噴火によって流れ出た溶岩で、島が陸続きになっているところがあるぞ。

この湖は、火山の活動によってできたんだ。

考察

私が調べた資料から、流れ出た溶岩が固まって、島が大きくなった場所があることが分かりました。

僕が調べた資料では、流れ出た溶岩で島が陸続きになっていたよ。新しく土地ができたという意味では同じだね。

火山灰がたくさん噴出したことによって、土地が変化している場所もあります。

私たちの地域の地層も、火山灰が降り積もったことによる影響で、土地が変化した例だということができるね。

結論

火山の活動によって、土地が変化することがある。

指導におけるポイント

問題を見いだす

  • 子供たちが住む地域の身近な自然の事物・現象について触れることで、子供たちの興味や関心を引き出すことができる。その興味や関心を日本全国(あるいは世界)にまで広げ、火山の活動による土地の変化の代表的なものを調べる活動へとつなげていくようにする。

自分が資料で調べたことを基に、グループや全体で意見交換する

  • 資料調べにおいて様々な情報を入手することができるように、図書資料や映像資料、さらにはタブレットPC などの機器も有効に使って調べ学習ができるようにする。調べた結果、溶岩が流れ出てできた土地や火山灰が噴出したことによりできた地形など、多くの例を見つけることができる。
    それらを、グループや全体で発表し、情報を共有することで、自分の考えを広げることができる。また、別の場所でも「新しい土地をつくる」ことや「地形が変化する」などの観点で見ると、同じことが言えるなど、対話的な学びを通して、個別の事象の理解から概念的な理解へと促していきたい 。

活動アイディア② (4次 6・7時)

これは、私たちが住む地域のハザードマップです。

初めて見たけれど、どんな情報が書かれているのだろうか。

学校や町の掲示板に貼られているのを見たけれど、詳しくは知らないな。

問題

大きな地震が起こった時、どのように判断し、行動すればよいだろうか。

資料調べ

この小学校も災害時の避難所なんだ。

大きな地震が起こったら、津波の心配があるね。

過去の地震についても調べてみよう。

考察

私は、学校で地震が起きた時と、家で地震が起きた時の避難の仕方を調べました。

ハザードマップを見ると、私たちの地域は約2m の津波が来ます。近くの津波避難ビルを実際に確認しておこうと思いました。

結論

いつ起こるか分からない災害に、日頃から備えておくことがとても大切である。

土地の変化がもたらすのは、災害だけではないのですよ。

指導におけるポイント

資料で調べたことを基にグループや全体で意見交換する

  • 地域のハザードマップを資料として活用し、実際に自然災害が発生した時の避難場所や避難の仕方について話し合う。

少しでも被害を減らすために、自分たちにできることを考える

  • 時間的・空間的な見方で地震を捉えると、いつ、どこで、どれ程の規模の地震が起きるのか正確には予測できない。自分たちにできる備えについて話し合うことで、過去に起こった大きな地震によって土地が変化したことや、将来にも起こる可能性があることを捉える必要性を考えることができる。

自然がもたらす恩恵について考える

  • 温泉、地熱発電などを取り上げることで、自然がもたらす大地の恵みについてとらえることができる。

調査官からのワンポイント・アドバイス

国立政策研究所教育課程調査官
鳴川 哲也

自然災害との関連を図る

今回の学習指導要領の改訂のポイントの1つとして、「自然災害との関連」が挙げられます。本単元においても、その重要性が示されています。自然災害との関連を図りながら授業を行う際、観察、実験を行うことはなかなか難しいかもしれません。そこで、本実践でも紹介されているように、図書資料や映像資料、タブレットPC などを活用して、学習内容の理解を深めることができるようにしましょう。

しかし、自然災害との関連は重要だからと言って、自然災害を中心とした学習では、理科の授業ではなくなってしまいます。自然の事物・現象の働きが、短い期間や限られた空間で起こると、異常な自然現象が発生することがあり、これが原因となって、人間との関係で大きな被害をもたらしてしまうことがあり、これが自然災害となります。理科では、自然の事物・現象の規則性などを理解することが大切であり、この理解が自然災害に適切に対応することにつながるのです。 

なお、自然災害を扱う際には、被災者や子供の精神面について、十分配慮してください。

イラスト/山本郁子

『小六教育技術』2018年11月号より

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