【相談募集中】過去の辛い出来事を思い出してしまいます

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臨床心理士・公認心理師

大多和 二郎

メンタル面の不調により休職、その後復帰したものの、辛い過去を思い出してしまうと悩む先生から「みん教相談室」に相談が届きました。過去との向き合い方や現在の子どもへの接し方について、教員向け法定研修でメンタルヘルス研修の講師をされている臨床心理士・公認心理師の大多和二郎先生からアドバイスをいただきました。

悩み相談
写真AC

Q. 辛い過去を乗り越えるためのアドバイスをお願いします

「現在、教職2年目で、特別支援学級を担当しています。

去年、自分の力不足や、子ども・保護者との関係における悩みから、心身を壊し、適応障害と診断され、休職をしました。今は比較的穏やかな症状で、再発を防止しながら同じポジションで仕事をしています。

しかし、病気が完治したわけではなく、通院と服薬を続けながらも、時々去年のことを思い出して苦しくなります。自分の力不足が一番の原因であることは分かっているのですが、子ども(既に卒業しています)からの心無い言動をたくさん思い出してしまいます。実際に手を出されたこともありました。

教員としては、今後の彼らの成長を願っていますが、一人の人間としては、彼らを心から許せない自分がいて、なおさら苦しいです。

今現在接している子どもたちには、これまでのことを踏まえて、心から向き合っていきたいと思いながら日々を過ごしています。

辛い過去の出来事をどのように乗り越えていったらよいかアドバイスをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。」
(ぺんぎん先生・20代女性)

A. 今の自分の身の回りにいる人との関係を大切にすることが第一。その上で、同じパターンを繰り返さないよう、今後は初期段階で注意をしましょう。

特別支援学級を担当している先生ですね。

特別支援学級の場合、保護者との関係も多くなりますし、子どもの持っている特性等によって、対応に工夫が必要であることが多く、難しさを感じることも多いと思います。

休職に入った理由としての「子ども・保護者との関係における悩み」というのが、具体的にはどのようなことだったのでしょうか。

特別支援学級では、必要な支援が子どもによって様々に違いますし、保護者についても、学校におまかせしますというタイプもいれば、いろいろ要求やお願いが多いタイプの方もいます。

日々の指導でも臨機応変な対応が求められる場面も多く、子どももその日の気分やコンディションで言うことを聞いてくれなかったり、落ち着かなかったりするので、やりがいを感じられる学級でもある一方、難しいこともいろいろありますね。

「過去の出来事を乗り越えていくためのアドバイスを」とありますので、現在の学級にはそのような子どもはいないのですね。過去のことではあるけれど、時々思い出しては辛さを感じていると理解しました。

では、順番に考えていきましょう。

「言いたいことを言う子どもとそれに耐え続ける教師」という関係性

人間は自分に対して怒りを向けてきたり、自分を否定したりする人がいるとそれを攻撃と感じることが多いものです。

ただ、教師に対しての場合、怒りをぶつけているにもかかわらず、子どもの側には攻撃しているという意識があまりないことがあります。その場合、教師の心が傷ついていることにも気づきにくいです。特に「自分は悪くない」または「自分は被害者だ」と思っているときにはそれが顕著です。

そして怒りや不満をぶつけても教師がやり返してこないと知ると、怒りや不満をぶつけることが日常化することがあります。

勘違いでも、誤解であっても、カチンとくると子どもは怒りますから、それが言葉や行動となって教師に向かうこともあるでしょう。教師ですからやり返すわけには行かないので、我慢することも多いと思います。

こうして、「言いたいことを言う子どもとそれに耐え続ける教師」という関係性ができ上がってしまいます。最初はなにかのきっかけがあったのかもしれませんが、パターンができ上がってしまうと、何でもかんでも反抗してきたり、不満をぶつけてきたりすることにもなりかねません。

「一人の人間としては彼らを心から許せない自分がいて」ということで、許せない気持ちにもなっていますね。

普通級の場合と違って、言って聞かせるという指導が効果的に働かないことがあるのが特別支援学級です。

そして教師にも自尊心がありますし、たとえ相手が子どもでも理不尽な言動になると許せない気持ちにもなります。 

パターンができないように初期の段階で対応に注意する

現在が充実していて、人からの理解や支えに囲まれていると、自尊心も少しずつ回復し、辛い思い出も過去のものとなっていきます。

ですから、今の自分の身の回りの人との関係を大切にすることが第一だと思います。

それに加えて、今後は言いたい放題の子どもにならないように、パターンができないように初期の段階で対応に注意するとよいと思います。

子どもとの関係で、または保護者との関係で何か行き違いや誤解などがあったときに、丁寧に説明することも大切ですが、話を聞くときには、気持ちに共感することはしても、現実的にできることとできないことを明確に伝えることが大切です。

また、初期の段階で教師の複数対応で客観的な視点をいれてチームで対応することも効果的な場合があります。

そしてストレスを感じた場合、他の教師に気持ちを聞いてもらったり、カウンセリングで気持ちの整理をしたりするなど、精神的に孤立しないように注意しましょう。

ここ(みん教相談室)に質問されたことも良い選択だったと思います。「これまでのことを踏まえて、心から向き合っていきたい」という前向きなお気持ちを大切に、子どもたちと向き合っていってほしいと思います。

みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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