「タブレット型端末」を使ってみよう 始めの3歩

多様性(ダイバーシティ)に応じて、さまざまな教育を提供し、個に応じた教育を行うことが必要不可欠になってきています。一人一台端末は、多様な教育を行う一助となります。できることから始めてみましょう。

執筆/愛媛県公立小学校教諭・篠原慶史

なぜ? 一人一台端末?

新型コロナ禍の中で、一人一台端末の導入にさらに拍車がかかりました。では、なぜ一人一台端末なのでしょうか。学級に次のような違いはないですか。

多様性(ダイバーシティ)に応じて、さまざまな教育を提供し、個に応じた教育を行うことが必要不可欠になってきています。一人一台端末は多様な教育を行う一助となります。できることから始めてみましょう。

「個別最適な学び」としての第1歩目

①動画サイトを用いた個別学習

タブレット型端末により、一人一人がインターネット上にある、自分に合った動画を選択して視聴できます。

まなびじゅある(ぶんけい)

裁縫用具の使い方や縫い方などを個別に見ることができます。

図工人

図画工作科の道具の扱い方や作品づくりのポイントなどが動画で紹介されています。

②タブレットドリルで習熟度別学習

タブレットドリルなどを活用することで、子供一人一人の習熟に応じたものを選択し、学習に取り組むことができます。また、解いたらすぐ自動で採点されます。

宿題の出し方や戻し方なども一人一人に合ったものにすることも可能になります。

③係活動や集会活動のパワーアップ

ロイロノートやグーグルフォームにはアンケート機能があり、結果がすぐに集計できます。

また、インターネットやカメラ機能を用いることで、授業や活動の幅が広がります。

例「ALTの先生とのお別れ集会をしよう」

「協働的な学び」としての第2歩目

①解答共有機能で全員の意見を可視化

ロイロノートの解答共有機能を活用することで、一人一人の考えをひとつの画面で共有することができます。お互いの考えを見られることで、自分の考えを深めることができます。

②意見を出し合い、アイデアを共有化

グーグルジャムボードなどを用いて、オンライン上のひとつの場所で同時に意見を出し合うことができます。また、意見の分類・整理もすることができます。

発表が苦手な子も、自分の意見を表現することができます。

ロイロノート
自分の調べたことや考えを文や写真などをつないで発表したり、思考ツールを用いて思考を深めたりすることができます。

グーグルジャムボード
デジタルホワイトボードともいわれ、意見を付箋紙に書いたり、動かしたり、自由に書き込んだりすることができます。

③グループでひとつの課題を追究(深化)

グーグルスライドなどの共同編集機能を活用すると、グループでひとつの課題を追究しやすくなります。同時に編集することで、作業を分けたり、読み合いながらコメントしあったりすることもできます。

④多様な他者との協働

Zoomなどのウェブ会議のツールを使うことで、地域の人や外国の人たちなどさまざまな人と交流することができます。他者と交流することで多様な価値観に触れたり、生き方について考えたりすることができます。

評価用としての第3歩目

ロイロノートのアンケート機能やグーグルフォームを使うことで、授業後の振り返りを短時間で行うことができます。子供たちが評価したものは、すぐに集計され、子供たちにフィードバックされたり、自分の指導改善に生かしたりすることもできます。

大事なのはコーディネート力

タブレット型端末を使うと作業が効率的になります。また、配慮を要する子供たちにも個別の支援が行いやすくなります。

しかし、何のためにタブレット型端末を使うのか目的を明確にしないと、本末転倒になることもあります。ときにはじっくりと話し合ったり、小黒板やホワイトボードなどを使ったりしたほうが効果的な場合もあります。何をどんな目的で使うのか、また、集めた意見をどのようにまとめていくのか、授業の流れをコーディネートする力を高めていく必要があります。

イラスト/種田瑞子

『教育技術 小五小六』2021年12/1月号より

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