国語科「すがたをかえる大豆」発問の極意#1

連載
子どもの主体が立ち上がる 国語科 単元別 発問の極意

筑波大学附属小学校教諭

白坂洋一
国語科 発問の極意 バナー

これまで計3回にわたって、物語「ごんぎつね」を例に、単元における4つの発問構成について紹介させていただきました。(→「ごんぎつね」#1#2#3
今回からは計4回にわたって、1つの教材を取り上げ、教材分析、単元計画づくり、そして、発問づくりについて紹介します。
今回は、3年生の説明文「すがたをかえる大豆」(光村図書)を取り上げ、その1回目として、教材分析の方法と教材の特性を解説します。

執筆/筑波大学附属小学校教諭・白坂洋一

教材分析の方法

<題名、問いと答えに着目する>

説明文「すがたをかえる大豆」は「手をくわえて、おいしく食べるくふう」を観点に、大豆がいろいろなすがたで食べられていることを紹介するとともに、「昔の人々のちえ」のすばらしさを伝えている文章です。
では、この説明文は、どのような教材なのでしょうか。教材分析シートをもとに解説を加えていきます。以下のシートを見てください。

教材分析シート
教材分析シート:「すがたをかえる大豆」

まず、題名に目を向けてみましょう。題名は「すがたをかえる大豆」となっています。ただ「大豆」と題材のみを示しているのではなく、「すがたをかえる」としているように、この部分に、これから筆者がどのようなことについて説明、主張しようとしているかをとらえることができます。つまり、話題・課題タイプの題名のつけ方だと言えるでしょう。

次に、問いと答えに目を向けてみます。説明文の多くは、文末が「~でしょうか」のように、問いかけで終わる「問いの文」が示されています。問いの文は読むときの視点になります。この問いの文によって、筆者は読み手に何を述べようとしているかを示すことができるとともに、読み手を引きつけることができるのです。問いの文と答えの文はセットとしてとらえます。問いに対する答えが示されることで、文章は展開されていきます。しかし、「すがたをかえる大豆」では問いの文が示されていません。①段落に「なんだか分かりますか」と示されているものの、その直後には「それは、大豆です」と答えが示されています。文章全体や事例のまとまりといった問いは示されていないことが分かります。

<文章構成に着目する>

次に、文章構成を見てみましょう。文章構成は、はじめが①・②段落、中が③~⑦段落で、終わりが⑧段落です。

①・②段落では、「大豆がいろいろな食品にすがたをかえていることが多いので気づかれない」「大豆はダイズという植物のたねである」「かたい大豆はそのままでは食べにくく、消化もよくないため、昔からいろいろ手をくわえて、おいしく食べるくふうをしてきた」ことが述べられています。その上で、③段落からは「いちばん分かりやすいのは」と、その具体が示されています。

③~⑦段落の「中」の部分は中1が③~⑥段落、中2が⑦段落と分かれます。

表記という点では、③~⑥段落が「大豆」と漢字で表記されているのにもかかわらず、⑦段落のみ「ダイズ」と片仮名表記になっています。これは②段落で示されている「大豆は、ダイズという植物のたねです」にも関わってきます。⑦段落は、育った実ではなく、植物のたねであることを示しています。

また、事例の観点となっている「手を加えて、おいしく食べるくふう」という点では、③~⑥段落は育った実である「大豆」に手を加えた事例であること、⑦段落は取り入れる時期や育て方という別の観点で植物の「ダイズ」に手を加えてつくられた事例であることが分かります。このことは⑦段落はじめの「これらの他に」という接続語と合わせて考えると、さらに分かりやすいでしょう。

さらに詳しく見ていくと③~⑥段落は③・④段落と⑤・⑥段落に分けることができます。③・④段落は、「いったり」「にたり」「こなにひいたり」して、そのものの味を楽しむ工夫だと言えます。一方、⑤・⑥段落は、栄養だけを取り出したり、目に見えない小さな生物の力を借りたりして「ちがう食品」にする工夫となっています。

<内容理解に重心を置いて要約する>

要約は、先に解説した述べ方に着目してまとめていくとよいでしょう。今回は、内容理解に重きをおいた要約の方法です。教科書の手引きなどでも紹介されている、中心文を抜きだす方法で要約をまとめていきます。その方法は以下のような3ステップで行っていきます。

① 形式段落ごとに、文の数を数える。
② 形式段落の中心文(要点)を抜き出す。
③ 各段落の中心文(要点)をつないでまとめる。

「中」で示されている、それぞれの事例の述べ方は、どれもおいしく食べるための工夫が1文目に記されていました。この要約の場合、子どもも教師も迷うところ、そして指導で悩むところは、②の中心文(要点)を抜き出す場面です。この要約は現在、最も広く行われている指導の一つですが、この中心文(要点)を見つける観点が、「大切な文を抜き出す」というように、「大切な」という表現が曖昧であるために、それぞれの「大切さ」が異なることになってしまい、なかなか意見を収束できないという問題がありました。

そこで、文の役割をとらえることが重要となります。この文意識は低学年から育てていきたい部分です。では、文の役割に着目して、中心文(要点)を絞っていきます。そこで用いるのが、次に挙げる3つの観点です。

①題名とかかわる内容の文
②段落における結論(まとめ)が述べられている文
③段落の主語・述語に着目し、内容にかかわる文

このような方法や観点で、中心文(要点)を抜き出します。
そうすると、次のように各段落の要点が抜き出され、要約としてまとめることができます。
(文中の数字は段落番号を表しています)

大豆は、いろいろな食品にすがたをかえることが多いので、気づかれないのです(①)。大豆は、昔からいろいろ手をくわえて、おいしく食べるくふうがされてきました(②)。
いちばん分かりやすいのは、大豆をその形のままいったり、にたりして、やわらかく、おいしくするくふうです(③)。次に、こなにひいて食べるくふうがあります(④)。また、大豆にふくまれる大切なえいようだけを取り出して、ちがう食品にするくふうもあります(⑤)。さらに、目に見えない小さな生物の力をかりて、ちがう食品にするくふうもあります(⑥)。これらの他に、とり入れる時期や育て方のくふうをした食べ方もあります(⑦)。
大豆のよいところに気づき、食事に取り入れてきた昔の人々のちえにおどろかされます(⑧)。

段落が基本の単位となっていますから、「何がどう書かれているか」という、説明されている内容を確かに押さえること、理解することが目的の要約です。説明内容の理解、説明内容に重きを置いた要約と言えます。内容を把握し、それを伝えるためには、効果的な方法ですし、要約の方法の基礎をとらえるならば、有効だといえます。

また、学習指導要領「読むこと」には要約について、次のような記述があります。

文章の内容を端的に説明するといった要約する目的を意識して、内容の中心となる語や文を選んで、要約の分量などを考えて要約することが重要である。

目的や意図に応じて、要約の分量を考えるということが挙げられていますので、私たちは方法とともに、目的や意図に応じて要約を使い分けていくことを指導する必要があります。

教材分析から見える「教材の特性」

以上をもとに、教材の特性をまとめると、以下の通りになります。

・「中」の部分に書かれた事例の順序性
・「手をくわえておいしく食べるくふう」(具体)と「昔の人々のちえ」(抽象)との関係
・尾括型構成

まず、「中」の事例の順序性です。事例は「手をくわえて、おいしく食べるくふう」を分類基準として、大豆が変化していく形に従って事例を挙げています。きなこや納豆、みそ、もやしなどを挙げながら手のくわえ方を取り上げています。各形式段落のはじめには「いちばん分かりやすいのは」「次に」「また」「さらに」という言葉を挙げています。事例の順序性について、このような接続語を観点とした吟味・検討が、書く活動へとつながる教材でもあります。

次に、筆者の考えは⑧段落にある「昔の人々のちえ」に集約されていました。「中」の事例(具体)と「終わり」の筆者の考え(抽象)とのかかわりを確かにとらえることが必要となる文章です。

さらには、尾括型構成となっています。どのように分かれるかというと、「はじめ」は①・②段落、「中」が③~⑦段落、「終わり」が⑧段落と分かれていて、筆者の考えは「昔の人々のちえ」に集約されています。各形式段落はパラグラフという形式をとっています。

次回からは、具体的に単元計画づくりと発問を取り上げていきます。

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