進級・進学を見すえた3学期の学級活動と学校行事の指導とは
いよいよ1年間のまとめとなる3学期が始まります。5年生にとっては最高学年に向けて、6年生にとっては卒業に向けての取り組みが中心になります。4月には自信と喜びをもって進学・進級できるよう、見通しを持って学級経営を行いましょう。まず、学級の目標を再確認しましょう。そして、3学期の残りの日数を確認し、どんな自分になりたいか、そのために何ができるかを考えられるようにします。
執筆/東京都公立小学校教諭・奥山良太
目次
5年生 最高学年に向けて~6年生0学期~
5年生にとって3学期は、最高学年に向けての準備期間です。「6年生の0学期」と考えて臨みましょう。
6年生からバトンを受け継ぎ、5年生が学校の中心として活動する機会をつくっていきます。
①クラブ活動や委員会活動
クラブ活動や委員会活動では、6年生に代わって5年生が活動を進めることが考えられます。計画は6年生と一緒に行い、当日の進行は5年生が行います。
活動の振り返りでは、6年生からアドバイスをもらい、お互いに意識を高められるようにします
②6年生を送る会
6年生を送る会について話し合う代表委員会は、5年生が中心となります。6年生に感謝を伝えるために、その会に向けて在校生で何ができるかを話し合います。
縦割り班で作成したメッセージカードを、6年生に渡すことも考えられます。カードづくりは5年生が中心となって行います。
6年生 卒業に向けて
6年生にとっての3学期は小学校生活の集大成です。集大成にするためには、どんなことができるでしょうか。
①感謝の気持ちを表す
自分たちの成長を支えてくれた方々に、感謝の気持ちを表す活動を行います。教師が活動を設定するのではなく、子供たちが自発的に感謝の気持ちを伝えたいと思えることが大切です。
〈例〉
- 校内清掃
- ボランティア活動
- あいさつ運動
- 6年生にチャレンジ企画(休み時間などを使っての異学年交流活動)
- 異動した先生への手紙(卒業文集の原稿依頼に添える)など
②学校に伝統を残す
学校によっては卒業制作など、代々の6年生が行っている活動があるかもしれません。子供たちと相談し、実行委員を決めて自分たちで活動を進めていくことができるようにします。担任は学年だけでなく、管理職、他の教職員、保護者に確認をしながら進めます。
〈例〉
- 卒業記念合奏
- 卒業記念制作(靴箱のクラス表示、校庭の木のプレートなど)
- 手づくりの卒業証書筒など
③学校で学んだ思い出をつくる
学級会では卒業アルバムの学級ページの内容を決めることや、これまでの学級活動の集大成となるような学級集会について話し合います。学校生活のムービーを作成することも考えられます。
卒業までのカウントダウンカレンダーには、「みんなへのひと言」や「座右の銘」などを書くようにし、卒業に向けて意識を高められるようにします。
④成長に気づき、今の自分を見つめる
キャリア・パスポートを活用したり、6年間の成長を振り返ったりしながら、小学校卒業を迎える今の自分を見つめ直す時間をとりましょう。
〈例〉
- 6年間の身長、体重の変化・初めて借りた本のタイトル
- 6年間で借りた本の冊数
- 1年生の教室で特別授業
- 校長先生の特別授業
- 元担任の先生からメッセージ
- 6年間で食べた給食の回数など
学級会などで「卒業プロジェクト」として話し合い、ここに紹介したような卒業に向けての取り組みを実現していきます。
イラスト/菅原清貴
『教育技術 小五小六』2021年12/1月号より