【相談募集中】職員室の力関係でいじめや理不尽が改善されずに困っています

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職員室の人間関係あるある:リアルな改善策を集めました!

上越教育大学教職大学院教授

赤坂真二

特定の教諭からの嫌がらせに困り、管理職を含めた教員のモラルに違和感を持つ先生から「みん教相談室」に相談が寄せられました。今回は、上越教育大学教職大学院教授・赤坂真二先生に回答いただきました。近年、職員室の分断により同様の相談が増えているという赤坂先生からの7つのアドバイスをご紹介します。

職員室の力関係で理不尽な嫌がらせが改善されずに困っています
イラストAC

Q. 特定の教諭から嫌がらせを受けて困っています。管理職に相談しても改善が見込めず、全体的な教員のモラルに違和感を覚えます

担任が黒板を用いて授業をしていると、養護教諭が急にしゃべりだして勝手に授業を始めたり、授業前に児童と話し込み授業が始めにくかったりします。

故意に邪魔をしたり、必要なことを知らせなかったりします。

また、職員室でコソコソ低くなって話したり、児童に嫌いな先生を悪く言って嫌わせたりします。子供のいじめのような非常識な行為だと感じます。

管理職に相談しても改善がされません。

養護教諭は職員の中でも若く、主のような存在です。

教員が昔と随分変わってきているように感じます。一般的に非常識と感じることが、今ではそうでもないことになっているような気がします。

子供ならいじめとして対応されるかもしれませんが、大人の世界では対応しにくいです。 学校全体がその養護教諭と教頭、1年担任の3人で物事が知らない間に決まっていることが多いです。

力関係があり改善がなかなか難しいように感じているのですが、どうなのでしょう。

特に養護教諭の行動は学級経営に影響があり、やめてほしいです。(16先生・50代)

A. 近年、このような事例が増えています。7つのアドバイスをお伝えしますので、できることからやってみてください

近年、職員室の分断が進んだためでしょうか、こうした事例を多く耳にするようになりました。相談者の先生は、職員室の変化を肌で感じておられることでしょう。

管理職の先生方も指導らしい指導をするとパワハラとして訴えられてしまうような状況もあり、一部のそうした私的権力を振り回す職員が野放しになっているようです。私も似たような事例をお聞きすることが、ここ数年ぐっと増えました。

こうした事例で助言を求められる場合、次のようにお伝えしています。

1. 管理職へ継続的に相談する

相談者の方は、管理職(恐らく校長)にご相談なさっているようですが、継続的に相談なさってみてはいかがでしょうか。管理職の先生方のなかには、職員の問題に対してあまり積極的に関与せず、というご方針の方もおられます。あまり深入りするとリスクがあるからです。

しかし、この問題がスルーしていい問題ではなく、学校の職務遂行に支障を来すレベルであることを認識したら動き出すかもしれません。動き出すまで何度も訴えてはいかがでしょうか。

2. 仲間と問題を共有する

こうした事例が起こる職員室は、職員の人間関係が希薄である場合があります。相談者の方の学校の状況を全く知らないので、的外れなことを申し上げているかもしれませんが、件の方に関して心苦しく思っている方が他にもおられることでしょう。それらの方と問題意識を共有して、対策を練ってみられたらいかがでしょうか。

同様の立場の方と話題にするだけでも、随分心が軽くなるだろうと思われます。コロナ禍以前はこうしたことを、数人で集まっておいしいものでも食べながら、愚痴を言い合ったり、相談したりして、道が開けたこともあっただろうと思います。

3. 仲間と共に管理職に訴える

問題意識を共有したならば、単独ではなく、有志で校長室に行き、訴えてみてはどうでしょうか。一人ではダメです。数人で行きたいものです。

校長先生も、訴えが複数となるとやすやすと無視はできないことでしょう。そして、「同じ事を思っている職員がこれだけいます」と訴えてみます。そうなると個人の問題ではなく、組織の問題だと認識するかもしれません。

「このままでは、安心して仕事ができない」と正直に申し上げてみてはいかがでしょうか。ポイントは、件の職員を責めるのではなく、アイメッセージを使って、「私は辛い」のです、と訴えます。本当にしんどい場合は、「休職を視野に入れている」と言ってもいいと思います。

そして、教育活動に専念できないので、子供に不利益があると訴えるのもいいでしょう。

4. 事実を記録する

ただ、人のことを訴える場合は、きちんとした事実に基づく必要があります。だから事実をしっかりと記録して、書面にして校長先生にお見せする必要があろうかと思います。「思い込み」と取られたら折角の行動も台無しです。

文字にした重みはなかなか無視できない説得力があります。A4一枚程度ではなく、やはり数枚の厚みが欲しいです。

5. 教育委員会に知らせる

所属の教育委員会には、ハラスメント委員会のような訴える先があるのでしょうか。ハラスメント、ハラスメントまがいの訴えは教育委員会に伝えられることがあり、実際に調査が入ることもあるようです。

改善が見られない場合、こうした手段に出ることも想定してはいかがでしょうか。

訴えた場合のこちら側の不利益をしっかりと検討した上で、行動を起こすことが大事だと思います。実名にするか匿名にするかも検討の余地があろうかと思います。

6. 養護教諭の知り合いから話を聞く

件の養護教諭の先生とお知り合いの方は周辺にいませんか。その方がもともとそうした傾向のある方ならば、きっと前任校でも同様の問題を起こしているはずです。そうしたら、その周辺の方から対策を聞き出せるかもしれません。

また、もし相談者の方が勤務される現任校からそうした行動が始まっているのなら、現任校に養護教諭のそうした行動をさせる要因があるかもしれません。それならば、その要因を想定して、その要因を排除することもできるかもしれません。

7. 養護教諭とつながる

もっとも実現が難しく、そして実行したらもっとも効果的なのがこれです。

恐らくですが、養護教諭の先生は「一人職」なので、孤立している、阻害されている、支持されていない、認められていない、などの不全感をもっているのかもしれません。職場で不毛な「権力闘争」をしているかもしれません。日々感謝されたり尊重されれば、そうした傾向が緩和されるかもしれません。

しかし、今の職場はとても忙しく、職員室の人間関係がつくられるような時間も場もないのが現実です。日常のコミュニケーションでそうするしかなかったりするわけです。挨拶をしたり、声をかけたりするようにしてつながることで、攻撃対象から外れるかもしれません。


以上、7つ挙げてみましたが、もし現状を変えてみたいならば、できることからやってみてはいかがでしょうか。

相談者の先生の状況や学校の事情を何も知りもせず勝手に書いていますので、的を射ていないことをご容赦ください。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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