「地域ICTクラブ」とは?【知っておきたい教育用語】
教育情報化推進の一環として推進されている、地域ICTクラブ。どのような取り組みで、活動のポイントはどんなところにあるのでしょうか。
執筆/「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム
目次
「地域ICTクラブ」とは?
総務省が推進する地域ICTクラブの取り組みは、学校外でも子どもたちがプログラミングに慣れ親しむことができるように、地域で子どもたちと地域住民が一体となって、地域課題解決などをテーマにICT活用スキルを学び合う活動です。住民や行政、民間事業者団体、NPO団体など、多様な主体が自主的に参加します。
GIGAスクール構想や、小学校でのプログラミング教育必修化の流れのなかで、地域ICTクラブは、子どもたちにプログラミングに慣れ親しむ機会を提供することや、学校で学んだ子どもたちがより難しいこと・新しいことや、自らのやりたいことに自由に取り組む場を提供する役割を担っており、今後もより多くの地域に展開されていくことが期待されています。
地域ICTクラブを設立するきっかけや活動内容は事業主体ごとにさまざまです。設立にあたっては、活動の目的やめざす姿を明確に位置付け、それを実現するために、いかに地域の関係者と連携し、人材や環境、財源などを確保できるかがポイントになります。
地域ICTクラブの設立・運営におけるポイント
総務省では、地域ICTクラブの設立や継続的な運営が容易となるよう、事業の結果から得られた知見やノウハウなどを広く共有することを目的として、「地域ICTクラブ設立・運用に関するガイドブック」を作成・公表しています。ガイドブックで紹介されているポイントは以下の通りです。
●地域ICTクラブの設置
・全体コンセプトの設定
・クラブ組成・運営を主導する中核的人物・組織の確保
・クラブ組成・運営を支える人物・組織の確保
・児童生徒などの募集
・メンターの確保
・サポーターの確保
●メンターの育成
・メンター育成講座の骨格
●講座の実施
・講座の設計、運営に必要な視点
・教材の選定・確保
・場所の選定・確保
●持続可能な運営のあり方
地域の特性に応じた多彩なクラブ事例
平成30年からスタートした、地域ICTクラブ。令和4年3月時点では、56のクラブが設立されています。小・中学校が教育委員会や企業、大学などを巻き込み、メンターによる質の高い学びを提供する事例や、不登校の小中学生を対象に地域間にある距離の壁を超えた遠隔ネットコミュニティにより活躍をサポートすることをめざす事例など、取り組み実績は豊富です。
また、教育委員会主催の教職員向けプログラミング講座への講師派遣や、学校での出前授業の実施などの連携事例も生まれ始めています。クラブの運営を通じて培ったプログラミング教育のノウハウを学校現場に還元することは、期待されるポイントの一つです。
総務省はガイドブックの中で、地域ICTクラブのプログラミングの国内コンテストへの応募を推奨。プログラミングスキルや学習意欲の向上を図り、子どもたちに目標をもって活動に参加する環境づくりの一つとしています。プログラミングコンテストに関わることでその主催団体、後援団体、協賛団体と連携を構築できれば、メンター不足や運転資金、会場などの問題解決の一助となる場合も考えられるでしょう。活動を継続させるうえで最も課題となりやすいのは、運営費の確保です。関係団体との連携に加えて、支出をスリム化していく工夫も求められます。
▼参考資料
総務省(ウェブサイト)「地域ICTクラブについて」
総務省(ウェブサイト)「地域ICTクラブとは」
総務省(PDF)「地域ICTクラブとして活動しませんか?」
総務省(PDF)「地域ICTクラブ設立・運用に関するガイドブック」