【相談募集中】先日、保護者を怒らせてしまいました
30代の女性教師から「みん教相談室」に相談が寄せられました。ある事で子供へ指導をしたところ、その保護者を怒らせてしまったそうです。退職も考えるほど思い悩んでいる相談者に対して、東京未来大学非常勤講師 山中伸之先生が回答した内容をこちらでシェアします。
目次
Q. 指導したつもりですが、保護者を怒らせてしまいました
小学校の担任をしています。先日、子供の思いをうまく汲み取ることができずに子供や保護者を傷つけてしまうということがありました。管理職、同僚は必要な指導だったと言ってはくれましたが、保護者は私に対して相当お怒りです。
私自身の未熟さゆえに起きてしまったことなので、私自身が責められることは構わないのですが、学校全体に迷惑がかかってしまうということが、今とてもつらいです。ただ、この中途半端な時期に辞めるというのは、大変無責任だということも分かっています。今年度いっぱいで退職というのも考えています。
ほかに何か自分にできることはないのか考えているところですが、教えていただけるとありがたいです。ちなみに指導した内容について詳細は言えませんが、いじめのようなことが関係しています。(匿名先生・30代)
A. 今、先生に必要なのは「心の安全地帯」を確保することです
退職もお考えになるほどお悩みとのこと、毎日がおつらいですね。お気持ちがよく分かります。
先生、実は退職をするのは簡単です。管理職に申し出て書類を何枚か書くだけです。退職をしてしまえば、職場と直接的なつながりが消え、申し訳ないという気持ちよりも安堵感が勝り、先生のお悩みのほとんどはきれいになくなります。毎日心安らかに過ごせます。
退職も選択肢のひとつと考えるのは、まったく悪いことではないと思います。なぜなら、先生は、先生ご自身の人生を生きることが大事だからです。教職は先生の人生の一部にしか過ぎません。まだ、30代とお若いのですから、ご自分を生かす道はたくさんあります。
今、先生に必要なのは、義務を果たすことでも、できることに真摯に取り組むことでもありません。
今、先生に必要なのは、「心の安全地帯」を確保することです。
そこにいれば、まわりの嫌なことから守られる、そういう心の場所を見つけることです。そして、毎日毎日、まわりからの視線や自分を責める言葉に必死に耐えている先生ご自身を、先生ご自身が慰め、ねぎらってあげることです。
そのためにいったん、退職をすると本気で決めてみてください。それが先生の「心の安全地帯」になります。「心の安全地帯」が確保できると、少し余裕をもってまわりを見ることができるようになります。今、何をしたらよいかが見えてきます。
そのときに、「完璧主義」にならないよう気をつけてください。人は完璧にはなれませんし、完璧でなくてもいいのです。先生の大好きな方々も、決して完璧な人間ではないと思います。でも、先生はその方々が好きですよね。人は完璧だから好かれるのではないのです。むしろ、完璧でないから好かれるのではないでしょうか。
そこで「最善主義」を目指してください。先生ができることのなかで、一番いいと思うことをするということです。「できることのなかで」です。できないことを無理にするのではありません。ご自身で決めたことをご自身が実行するということが、先生自身の価値を高め、勇気づけてくれます。
すこし余裕が出てきたら、次のことを考えてみてください。
- 99個の成功があっても1個失敗すれば失敗だ、と考えていないか。
- 物事の悪い面ばかりを見てしまっていないか。
- 短所は大げさに考えてしまい、長所は過小評価してしまっていないか。
- 物事すべて自分のせいだと思い込んでいないか。
これらは人がよくする思い込みのなかのいくつかです。日本人は特にこのように考えやすい気質を遺伝的にもっているとする研究もあります。
「心の安全地帯」を確保し、先生ご自身をねぎらいながら、先生がお決めになった時期までを過ごしてみてください。そしてその時が来たら、改めて考えてみるとよろしいのではないかと思います。
先生が、先生ご自身の人生を選んで、進んで行かれることを祈っております。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。