小4国語「クラスみんなで決めるには」指導アイデア
教材名:「クラスみんなで決めるには」(光村図書四年下)
指導事項:〔知識・技能〕(2)イ 〔思考力、判断力、表現力等〕A(1)アオ
言語活動:ウ
執筆/鹿児島県錦江町教育委員会参事兼指導主事・尾﨑裕樹
編集委員/文部科学省教科調査官・大塚健太郎、大妻女子大学准教授・樺山敏郎
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
本単元では、話合いの目的や進め方、自分の役割を理解し、互いの意見の共通点や相違点に着目して考えをまとめていく力を付けます。話合いでは、目的・視点に沿って多様な意見や考えを出し合い、まとめていく必要があります。
その際、話合いにおけるそれぞれの役割を理解して、役割を果たそうとしなければ、考えはまとまっていきません。そこで、本単元では必要感のある話題を設定し、それぞれの役割を理解させたうえで、実際の話合いを通してよりよい話合いのしかたについて学んでいきます。
さらに、自分たちの話合いの過程をふり返ることで、できるようになったことを実感させ、実生活での話合いに生かしていくことができるようにします。
②言語活動とその特徴
子供たちは、実生活における話合いで、多様な意見を整理することの難しさを感じ、考えがまとまらない経験をしています。そこで、本単元では、子供たちにとって必要感のある話題を設定し、学級全体で話し合うことにより、よりよい話合いのしかたについて考えます。
司会、記録、計時、提案者、参加者などの役割を経験させ、役割を自覚させるとともに、それぞれの役割を互いに見合い、助言し合うことで、よりよい話合いをするにはどうすべきかを考えることができるようにします。
単元の展開(7時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
○学級の話合いの動画を視聴し、自分たちの話合いのしかたの課題を出し合い、学習課題と学習計画を立てる。
【学習課題】役割を意識してよりよく話し合い、学級の考えをまとめよう。
○話合いの目的を明確にし、解決の見通しをもつ。
・話合いの話題を決め、役割を分担する。
→アイデア1 主体的な学び
第二次(3・4時)
○教科書の話合いの様子、動画、CDなどから、話合いで気を付けることを考え、交流する。
・司会、記録、計時などの役割をまとめる。
○役割に応じて気を付けることや、意見のまとめ方などを整理し、話合いの準備をする
→アイデア2 対話的な学び
第三次(5~7時)
○前時までに整理したよりよい話合いのしかたを基にして、1回目の話合いを行う。
・グループで、どのように言えばよかったのかを話し合う。
○話合いをふり返り、改善点を明らかにして、次時の話合いの準備を役割ごとに行い、2回目の話合いを行う。
○話合いをふり返り、単元の学習をふり返る。
→アイデア3 深い学び
アイデア1 話合いの見通しをもつ
話題については、児童会活動や学級活動など子供の身近な生活のなかから選定するようにします。例えば、「一年生とのふれあい活動で、一年生と何をして遊ぶか」「クラスがもっと仲よくなるために、どのようなレクリエーションをするか」など、子供にとって必要感のある話題を選ぶことが大切です。
ここでの話合いの目的は、クラスのみんなで議題について意見を出し合い、結論を一つもしくはいくつかに絞っていくことです。討論のように考えを広げたり深めたりするのではありません。
学級のみんなと折り合いを付け、考えをまとめていくことを自覚させることで、話合いをスムーズに進めていこうとする意識を高めるようにします。教師が次のような指示を出し、結論を絞っていく観点を示していくのも有効です。
一年生とのふれあい活動では、どんな遊びを考えればいいかな。相手が一年生だから、「ルールが簡単なもの」「安全でみんなが楽しめるもの」という観点で遊びを考えるといいですね。
アイデア2 多様な意見を観点に基づいて整理する
子供たちは、話合いにおいて多くの意見を整理することに難しさを感じています。複数の多様な意見が出すぎて、それをどのようにまとめればよいか分からなくなることは、よくあることです。そこで、表や図を教師が提示し、観点に基づいて意見を整理する方法を指導することが大切です。
下の表①は、「ルールが簡単」「安全で楽しめる」という観点で、メリット、デメリットを整理していきます。すると、〇が付く意見に絞られていきます。下の図②については、横軸と縦軸に観点を設定します。
右に行くほどルールが難しく、上に行くほどけがが心配でみんなが楽しめないことになります。ここでは、図②の左下の「的当て」や「じゃんけん列車」に絞られていきます。
意見の絞り方の例(一年生とのふれあい活動での遊びについて)
▼表①
▼図②
教師は、このような図や表を基にして、特に司会と記録係の役割に着目させ、どのように意見を絞り込むことが大切かを考えさせることが大切です。
アイデア3 タブレットやカードで学びをふり返る
話合いのしかたを実生活で生かしていくためには、単元の学習のふり返りを確実に行い、何ができるようになったのかを実感させることが大切です。そのためには、自分たちの話合いの様子をふり返ることができるように、タブレットなどで録画したものを見ながら、二次でまとめたよりよい話合いの様子と比べます。
本単元では、二回の話合いがあります。それぞれの回で、「できたこと」と「課題」を出し合い、よりよい話合いをめざしていけるようにします。
単元の終末段階では、次のようなシートを作成して、話合いの流れに沿った評価の観点に合わせてふり返りの充実を図りましょう。シートの項目をクリアすることだけが目的にならないように、本単元のねらいに即してふり返るようにします。
このようなふり返りの活動を積み重ねることで、話合いを通して考えをまとめる力を身に付けていくことができます。さらに、参加者用の項目を加えて、その役割を意識させることも大切です。
▼ふり返りシート
イラスト/横井智美
『教育技術 小三小四』2021年10/11月号より