なりたい自分に向かって個人目標をレベルアップ
個人目標は、一人ひとりの児童が思い描く「なりたい自分」に向かって努力するために、欠かせないものです。ここでは、「目標の持たせ方」について見直し、児童一人ひとりが自分の力に応じた頑張りがいのある目標を持てるように考えていきましょう。
執筆/埼玉県公立小学校教諭・石原良介
目次
2学期の個人目標を決めよう
よりよい2学期にするために、個人目標の決め方を見直してみましょう。
ステップ1 1学期のふり返り
- 1学期の個人目標を振り返る。
- キャリア・パスポートをもとに、さらに伸ばしたい自分のよさや、なりたい5年生(6年生)像を確認する。
ステップ2 個人目標の設定
- 頑張りたいことを具体的に記入する。
ステップ3 振り返り
- 各月等、定期的に振り返り、必要に応じて目標を更新する。
- 学校目標や学級目標に連動させ、「知、徳、体」の観点で項目を設定するとよいでしょう。
学校目標⇒学年目標・学級目標⇒個人目標 - 「その他」の項目を入れると、委員会活動や学校行事、家庭での手伝いや習い事など、頑張りたいと思っていることを自由に書くことができます。
- 自分のなりたい姿を実現させるために何を頑張るのか、できる限り具体的に記入できるよう指導しましょう。
<入れたい視点>いつ・どのように・どれくらい - 自分の良さを生かす視点を持てるようにすることで、前向きな目標設定につながります。
- 毎月継続的に◎〇△等で振り返りましょう。
目標の更新
決めた目標が達成できたときには、新たな目標を設定し、重ね貼りして更新することも考えられます。
学校行事の個人目標を決めよう
2学期はさまざまな学校行事が予定されており、その都度めあてを持てるようにして活動に向かわせたいものです。ここでは、運動会の頑張りカードを例に、目標設定のポイントを紹介します。
- 児童会などで決めたテーマを受け、それに向かって頑張りたいことを具体的に記入できるようにするとよいでしょう。
- 目標設定の際に振り返りの観点を伝えることで、活動のねらいに迫る個人目標を考えられるようになります。
- 経験したことを今後に生かす視点は、日常生活をよりよくしようとする意欲につながります。
- 教師からのコメントで、児童の頑張りを価値づけましょう。この用紙は、キャリア・パスポートとして蓄積してもよいでしょう。
キャリア・パスポートについて
キャリア・パスポートとは?
令和2年度から始まった取り組みで、児童生徒の学校生活の記録を、年5枚を上限に蓄積し、小・中・高と取り続けるものです。児童生徒が自らの成長を振り返り、新たな目標や生き方を見定める際の参考にすることが主な目的です。
上記で紹介した学校行事の頑張りカードを始めとするワークシートが対象となります。学校や学年の実態に応じて精選し、蓄積することになります。
キャリア・パスポート活用のポイント
蓄積した資料を、
・児童が目標を決める授業で活用する。
→過去の頑張り等を参考に今後を見通すための資料にする。
・教師が児童理解のために活用する。
→児童の様々な面に気付ける資料にする。
「長所はこれを発揮するに努力すれば、短所は自然に消滅する」(『渋沢栄一訓言集』国書刊行会より引用)
渋沢栄一の言葉です。教師も子供も、つい、できないことに目を向けてしまいがちです。よさを生かす視点を大切に、目標を設定できるように指導していきましょう。
イラスト/北澤良枝
『教育技術 小五小六』2021年8/9月号より