登校したらメッセージボード! ~今日の自分をデザインする~ 【マスターヨーダの喫茶室】

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山田隆弘
マスターヨーダの喫茶室~

日常的に児童生徒に担任からメッセージを伝えるのは、音声による伝達が大部分をしめます。しかし、音声は一過性のものであり、記憶には残りにくいものです。
文字情報として、メッセージを伝えるのはいいことですが、なかなか時間がかかります。学級でのエピソードなどを学級通信に掲載するというのは一般的ですが、省力化という視点からか最近の学級通信は連絡事項が中心になってきました。つまり、担任の思いやメッセージを学級通信に書くという文化がなくなってきているようです。

そこで、こういった課題を解決するいい方法を紹介します。メッセージボード(シート)を利用する方法です。比較的簡単にできます。

1 校長先生の『あいあいメッセージ』

以前勤務した学校では、女性できめ細やかな実践をされる校長先生がいました。

そして、毎日『あいあいメッセージ』というボードを書いていました。「あいあい」は校長先生のお名前と関連付けてあったり、「愛」という文字を連想させたり、「教え合い」「助け合い」の「合い」につながるということであったりいろいろな意味をもたせている深い意味のあるネーミングでした。

そして、I(わたし)があなたたちのことをeye(目)で見守っているよという裏のメッセージもあるような気がしていました。

毎日、校長先生が思ったことや感じたことがメッセージボードに記載され、児童は校長室の前を通るのをとても楽しみにしていました。

4月21日のメッセージボード
5月12日メッセージボード

メッセージボードには、季節や自然のことが多く書かれ、感性を育てるのにとてもいい効果がありました。こんなメッセージです。(実際にはふりがながふってありました。)

すもう大会がんばりましたね。Kさん、3位おめでとう。6年生もあともう少しで団体3位になるところでしたね。最後まで粘り強くがんばりました。9人がいっしょにがんばった成果です。

今日は、交通教室があります。命を守るためにだいじな勉強です。きまりを正しく覚えてしっかりできるようになりましょう。

うれしいことがありました。地域のたくさんの方が、みなさんの「おはようございます」「こんにちは」のあいさつがとてもいいとほめてくれました。よかったね。いいことは続けましょう。
 おめでとう おたんじょう日 ○月○日 KAさん

今日は大運動会です。赤組がんばれ! 白組がんばれ!
応援も競技も 最後まであきらめず ねばりづよく!!
ハッピーバースデー ○月○日 SAさん

みんな運動会がんばったね。リーダーのみなさんもよく声を出しみんなをまとめてくれました。
さあ、5、6年生は次は陸上大会です。勉強もスポーツもがんばりましょう。

花だんのビオラに種ができているのを見つけましたか? 集めたのがこれです。8月になったらこの種を植えて育てます。そして新しい命につながっていくのですね。来週、新しい花を1年生が植えてくれます。<机上に3種類の種を展示>

上級生のみなさん、力をかしてください。1年生が入学して2か月になりますが、まだちょっと不安だったりさみしい気持ちでいる1年生もいます。手をつないであげたり声をかけてあげたりしていっしょに遊んであげると元気が出てくるかもしれないね。

体育館前の写真を貼り替えました。みんなの生き生きした顔やしんけんな表情がとてもいいですね。みなさんのがんばりの記録です。

そして、校長先生はあいた時間にいろいろな作業をしていましたが、そのボランティアをこのボードで募集しました。たくさんのボランティア児童が集まりました。児童委員会の活動とは違った直接メッセージによる呼びかけでした。

あいあいボランティア募集
きのう、草むしりをお手伝いしてくれたみなさん、ありがとうね。
五月はとても気持ちのいい季節なので、草木もどんどん伸びます。
花だんの草もどんどん伸びます。
花も野菜もきれいに大きく育てるには、草を取ってあげないとせっかくの栄養がみんな草にとられてしまいます。
そこで、学校の花壇の草むしりをお手伝いしてほしいのです。
みんなで続ければ、いつもきれいな花壇でお花も生き生きと元気に大きく育ちます。
お手伝いしてくれる人は、名簿に名前を書いてください。
続けてがんばてくれた人には、校長先生からごほうびもあげたいと思います。

お天気のいい日は学校に来たら、一人60本、草をむしる!
雨が降った日は、草むしりはお休みします。

ボランティアの児童は意気揚々と作業に取り組み、ご褒美に校長先生の自宅で育てた小鉢の植物をいただいていました。こういった心のふれ合いをボードをとおして行うことができていました。

四季を通じて児童にメッセージを伝え、感性を育み、心を育てていくことはすばらしいことです。

ボードをイーゼルや譜面台にのせただけで、楽しさが伝わってきますし、児童の誕生日だけでなく教職員の誕生日までメッセージに添えられていました。本人はとてもうれしく思います。

この実践は校長先生のメッセージですが、学級担任として教室でもできそうですね。登校してきてみたら、担任の先生の感性豊かなことばが書かれたボードがあり、それをかみしめて教室に入るなんてとてもすてきでしょうね。

2 『今日のナイス!!!』

勤務校では、『今日のナイス!!!』というタイトルで、すてきなできごとをメッセージとして毎日教室の後方ドアに掲示しているS先生がいます。その方法を伺いました。

① 毎日放課後、教室で一日の子どもたちのようすを振り返ります。
② 放課後残る時間をとることができない時は、通勤の帰路に一日のできごとを思い起こします。
③『今日のナイス!!!』に取り上げる児童の行動や姿を頭の中に整理します。
④ 翌朝、出勤と同時に一気に書き上げ、文字を打ち込みプリントアウトします。
⑤ 児童が登校し教室に向かう頃、メッセージを貼ります。
⑥ 一日掲示した後、当該児童(複数の場合もあり)にその掲示物(シート)をあげます。

といった流れです。

ヨーダ掲示板
イラスト/したらみ

シートに書くメッセージの内容は、

① 学校生活で特に友だちへ関わり、学級のために行った望ましい行動
② 学習の中で目を引くがんばり
③ ほかの児童が教えてくれたその児童のいいところやいい行動
④ 担任以外の先生から聞いたほのぼのとした行動
⑤ 公的なことでなくてもその児童が特にがんばっていること

などなどです。

S先生は、初任の頃からずっとこの実践を続けているそうです。
この実践のメリットを伺いました。かなりあるようです。

① 学級通信を書くより気軽に進めることができる。
② 担任だけでなく、児童間、あるいはほかの先生方からほめてもらうことが増える。
③ 子どもたちに望ましい行動についてお説教することなく考えてもらうことができる。
④ 掲示物を持ち帰ることによって、それを保護者が児童の家々で再掲示したり話題にしたりし、もう一度ほめてもらうことができる。
⑤ 学期末の行動評価の資料としたり、学級懇談会での話題にしたりできる。
⑥ 当日でなく、時差でほめるので、ほめられた児童の「認められ感」が増す。
⑦ 学級通信だとその学級だけにしかわからないが、多くの先生や他学年、他学級の人が見るので、本人はとても喜ぶ。

デメリットとしては、メッセージの文章づくりやプリントアウトの手間、ほかの学級との調整などが課題として残りますが、工夫しながらうまく乗り越えていってほしいです。

この実践の留意点としては、

① できるだけ児童を登場させるために、誰を取り上げたかチェックしておく。
② 事実だけでなく担任の言葉を添える。
③ 励ましや感動も入れて児童たちがクラスメートを温かい目で見られるように学級風土をつくっていく。

といったところです。

メッセージ例

このように、毎日変わるメッセージを書くことによって、望ましい方向に児童を導いていくことができます。とても効果的な「しかけ」だと思います。

ある日、こんなメッセージがありました。

自己紹介中、みんなが話している人の方に身体を向けて、一生懸命聞いていました。安心して話すことができます。

Wさんが道徳の教科書をわたした時に、「ありがとうございます」と、しっかりとお礼を言っていました。感謝の気持ちを伝えられてすてきな人!

Sさんが、「宿題をまだ回収していません」と教えてくれました! 助かった!

東児童昇降口掃除のHさん、Sさん、Mさん、Yさんが、それぞれ役割を理解して一生懸命掃除していました。一人一人の外ズックのケースのごみまで書き出していました!! そして、動きがすばやい!! 全校生に見てほしいくらい、すばらしい働きぶりでした。

Nさんが、全員が自学ノートを提出したか朝のうちにチェックしていました。係の仕事をわすれずにしています。

5時間目、読書や計算ドリルなど、自分で黙々と学習する人が多く、おどろきました。
自分のやるべきことは何か、しっかり考えて行動できています。時間を大切に使う人たちですね。

どれもあたたかいメッセージばかりです。

育ってほしい方向にむけ、いいナイスを探してメッセージ化する

これが極意ではないかと思います。

以前、わたしは『今日のことわざ』として、わが国の文化としての「ことわざ」を教室に掲示し、朝の会などで解説をしながらそのことわざを実際に使えるようにしていました。また、学習面からでも毎日メッセージを変え、新しい知識などを提示することも面白いですし、自学力向上のためにナイスなノートを掲示し称賛のコメントをするのも一つの手法です。さまざまなことが考えられそうです。そして何よりも一日も欠かさず継続することが大切です。

最近は、さまざまなボードが出現、販売されています。これらを活用して学級の実態に合わせ担任の思いを込めたメッセージ実践と効果が期待できそうです。

登校したら、ボード(シート)のメッセージを読み、今日の自分をデザインする。こんな朝のスタートだったら、素敵な一日となりそうです。


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山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。

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