小1算数「どちらが ながい」指導アイデア
執筆/東京都公立小学校主任教諭・越後真紀
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、東京都公立小学校校長・長谷豊
目次
本時のねらいと評価規準(本時4/5時)
ねらい
身の回りにあるものの長さは、任意単位のいくつ分として捉えることで、数として表したり、比較したりできることを理解する。
評価規準
ものの長さを任意単位のいくつ分と数で表すと、どちらがどれだけ長いかを数で表すことができるというよさに気付く。
もんだい
つくえの たてと よこは、どちらが ながいでしょうか。
今日は机の縦と横の長さ比べです。あれっ! 大変! 紙テープがあとこれだけしかありません。困ったなあ。
ひもとか、リボンとか、長いものがあれば同じように測れると思います。
なるほど。「長いもの」だったら測れるのですね。もし、短いものしかなかったらできませんか。
短いものでも測れます。
えっ、短くても測れるの。たとえば消しゴムとかでも大丈夫ですか。
できます。
学習のねらい
みじかいものを つかって、 ながさの くらべかたを かんがえよう。
どうやって調べればいいですか。
鉛筆でも消しゴムでも、それを並べて何個分で比べられると思います。
手で何個分でも比べられると思います。大人の人が、長さを測るときに手で測っていました。
なるほど。手でどうやって何個分と測るのですか。
(子供に実演してもらう。)
こうやって1、2、3…で表すのですね。例えば、3個分と5個分だったらどちらが長いですか。
5個分です。どれくらい長いかも分かります。
どうして分かるんですか。
5個分と3個分だから、5-3=2で、2個分長いです。
すごい、どちらが長いかだけでなくて、どのくらい長いかも分かるのですね。では、みんなの目の前にある机の縦と横について調べてみましょう。
見通し
A 身の回りのものをかき集め、縦横に並べて調べる。
B 手で、親指と中指の幅いくつ分で調べる。(あた)
C 鉛筆、消しゴムなど同じものがいくつ分かで調べる。
自力解決の様子

<Aの考え>
いろいろな長さの鉛筆を並べて、鉛筆何本分として調べようとしている。
<Bの考え>
「あた」がいくつ分かで調べようとしている。
<Cの考え>
同じものいくつ分で調べようとしている。
学び合いの計画
Aの考えは、もとの長さが一定でないので測り方としては間違いですが、鉛筆何本分か目に見えるように並べようとした思いは(BやCは測った軌跡が見えない)認め、Cの考えと比較して誤りに気付かせます。
また、Bの考えは、なぜそれを思い付いたのかを問います。Bについては、身近な大人が測っているのを見たことがある子供もいると思われます。それをやってみようと思ったことをほめ、さらに、身体の部分の長さを使った昔の単位「あた」「つか」「ひろ」「寸」「尺」などを紹介し、実際に皆で使って測定してみましょう。
また、身体の部分の長さを使った測り方が子供から出なかった場合は、教師のほうから紹介します。さらに、BやCの考えは数値化することによって長さが分かりやすく、どれくらい違うか表すこともできるという数値化のよさに気付かせましょう。
ワークシート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
A いろいろな長さの鉛筆を並べて
たて:4こぶん
よこ:5こぶんと すこし
B 手を使って
たて:5こぶん
よこ:7こぶん
C 同じ鉛筆いくつ分かで
たて:4こぶんと すこし
よこ:6こぶん
3つの考えはどれも正しいでしょうか。
Aは鉛筆何本分で比べているのはいいけれど、長さがバラバラなので同じもので比べたほうがよいと思います。
BとCは、同じものが何個分か調べています。
Bのやり方だと、手2個分、横のほうが長いです。
Cのやり方だと、横のほうが1個分と少し長いです。
BとCが使っているものは違うけれど、同じ考えだと思います。
学習のねらいに正対した学習のまとめ
小さいものを、どちらが長いかを調べるにはどうすればよいですか。
同じものいくつ分で表すと、長さ比べができます。
いくつ分かで比べると、長さを数で比べられて、どれだけ長いかも分かります。
そうですね。長さを「~の長さ○こ分」で表すと、長さが数になってどれだけ長いか分かりやすく、比べることもできるのですね。
みんなが同じもので測れば、もっと分かりやすいと思います。(*次時の課題とする。)
評価問題
1.のーとの たてと よこの ながさを けしごむで はかっています。ただしい はかりかたを している ものに 〇を かきましょう。

2.どちらが どれだけ ながいでしょうか。

感想
- 小さいものでも、同じものいくつ分で、長さ比べができることが分かりました。
- いくつ分で比べると、どちらがどれだけ違うか分かります。
- みんなが同じものを使えば、分かりやすいと思います。次の時間にやってみたいです。
イラスト/松島りつこ、横井智美
『教育技術 小一小二』2021年6/7月号より