小3小4 社会科における1人1台端末の効果的な活用法

特集
【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の教科指導ヒントとアイデア
タイトル 調査官がアドバイス! 社会科における1人1台端末の効果的な活用

執筆/文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官、国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官・小倉勝登

GIGAスクール構想によって、1人1台端末を活用した学びがいっそう促進され、教科・領域に適合した学習活動の展開が期待されている。しかし、その一方で、「具体的な活用方法を知りたい」という先生方の声も聞く。社会科教科指導のコーナーを始めるにあたって、社会科における1人1台端末の活用法を紹介したい。

効率的な活用のポイント

第3学年⑴「わたしたちの市の様子」と第4学年⑵「廃棄物を処理する事業」を例に、小学校社会科における1人1台端末の効果的な活用について説明する。ここで、共通して大切にしたいことは、次の通りである。

○単元で育てる資質・能力が明確なこと
これはとても大切なことである。単元で育てる資質・能力は、単元の目標の実現であり、そのために1人1台端末を効果的に活用するのである。1人1台端末を活用することが目的ではないことに留意する。
○単元で1人1台端末を活用する場合のメリットが明確なこと
目標の実現ためには、1人1台端末を活用すること、または、他の資料やノート等と併用することが効果的であることを明確にしておくことが大切である。
○単元で効果的に1人1台端末を活用する場面が明確なこと
1人1台端末の効果的な活用場面が絞られていることが大切である。つまり、どの場面で活用することが効果的か、学習活動とともに具体的にイメージしておくことが必要となる。

第3学年⑴「わたしたちの市の様子」

育成を目指す資質・能力(単元の目標)

身近な地域や市区町村の様子について、都道府県内における市の位置、市の地形や土地利用、交通の広がり、市役所など主な公共施設の場所と働き、古くから残る建造物の分布などに着目して、観察・調査したり地図などの資料で調べたりして白地図などにまとめ、身近な地域や市の様子を捉え、場所による違いを考え、表現することを通して、身近な地域や自分たちの市の様子を大まかに理解できるようにするとともに、主体的に学習問題を追究・解決しようとする態度を養う。

ICT活用のポイント

子供一人一人が問題意識をもち、問題解決の見通しをもった後、必要な情報を収集したり、収集した情報を読み取ったり、読み取った情報を分類・整理して話し合ったりする際にICT端末を活用することで、学習活動の幅を広げることができる。

効果的な活用場面

―見学活動で1人1台端末を活用し、情報を収集する場面―
各自の問いに合わせて見学を進め、子供たちは写真機能を使って記録する、録画機能を使って、映像を記録する、映像の中に自分たちの解説を入れる、レポーターをつけてレポート形式の動画を撮る、など、さまざまな活用を保証している。また、ノートへの記録に追われることなく、どんどん写真を撮ったりインタビューをしたりするなど、情報の収集に専念することができる。

実際には、ある子供は、「市には、古い神社やお寺があるのではないか」という問いを基に調べ、地域にあるお寺の写真を1人1台端末で撮影し、情報を収集していた(画像1)。

画像1:写真機能や動画機能で情報を記録する
画像1:写真機能や動画機能で情報を記録する

ある子供は、市の土地利用に着目して、地域の方にインタビューして市の様子について1人1台端末で動画撮影し、情報を収集していた。ここでは、動画撮影しているため、インタビューに専念できるので地域の方と考えてきた質問以外にも聞き取りをしていた(画像2)。

画像2:写真機能や動画機能で情報を記録する
画像2:写真機能や動画機能で情報を記録する

このように、子供たちは、1人1台端末を活用して、各自の問いに合わせて見学を進め、写真、動画撮影機能を使って、映像を記録したり、映像の中に自分たちの解説を入れたり、レポーターをつけてレポート形式の動画を撮ったりするなど、さまざまな活動を展開できた。

ここでは、ノートへの記録に追われることなく、どんどん写真を撮ったりインタビューをしたりするなど、情報の収集に専念することができる。

このように、1人1台端末をこの場面で活用することにより、
○早く効果的に情報収集できる
○見えにくい情報を見えるようにできる
など学習活動の幅が広がることになった。

―収集した情報を基に、情報端末を活用して話し合う場面―
見学・調査後、撮影してきた映像をグループごとに見ながら、問いに対する答えや新たな発見をまとめていく。繰り返し再生できるので、大切な内容を確認することができる。情報を繰り返し映像で再生し確認したり話し合ったりできるので、情報が吟味され調べたことを基に深く考えることにつながる。また、自分たちで収集した画像や映像を基に、わかったことをまとめたりわかりやすく伝えたりすることもできる。

実際には、ある子供たちは、集めた情報を繰り返し見たり、拡大して見たり、友達と共有したりして、地図で場所を確かめながら、市の様子について話し合ったりしていた(画像3)。

このように、子供たちは、1人1台端末を活用して、インタビューの結果を繰り返し再生して大切な内容を確認したり、撮影した映像や動画を繰り返し確認したり、画像や映像を繰り返し再生して話し合い、情報を吟味したり、調べたことを基に各自の問いについて考えたり、自分たちで収集した画像や映像を基に、自分たちが調べてわかったことをまとめたりしていた。

まとめの段階においても、繰り返し再生できるので、大切な内容を確認することができる。情報を繰り返し映像で再生し確認したり話し合ったりできるので、情報が吟味され調べたことを基に深く考えることにつながる。また、自分たちで収集した画像や映像を基に、わかったことをまとめたりわかりやすく伝えたりすることもできる。

このように、1人1台端末をこの場面で活用することにより、
○繰り返し再生できる
○拡大して細部まで映像で確認できる。
○ファイル共有機能による情報共有で、考えを広めたり深めたりできる
など学習活動の幅が広がることになった。

写真3:収集した情報を基に話し合う
画像3:収集した情報を基に話し合う

第4学年⑵「廃棄物を処理する事業」

育成を目指す資質・能力(単元の目標)

廃棄物を処理する事業について、処理の仕組みや再利用、県内外の人々の協力などに着目して、見学・調査したり地図などの資料で調べたりしてまとめ、廃棄物の処理のための事業の様子を捉え、その事業の果たす役割を考え、表現することを通して、廃棄物を処理する事業は、衛生的な処理や資源の有効利用ができるよう進められていることや、生活環境の維持と向上に役立っていることを理解できるようにするとともに、主体的に学習問題を追究・解決し、学習したことを基に地域社会の一員として自分たちが協力できることを考えようとする態度を養う。

ICT活用のポイント

子供が問いに対して、自分の考えをまとめ、友達の考えと関連付けて整理する際にICT端末を活用することで、「自分の考えをまとめる→班で共有する→互いの考えを関連付けたり、整理したりして班の考えをまとめる」学習活動を効率よく行うことができる。

効果的な活用場面

―「互いの考えを共有し、関連付けたり整理したりする」場面― 
①問いに対する自分の考えをグループの画面に書き込む。班ごとの画面に各自で書き込んでいくため、書き込んだ考えはすぐに反映され、一人一人の考えが班ですぐに共有される。その結果、共有された友達の考えを参考にしてさらに自分の考えを書き込んだり、班の画面を見ながら、共通点・相違点を見つけたりしていくことができる(画像4)。

写真4:考えをまとめ、共有する
画像4:考えをまとめ、共有する

②共有された考えをグループで自由に動かしたり、書き込んだり、グルーピングしたりしながら話し合い、互いの考えを関連付ける。関連付けた考えを整理し、キーワードで整理したり、タイトルをつけて整理したりする。操作が容易であるため、子供は話し合いながら、操作し、試行錯誤することができる(修正、加筆も同様)。また、この班の話し合いシートは学びの記録として保存することができる(画像5)。

写真5:互いの考えを関連付けたり整理したりする(実際の授業より)
画像5:互いの考えを関連付けたり整理したりする(実際の授業より)

③班でまとめたシートは、個々がICT端末で見ることができるため、学級全体ですばやく共有化され、それにより互いの考えを確かめたり、自分の考えと比較したりすることで自分の考えを深めることができる。

ここでは、共同編集可能なシートを活用することで、
○自分の考えを他者に伝えることができる
○すぐに互いの考えを共有することができる
○考えの共通点・相違点を見つけることができる
○関連付け、グルーピングなどが容易である
○操作しながら話し合いや考えの整理ができる
○すぐに他班とまとめを共有できる
○学びの記録を残すことができる
など学習活動の幅が広がることになった。

まとめ

繰り返しになるが、大切なことは、単元の目標の実現、または、本時の目標の実現に向けて、ICT端末を効果的に活用することである。社会科の学習において、地図帳を活用した方が効果的であれば地図帳を、ノートを活用することが効果的であればノートを、1人1台端末を活用することが効果的であれば1人1台端末を活用することが望ましい。また、子供たち一人一人の実態に合わせて、子供によって1人1台端末を活用するかどうか、選択できるようにすることも、これからの活用の大切な視点である。

※「初等教育資料」2021年12月号参照
※文部科学省HP「StuDX Style 各教科等における1人1台端末の活用」参照

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