小1国語「こんなことがあったよ」指導アイデア

教材名:「こんなことがあったよ」(光村図書 一年上)

指導事項:〔知識及び技能〕(1)ウ 〔思考力、判断力、表現力等〕B(1)ウ
言語活動:イ

執筆/東京学芸大学附属小金井小学校教諭・大村幸子
編集委員/文部科学省教科調査官・大塚健太郎、東京学芸大学附属小金井小学校教諭・成家雅史

単元で付けたい資質・能力

①身に付けたい資質・能力

本単元では、楽しかった自分の体験を思い出し、「したこと」や「思ったこと」を書く力を身に付けさせます。相手に読んでもらうことを意識させ、「したこと」「思ったこと」を書く力とともに、長音や拗音などの表記や助詞を正しく使う力も身に付けさせるようにしましょう。

② 言語活動とその特徴

平仮名の読み書きを学び、文を読むことや書くことに興味をもち始める時期です。自分の考えや思いを文にしたいという一年生の思いに寄り添いながら学習を進めるようにしましょう。この時期の文章量の目安は三文程度ですが、子供の実態に応じて柔軟に対応することが大切です。

「したこと」と「思ったこと」を基本としながら、詳しく書ける子供には「話したこと」や「聞いたこと」なども書き足すように促すとよいでしょう。また、作品を友達に読んでもらうことで、書いて伝えることの喜びを味わわせることもできます。身近な出来事を文や文章にする喜びを味わう学習を通して、意欲的に書く子供の育成をめざしましょう。

また、発展的な活動として、夏休みの絵日記の課題につなげたり、「思い出ファイル」としてまとめたりするなど、継続して取り組ませることもできるでしょう。

身近な出来事を文や文章にする喜びを味わう学習を通して、意欲的に書く子供の育成をめざしましょう。

単元の展開(6時間扱い)

主な学習活動

第一次(1・2時)

①楽しかったことを思い出して発表し合い、「したことを書いて知らせる」という学習の見通しをもつ。

②教科書や教師の作品例を読み、どんなことを書けばよいか、誰に読んでもらいたいかを考える。

第二次(3~5時)

③学校や家庭での楽しかったことのなかから、知らせたい話題を決める。
→アイデア2 対話的な学び

④「したこと」や「思ったこと」を思い出し、書く事柄を決める。

⑤自分が体験したことを知らせる文章を書く。

第三次(6時)

⑥書いた作品を友達と読み合い、感想を伝え合う。
→アイデア1 主体的な学び
→アイデア3 深い学び

アイデア1 言語活動を明確にし、学びを意識させる

主体的な学び

この時期の書くことの学習の意義の一つは、文をつくる喜びを感じることです。この喜びを原動力に意欲的に書く力を高めていけるようにしたいものです。そのためには、本単元の言語活動を明確にし、自分の学びを意識させることが大切です。例えば、次のように設定します。

■身近な人に、学校や家で、楽しかったことを知ってもらうために、絵日記を書こう。
■身近な人に伝わる文章を書きたいな。

ここでポイントとなるのが、どのように書くと読み手に伝わるかということを子供自身に気付かせることです。はじめから文の「型」を教えるのではなく、教科書や教師の作品例から気付かせるようにしましょう。

▼絵日記

絵日記

子供の気付きは、いつでも確認できるように掲示しておき、学びを見通したりふり返ったりする際に活用するとよいでしょう。こうした学びの蓄積が、書くことへの自信につながります。

はじめに「いつ」「何をしたか」を書くと、読む人に分かりやすいね

最後に、気持ちの文を入れると、よく分かるね

アイデア2 思考ツールを活用した対話を取り入れる

対話的な学び

一年生の子供は、何について書くか迷ったり、詳しく思い出せなかったりすることがあります。そこで、話題設定や取材の過程において、ペアでの話合い活動を取り入れます。友達と質問し合うことによって、書くことが明確になったり詳しく思い出したりすることができます。

その際には、次のような思考ツールを活用すると、対話による考えの広がりを見える化することができます。真ん中に書こうと思っていることの中心を書かせます。その周りに、そのときの詳しい出来事や様子、気持ちを、線でつないで書かせるようにします。

イラスト/川野郁代 横井智美

『教育技術 小一小二』2021年6/7月号より

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