6年生の担任になったら、こんなことに気をつけて!~マスターヨーダの喫茶室~

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山田隆弘
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小学校の最高学年、6年生。その担任を拝命し、責任感や課題感をひときわ強く感じられている先生も多いと思います。そんなあなたに大ベテランの先生から、ひとこと、ふたこと。「楽しく教員を続けていく」 をモットーに長年教師生活を続け、後輩先生たちの信望もあつい山田隆弘(ようだたかひろ)先生、人呼んで「マスターヨーダ」が心温まるアドバイスをくれるコーナーです。
みなさんも、この居心地の良いカフェでひととき、マスターの話に耳を傾けてみてくださいね。

6年生担任になったあなたへ
1年間の見通し&注意点はこれ!

校長先生より6年生担任を命じられるということはどういうことでしょうか。

校長先生が単にあなたに6年生の学級を任せたということだけではありません。

ご自分が示している学級経営の具体的な姿、最終的な児童像を見せてほしいという強い願いが込められています。

どの学年の担任も重要ですが、特に小学校の最終学年を受け持つ6年生担任は、さまざまなダイナミックな指導ができます。

多くの時間を要しますが、充実感はどの学年の担任よりも大きいです。

まさにやりがいのある担任といえるでしょう。

6年生担任としては、自分の学校で思い描く最終的な姿まで、児童を高めていかなければなりません。

日々、一週間ごと、月ごと、学期ごとの指導の積み重ねは大切ですが、6年生では特に1年間を見通した指導が必要です。

その戦略を考えてみたいです。

小学生の女の子イメージ
写真AC

【学校行事編】

1  行事の把握と児童の活躍場所を構想する

学校の教育年間計画が示されますが、6年生が活躍する場にマーカーでラインを引いてみましょう。

実に多いです。

学年独自の行事や活動を除いてはほとんどですね。

例えば、入学式での6年生の代表あいさつから始まり、1年生の子どもたちへのサポート活動、学校行事でのあいさつ、運動会での幹部あいさつ、学芸的行事での司会進行など、たくさんの活躍の場があります。

活躍の場をピックアップして、誰がどんな場面でどんな役割で出られるかを構想してみるといいです。

特に単学級ではこの作業は必要です。

2学級以上の学級がある場合は、活躍する子はまだ決まっていないでしょうが、だいたいでいいのです。

行事ごとに決めてしまうと、どうしても一部の子に偏りがちになります。

1年間を見通した『活躍の場プラン』をつくり、たくさんの児童に成長のチャンスを与えていきたいです。

2 ゴールイメージをもつ 〜卒業証書授与式当日に何をするか〜

  何かの仕事を成し遂げる時、例えば校内研究を進めていく時などは、よく「ゴールイメージをもて」と言われます。

学校として3月に研究のまとめなどの冊子を発刊することがありますが、研究リーダーはそれにどんな内容を載せるかをイメージします。

そうすることで逆算的発想ができるのです。

6年生の学年経営でも同じです。

卒業証書授与式で、どんなことをするかを年度の最初にイメージしておくのです。

校歌や卒業の歌をどんなふうに、どんなレベルまで歌えるようにするか。

保護者の皆さんへの感謝の気持ちをどのように伝えさせるか。

旅立ちを心の底から祝える心情を育てるにはどうするか。

そして最後に担任の授業として、児童にどんなメッセージを贈るか。

こういったことをイメージすれば自然に4月にはこれをする、5月にはこのことをがんばるなどの指導イメージがどんどん出てきます。

3 卒業時「最後に残す言葉」を児童に考えさせる

3月の卒業時には、児童は卒業文集やPTA広報誌などにさまざまな言葉を書くことになります。

その時になって何を書こうかと悩む児童が多いです。

これはもったいない話です。

一年間何も意識していないで過ごし、ようやく卒業時になってことばをひねり出すというのは…。

4月に「○年生のめあて」などとして、1年間がんばることを書いてもらうことがありますが、そうではなく、「後輩に贈ることば」として、1年間がんばった自分を想定して宣言させるのです。

夢や言葉は早くから口に出しておくと、それを実行しようとする気持ちが働きます。

例えば、

「ぼくは○○をがんばりました。みなさんも○○してみてはどうでしょう。」

「わたしは□□に取り組みました。後輩のみなさん、ぜひ□□を引き継いでください。」

というようにです。

ほとんどの児童が、「小学校の一番の思い出は修学旅行です」と言いますが、これは当たり前です。

わたしが6年生担任になったときは、お願いだから6年生の最後に修学旅行が思い出だったと言わないでほしいと最初に言ってしまいます。

修学旅行思い出論禁止令です。

ただし、どうしても言いたいという児童が出てきます。

その際は、自分が変わった旅の理由とか、ちょっと深く掘り下げて話すようにさせます。

要するに、6年生の1年間は、単純な思い出づくりではなく、最後に残すことばを意識させることで1年間に張りが出るようにさせたいということです。

4 校長先生と連携する

学校行事では校長先生のお話はセットでついてくるものです。

学校行事に取り組むリーダーとしての6年生には、校長先生の考えをいつも取り込んでほしいものです。

先生方が企画したものを自分たちがやっていくということではなく、主体的に取り組むために、行事準備に入る前に、校長先生のお話を十分聞く機会を設けたいです。

例えば修学旅行です。

一般的には校長先生が、旅行出発当日にお話をされるわけですが、準備をはじめる前に、校長先生に修学旅行にどんな思いがあるか、旅行を通してどんなふうに育ってほしいか、または旅のエピソードなどを話していただきます。

そうすることで、児童は、旅行を単なる思い出づくりではなく、目的や目標をとらえ、学びのために教室の外に旅するのだという感覚が出てきます。

運動会や学芸会などのほかの行事でも同じです。

校長先生の思いと学年(担任)の思いと児童の思いが一緒になれば、すばらしい行事にレベルアップしていきます。

5 地域コミュニティへつなぐ

 6年生と言えば、「○○小学校の児童」の顔です。

学校の教育課程外の地域コミュニティの主催するイベントに参加すれば、6年生が必ず注目されます。

1年間にどんなイベントがあるのか、担任として把握しておく必要があります。

イベントに参加するとどんな体験ができてどんな力がつくか検討してみます。

見通しをもつことができたら、児童に紹介します。

そして、勤務時間の問題はありますが、できるだけ児童が参加するイベントには顔を出すのがいいでしょう。

学校と地域コミュニティが児童を通してつながり、より教育効果が高められればなおすばらしいです。

地域コミュニティの方々、地域住民の方々とは1年間を通していい関係を築いていきたいものです。

まずは、地域の公民館やコミュニティセンター、役所、地区委員さんに出向き、仲良くなることが最初の仕事です。

この辺りは管理職の先生の分野ですので、ぜひ相乗りさせてもらってはいかがでしょうか。

学校行事にはない社会教育のダイナミックな活動も体験できるはずです。

【メンタル編】

6 組織で動き個人をケアする

6年生では、学年だけの行事や活動は別として、児童会や実行委員会などの大きな組織で活動します。

担任はどうしても組織全体の動きはどうか、そしてその組織が主催する事業がどの程度の成果があったかということに目がいくことが多いです。

しかし、「行事で人を育てる」と言われるとおり、その成果がすべてではなく、行事や活動に携わった児童が、どのように悩み、どのように人間関係を築き、どのように一人ひとりが力をつけていったかが一番の着目点です。

ですから、常に一人ひとりの児童のその時々の実態や心を把握しておかなければならないです。

悩んでいること、課題に思っていること、不安な気持ち、うれしい気持ち、充実感などなど…。

担任はそれらを把握することは、一人ひとりの振り返りや日記などの文章、対話でしかなされません。

6年生担任は行事にのまれないようにし、組織で動きつつ個人をケアする時間もきちんととりたいです。

7 中学校への不安を取り除く

6年生の後半ともなると、物を壊すとか友だち関係のトラブルが起きるとか、問題になるような事案が多く出てきます。

児童は、これから先のことが不安なのです。

友だちがいなくなる、いままでとは違う、安心していられる場所がなくなるなどのどうしようもない不安です。

それぞれの児童が多少なりとも抱く感情です。

進学先が広域にわたる場合は別ですが、一般的には地元の中学校と連携しながら、中学校の先生においでいただき、授業をしてもらうとか、中学校に出向き、行事見学や体験入学の機会を多くもつことも必要です。

場合によっては、中学校に進学した先輩たちから話を聞く会などをつくることもいいでしょう。

とにかく、不安より楽しさ、「どうしよう」から「どうにかなる」という気持ちをもたせたいです。

学校レベルで中学校と連携して1年間を通して計画的に指導していきたいです。

8 多くの学習スタイルをもつ

現在の学校は感染症対策が大きな課題になっていますので、一斉学習やオンライン学習が主となっています。

感染症対策が一段落したら、本来の学習形態を再確認していく必要があります。

今後は、ペアワーク、グループでの学習、プレゼンテーションの方法、個別学習、個性化学習、自由進度学習など以前から取り入れられてきた方法が再構築される時期となります。

さらには、中学校へ向けての確かな定着すべき学力なども考慮し、6年生の後半にはほかの先生方の協力を得ながら習熟度別学習なども取り入れる必要があるかもしれません。

担任として、どの学習をどのような形態で進めていくか、1年間の見通しをもって計画していく必要があります。

学習スタイルをいくつもっているかが重要です。

それが学びを深めていく担任と児童の共有財産となります。

9 『掲示力』をつけさせる

学級経営の大きな要素に「掲示」があります。

中学校では、教科色が強いので、必要最低限の掲示しかしないことが多いです。

でも、小学校では、毎日教室で過ごすことが多いので、教室内の「掲示」には児童はかなりの影響を受けることになります。

掲示には、

①不動ポジション掲示(固定掲示・学級の目標やスローガンなど)
②動的な掲示(一定期間・作品交流など)
③積み上げ掲示(1枚目から順に)

などがあるでしょう

どの学年でも重視していますが、特に6年生では③の積み上げ掲示が効果的です。

特別な形態の学校以外は、「卒業」というゴールがあるので、時間はカウントダウンで少なくなっていきますが、積み上げ掲示は増えていくばかりです。

成長を実感していきます。

これは、教室のメンバーの「ことば」、「学習の履歴」、「行事で得たことのまとめ」などです。

さらに、できるだけその掲示を児童に任せていきます。

任せられたスペースをもつと、学校生活に主体的に取り組むようになります。

10  とにかく『語り場』が必要

児童の活躍の場は、さまざまあります。

音楽演奏発表、図工書写作品発表、作文発表、集会での発表などです。

得意な分野を得意な形で発表させていいですし、苦手な分野を無理にさせる必要はないでしょう。

ただ、せっかく6年生という最高学年になったのですから、「代表あいさつ」という音声によるスピーチは経験させたいものです。

学校行事やイベントでのあいさつ、児童会関連会議の進行、クラブ活動リーダーとしての下級生へのメッセージなど音声で活躍していく場がたくさんあります。

そのためには、学年集会などで担任の語りを聞くだけでなく、語り慣れが必要です。

6年生同士が語り合える場をいくつも設定したいです。

何か課題や問題を解決するための話合いではなく、自分の気持ちや願いを発する語りです。

「○○で感じたこと」

「□□をして思ったこと」

シンプルなポイントでいいのです。

そうすると、多くの人の前で話すことにも臆することなく挑戦することができてきます。

以上、6年生担任を拝命したとき、10の戦略を考えてみました。
全部でなくても、ぜひできるところから始めてみてください。
卒業で最高の別れをするために…。

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山田隆弘(ようだたかひろ)

山田隆弘(ようだたかひろ)
1960年生まれ。姓は、珍しい読み方で「ようだ」と読みます。この呼び名は人名辞典などにもきちんと載っています。名前だけで目立ってしまいます。
公立小学校で37年間教職につき、管理職なども務め退職した後、再任用教職員として、教科指導、教育相談、初任者指導などにあたっています。
現職教員時代は、民間教育サークルでたくさんの人と出会い、さまざまな分野を学びました。
また、現職研修で大学院で教育経営学を学び、学級経営論や校内研究論などをまとめたり、教育月刊誌などで授業実践を発表したりしてきました。
『楽しく教員を続けていく』ということをライフワークにしています。
ここ数年ボランティアで、教員採用試験や管理職選考試験に挑む人たちを支援しています。興味のあるものが多岐にわたり、さまざまな資格にも挑戦しているところです。

イラスト/したらみ

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