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「医療的ケア児」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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学校生活においても日常的に医療的ケアを必要とする子どもが増えています。人工呼吸器やたんの吸引などを必要とする医療的ケア児に、教職員はどのように対応したらいいでしょうか。

執筆/筑波大学准教授・米田宏樹

教育用語 医療的ケア児

学校における医療的ケア児の支援

「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が2021年9月に施行されました。

「医療的ケア児」とは、日常生活および社会生活を営むために恒常的に医療的ケア(人工呼吸器による呼吸管理、喀痰吸引その他の医療行為)を受けることが必要である児童(18歳未満の者と18歳以上の高校生等後期中等教育を受けている生徒を含む)とされています。

そして第3条2に、医療的ケア児およびその家族に対する支援は、「医療的ケア児が医療的ケア児でない児童と共に教育を受けられるよう最大限に配慮しつつ適切に教育に係る支援が行われる等、個々の医療的ケア児の年齢、必要とする医療的ケアの種類及び生活の実態に応じて、かつ、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に、切れ目なく行われなければならない」と、その理念が説明されています。

学校における医療的ケア児の支援に対しても、障害のある幼児児童生徒と障害のない幼児児童生徒が地域の学校でともに学ぶことを可能にするべきであるという「障害者の権利に関する条約」に基づいた「インクルーシブ教育」の理念がしっかり生きているのです。

すなわち、学校の設置者には設置する学校に在籍する医療的ケア児に対し適切な支援を行う責務があるのです。

特別支援学校における医療的ケア

学校における医療的ケアの提供をどうするかは、古くて新しい問題です。医療的ケア児の保護者は、子どもが学校に通う場合には、必要な医療的ケアを実施するために子どもと一緒に登校し、終日子どもにつきそわざるを得ませんでした。保護者がつきそうことができなければ、子どもの通学による修学が保障されないわけです。

このような状況を打破するために、これまで学校看護師の導入や教師が医療的ケアを実施できるようにする仕組みなどについて議論され、いろいろ試行されてきました。

2012年には社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正により、学校教育の現場においては、一定の研修を受けて都道府県知事に認定された「認定特定行為業務従事者」である教員等が、登録特定行為事業者となっている学校(特別支援学校を想定)で、医療的ケアのうち次の5つの特定行為に限り実施できるようになりました。「口腔内の喀痰吸引」「鼻腔内の喀痰吸引」「気管カニューレ内の喀痰吸引」「胃ろう又は腸ろうによる経管栄養」「経鼻経管栄養」の5つです。

これにより、特別支援学校での医療的ケア児の受け入れが拡大することが期待されます。

小・中学校の医療的ケアにおける教職員・看護師等の連携

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