1年間を振り返る-小5小6学級活動(1)事後の活動
卒業や進級を目前に控えた3月、ここまで積み重ねてきた力を思う存分発揮できるような活動を仕組んでいきたいものです。観点を明確にして振り返ることによって、活動は連続していきます。6年生は中学生へ、5年生は最上級生へ、しっかりと学びをつないでいきましょう。
執筆/福岡県公立小学校教諭・荒牧真代
目次
振り返りが形骸化しないために
学級活動において、振り返りの視点の1つになるのが、「学級目標」です。年度初めに話し合って決めた目標に向かって、自分の成長、集団の成長を実感できる振り返りを大切にしたいものです。
さらに、特別活動において育成すべき資質・能力の視点である、「人間関係形成」「社会参画」「自己実現」の3つの視点を大切にして、学びを止めないために、事後の活動と振り返りの充実をめざしましょう。
「卒業までの見通し」を明確に共有
自分の役割を明確に意識できる実行委員の活 動は、縦のつながりと横のつながりがとても重 要です。様々な活動を左のような視点で分類して、活動を整理して取り組みましょう。学年研修会での確認や管理職の先生方への報告、連絡、相談は欠かせません。
また、それぞれの実行委員の活動を視覚化し、常に横のつながりを意識できるような工夫も大切です。
実行委員の活動を見える化
それぞれの実行委員の役割、今すること、これからすることを掲示しておくと、自分のすることや他の実行委員がしていることが一目瞭然になります。
見える化により、プランを共有することができます。今、置かれている状況から自分にできることを考え、自ら動くことで、実行委員同士がよりよいものをつくっていくことができます。子供が「話し合う時間が必要です!」「準備をさせてください!」と言い、主体的な姿が見えてきたら、うれしいものです。
事後の活動 ~成功のポイント紹介~
学年での打ち合わせは重要です。教師側がしっかりと条件整理をしましょう。「子供に任せるところは、ここから」と、ぬかりなく準備し、教師も1人で行わずにチームで進めていきましょう。
①卒業文集実行委員
学年で共通する部分、学級独自のオリジナリティを生かす部分をしっかりと確認します。子供たちの一生の思い出となるものですから、大切に取り組んでいきましょう。
②下級生との交流実行委員
「いつできるのか?」「誰と交流することができるのか?」。子供たちの思いを引き出して、議題化していきましょう。
その際、交流したい学年の先生方への依頼や、丁寧な打ち合わせは欠かせません。場合によっては、学級会へ参加していただいたり、メッセージをいただいたりすることで、意思疎通が図れるようにしましょう。
③タイムカプセル実行委員
「入れ物を何にするのか?」「保管は?」「いつ開封する?」「開封時の連絡方法は?」などの検討事項を、教師が整理しておくと、カプセルの中に入れるものも、学級会において決定することができます。
振り返りから次の課題
振り返りの視点と具体例
そして、新たな活動へ
振り返りは深い学びにつながる必要不可欠なものです。視点を明確にして、学期や年間の活動を振り返りましょう。
①学級目標に照らした振り返り
学級目標に沿って、なりたい自分と学級の具体的なイメージを持って活動すれば、振り返りも充実するはずです。
②個人の目標に対する振り返り
学級目標の中でも、足りない部分、もっと伸ばしたい部分を自己分析して、個人の目標を立てて活動することが大切です。
③掲示物等を生かした集団全体の振り返り
事後の活動、振り返りを充実させることによって、活動は連続し発展していきます。この学びを、6年生は中学生として、5年生は最上級生として、つなげていけるようにすることが大切です。
『教育技術 小五小六』2021年3月号より