本を通して「お金」の勉強の大切さを学ぶ-著者・高濱正伸さんインタビュー

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お金が「手元の紙幣と硬貨」から、「数字の羅列」に代わっていき、「子供にお金のことをどう教えたらよいだろうか」と考えている人も増えてきました。そんな今、話題なのは新刊『こどもお金ルール』(カンゼン)。著者は『花まる学習会』高濱正伸さん、監修者は投資家・伊井哲朗さん。教育、金融の専門家がそれぞれの視点から、子供たちにお金の本質、そしてその付き合い方を教えています。学習指導要領でも家庭科の内容として位置づけられた金融教育の第1歩として、小学校の先生にもおすすめの本です。著者の高濱正伸さんにお話を伺いました。

高濱正伸さん

お金の本質を知らずに、大人たちが困っている

――この本は、お金の成立までの歴史、労働とお金の相関性など、社会的なお金の役割のほかに、「金持ちは悪いと思うか」、「友達からお金を貸してと言われたらどうするか」などの個人的なお金の考え方についても問うており、ドキッとしました。

そうですよね。私たちが育った昭和の日本では、「がんばればお金は後からついてくる」とか「お金のことを言うのは、よくないことだ」などと言われていました。お金持ちが悪いことのように取り上げる考え方も根強かった。ですから、なんとなく、お金のことを後回しにしてしまう傾向があり、私自身もそうだったと思います。

それと同時に、お金の本質を知らずに困っている大人がたくさんいることも感じていました。例えば、唸るほどのお金を持っていても不幸だったり、「みんなが買うから」と家を買ってしまいローンの返済に苦しんでいたり……。

今の時代は、自分が何にお金をどう使うかを、真剣に考えることが大切です。社会や経済とつながるお金の使い方は、生き方そのものでもあるからです。

そのためには、「消費・貯蓄・投資・寄付」をよりよいものにしていく視点を持ち、考え、実行する。この知識と経験を深めることは「生きること」と同義だと思っているんです。

お金の勉強は、高学年あたりから

――子供たちには、いつごろからお金について教えればいいのでしょうか。また、学校の先生はどんなことに取り組めばいいとお考えですか?

小学校高学年くらいからだと考えています。それは、お小遣いを管理したり、社会の流れが分かり始める年齢だからです。

学校の先生については、まずご自身がお金について考えてみるといいと思います。例えば冒頭で例に出した、「お金を貸してと言われたらどう答える?」「金持ちって悪いこと?」「10年後、どんな会社が儲かっていると思う?」「もし税金が無かったらどんな世の中だろう?」などなど。

言われてみないと意識しづらい、これらの問題を、この本を通して考える「とっかかり」でもあります。先生自身もお金について考えることで、「自分はどう生きていきたいか」が見えてくると思いますよ。

授業で行うことが、時間的に難しいようでしたら、夏休みの自由研究のテーマの一つとして提案してもいいですね。

私は「メシが食える大人に育てる」「自活できる魅力的な人に育てる」をテーマに、教育現場で活動をしてきました。そのためには、お金について考えることが不可避です。お金の本質を知り、自分の哲学、そして自分の人生を生きていってほしいと願っています。

お金は、「貯めればいい」とか「こっちのほうが高い・安い」とか、「大金持ちになりたい」などではありません。それにお金には欲望も絡んできます。そこにとらわれ過ぎていると、失敗してしまいます。

子供たちにはもっと深く、そして広く、「生きたお金観」を考えて、より豊かな人生を生きてほしいと願っています。

 

『こどもお金ルール』
著・高濱正伸 監修・伊井哲朗(カンゼン)
「小学生のうちからお金との付き合い方を学ぶことに意味がある」というテーマで、「教育の専門家」と「お金の専門家」の2つの視点から子供たちにお金との付き合い方を教え、「お金の哲学(マイルール)」をつくってもらうことを目的とした、画期的な一冊。

高濱正伸(たかはま・まさのぶ)●花まる学習会代表。1959年生まれ、熊本県人吉市出身。東京大学大学院農学系研究科修士課程修了。NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長、算数オリンピック委員会作問委員、日本棋院理事。1993年、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「花まる学習会」を設立。保護者向けの子育て講演会には、これまでにのべ30万人以上が参加している。「情熱大陸」「カンブリア宮殿」など、メディアにも多く出演。著書に『算数脳パズルなぞぺ~』シリーズ(草思社)、『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』(草思社)など多数。

取材・文/前川亜紀

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