リーダーシップを育む「縦割り清掃活動」にチャレンジ
日常の清掃活動を縦割りで行うことで、高学年をリーダーとして育てる場にすることができます。縦割り班での清掃にチャレンジしてみませんか。
執筆/福岡県公立小学校教諭・杉本竜也
目次
縦割り清掃のよさ
縦割り清掃には、次のようなよいところがあります。
❶高学年のリーダー性を高めることができる
縦割り清掃をする上で高学年の活躍は必要不可欠です。リーダーシップを発揮して他学年に教えたり、見本を見せたりしながら一緒に清掃活動をしていくことで、学校全体の掃除の質が向上するとともに、高学年のリーダー性を高めることができます。
❷学校で統一された清掃指導を行える
基本的には学校全体で清掃の仕方は統一されているところが多いと思います。しかし、学級担任の指導の仕方によって清掃の仕方の細かい部分に独自性が出てきます。そのため、年度当初に学級編成をした際に清掃の仕方の統一から始めなければなりません。
縦割り掃除で学校の全員が高学年から教えてもらった同じやり方で清掃をしていればその必要はなくなります。
❸新型コロナウイルス感染症対策につながる
学級ごとで清掃活動をしている学校では、学年ごとに掃除区域が割り当てられることが多いです。そのため、発達段階を考えて、高学年は掃除区域が多く割り当てられ、低学年の掃除区域が少なくなることがよくあります。そうなると、低学年は少ない掃除場所を多くの子供で掃除することになり、「3密」の「密集」状態をつくってしまいます。しかし、縦割り掃除にすることで、全学年で掃除区域を均等に分けることができるため、「密集」状態になりにくくなります。
また、低学年だけでは丁寧な清掃が難しいところも、高学年が一緒に掃除をすることで、丁寧な清掃ができます。
❹継続的実践になる
異年齢集団活動は集会や遠足など単発的な活動になることが多いです。
しかし、縦割り掃除は、当番のように毎日の実践になるので、継続的な活動になります。その中で、高学年はリーダーシップ(集団を統率する力)を発揮し、低学年はフォロワーシップ(集団の目的達成に向けてリーダーを補佐する力)を身につけていくことができます。
縦割り清掃に挑戦
次年度の本格実施に向けて高学年だけでやってみましょう
いきなり全校での縦割り清掃が難しい場合は高学年だけでやってみるのも有効です。
5年生と6年生でグループをつくって高学年の清掃区域を掃除します。それぞれの学年で掃除をすることに加えて、次のような目標を持たせましょう。
高学年としてどのように清掃活動に取り組むかという子供たちの意識が変わっていきます。
全校で縦割り掃除を始めてみましょう
掃除場所を割り振る
異年齢集団活動であることを考え、縦割り班の数に合うように掃除場所の割り振りを考えます。場所によっては複数の場所を1つの班で担うこともあります。
実際の掃除の手順
異学年が集まる活動になるので、放送で合図を出して全校一斉に清掃活動を始めることができるようにします。
①掃除開始1分前に放送で、心を落ち着かせる時間をつくる
掃除を始める前に、全校一斉に黙る時間をつくることで黙って掃除をする雰囲気をつくることができます。
②放送の合図で、一斉に掃除を始める
開始の合図の後は黙って掃除を始めます。飛沫を飛ばさないようにすることで感染防止にもつながります。
③上級生が掃除の仕方の見本を見せる
掃除の仕方は上級生が指導をしますが、教えるよりも黙ってよい見本を見せるようにします。教えるのだから声を出してもいいということにすると、どうしても掃除中にざわついてしまいます。
④放送の合図で片付けをする
掃除の終了時間も全校で一斉に放送をすることで、できることを見つけて時間いっぱい掃除をすることにつながります。
⑤整列をして振り返りを行う
最後に振り返りをします。6年生を中心に振り返りを行うほうがいいですが、感染予防のため、担当教師からの話を聞いて振り返りをするようにしましょう。掃除して終わりではなく、よかったところは積極的に褒めて全職員で清掃指導に取り組むことが大切です。
イラスト/高橋正輝
『教育技術 小五小六』2021年1月号より