【相談募集中】特別支援教育の教員に向いている人は?

東京都立矢口特別支援学校主任教諭

川上康則

特別支援教育の教員になるには、どのようなスキルが必要なのでしょうか? 「みん教相談室」に届いた相談への、東京都立矢口特別支援学校主任教諭・川上康則先生からの回答をお届けします。

【相談募集中】特別支援教育の教員に向いている人は?
イラストAC

Q.特別支援教育の教員を目指す際に必要なことを教えてください

特別支援教育に興味を持っている学生です。免許を取る事ができる大学に進学したいと考えているのですが、特別支援教育にはどのようなスキルを身につけることが必要ですか? また、どのような人が障害児教育の教員に向いていますか?(ありさん・20代女性)

A.粘り強く、想定外を楽しみ、変化を恐れない人が向いています

ありさん、特別支援教育に関心をもってくださり、どうもありがとうございます。これからお伝えする3点を大切にしていくとよいと思います。

(1)困難な道のりを受け入れられる人

支援を必要とする子どもは、マニュアルでは変えられません。その子のつまずきの背景を読み解き、時間をかけて、粘り強く向き合う気持ちが必要です。

自分の指導の至らなさを痛感する日々が続くかもしれません。それでも前向きに気持ちを切り替えていくことが大切です。

「徒然草」に、「一道にもまことに長じぬる人は、自ら、明らかにその非を知るゆえに、志常に満たずして、終に、物に伐る事なし」という一節があります。これは「いつまでも満足せず、ものごとを追究することこそが一つの道を究めることにつながる」というメッセージです。

実践に「道」があるとすれば、それはきっと果てしないものに違いありません。ゴールを求めるのではなく、そこに至るプロセスを大切にしてください。時に傷つき、時に涙し、時に打ちのめされる日々の中で、その果てに辿りつくほんのわずかな「喜び」を励みにできる、常にそんな教師を目指してください。

(2)予想外や想定外を楽しめる人

特別支援教育の対象となる子どもには「個別の指導計画」など様々な計画を作成します。計画は、あるに越したことはないのですが、それありきになると「そうでないこと(例えば、枠組みから外れたり、はみ出したりするような場面)」への苛立ちが生まれます。

「なんとかしなければ」の気持ちは、やがて、計画通りに進まないことに対する不安や恐れにつながります。その不安や恐怖を解消したい人ほど、子どもをコントロールしようとしがちです。これでは、子どもを救うはずの特別支援教育が、子どもたちを追い込み、追い詰める道具になってしまいます。

本来、子どもの育ちには想定外や予想外がつきものです。事前に想定した枠組みから外れたときこそ、「そうきたか!」という驚きや「なるほど、そう行動するのか」という発見の場面だと感じて楽しめる人が向いていると思います。

(3)自分の見方や考え方を変えることができる人

ある程度、指導を積み重ねていくと、「この子はこんなタイプだな」とか「以前のあの子と似ているから、この方法が良さそうだ」といった経験値が高まっていきます。しかし、このことがかえって子どもを自分の狭い枠組みに当てはめてしまい、バイアスがかかった状態で子どもを見ることにつながりかねません。

そのため、自分のあり方を絶えず俯瞰する「メタ認知」と、自分の見方そのものを疑ったり、覆したりすることができる「リフレーミング」が不可欠です。

特別支援教育は、その子のもてる力を生かして進められるものです。「今のあなたで、大丈夫」と感じられる「点」のエピソードをつなぎながら「その先もきっと、大丈夫」をつくり出していくことを大切にします。

大人が目指したい「目標」と、子どもの感じる「大丈夫」がズレる瞬間は、本当にたくさん訪れます。そんなときに相手を肯定することを‟良し”とできない人には、やはり向きません。

その子の価値を引き出せる教師になるには、「指導の糸口を見つけにくい子どもほど、教師を成長させてくれる存在」という視点に立てるかどうかがポイントだと思います。


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