『ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法』著者インタビュー
様々な困り感を持ちながらも、知的能力が高いがゆえに理解されず必要な支援が受けられないでいる児童生徒がいます。「ギフテッド」と呼ばれる子どもや知能の高い子どもの個性を知り、伸ばすにはどうしたらよいか、北海道教育大学旭川校教授・片桐正敏さんに著書『ギフテッドの個性を知り、伸ばす方法』について、詳しくお話を伺いました。

目次
得意な領域における発達の目覚ましさが、困り感や生きづらさとなることもある
―本書ができた背景を教えてください。
片桐 ギフテッドという言葉を耳にすることは増えましたが、才能ばかりが注目され、困り感が置き去りです。本書では、「ギフテッドは、配慮や支援が必要な子ども」と定義し、理解や支援法を中心にまとめました。
―困り感があるのですか?
片桐 はい。発達障害の特性を少し多く持っている子や、「過度激動」や「非同期発達」といったギフテッドならではの特性がある子もいます。
―聞き慣れない言葉が…。
片桐 「過度激動」とは、文字通り、過度な感情や行動を示す状態です。多くの人が自然に受け入れる物事に過剰に反応をしてしまい、集団生活の中では問題になることがあります。「非同期発達」は、簡単にいえば発達のアンバランスさです。言語能力、社会的な能力、情緒的な能力など相互に関係がある(同期してい る)ので、一緒に発達していくものですが、ギフテッドは得意な領域の発達が目覚ましいので、凸( は普通の部分)状態になり、それが、時に困り感や生きづらさとなることもあります。また、彼らの持つ「強み」は、諸刃の剣なのです。
―「強み」が、ですか?
片桐 たとえば、「興味への集中力」は強みですが、過集中で他のことが疎かになり「怠けている」と思われることもあります。完璧主義や正義感が強いこともギフテッドの素晴らしい側面ですが、規則破りなどが許せず、柔軟な対応ができないこともあります。端的にいえば、「100か0」で、ほどほどが難しい子たちです。特性を上手に扱えないと、自分を傷つけてしまいがちです。