小4国語「数え方を生みだそう」指導アイデア
教材名:「数え方を生みだそう」(東京書籍 四年下)
指導事項:〔知識・技能〕(2)ア〔思考力、判断力、表現力等〕〕C(1)オ、カ
言語活動:ア
執筆/香川大学教育学部附属高松小学校教諭・藤村まや
編集委員/前・文部科学省初等中等教育局教科調査官・菊池英慈、前・香川県公立小学校校長・川井文代
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
本単元では、文章を読んで理解したことに基づいて、自分の考えをもつことをねらっています。文章の内容を捉え、理解したことと自分の体験や既習の内容とを結び付けて、自分の考えを形成することが重要です。
②言語活動とその特徴
本単元では、文章を読んで考えたことを伝え合うという言語活動を設定します。子供は、これまでの説明的な文章の学習のなかで、文章の内容を把握したり、同じ文章を読んでも一人ひとりの考え方には違いがあることについて学んだりしています。
本単元でも文章を読み、文章のどこに着目すればよいかを考えて読んだり、そこから自分の経験などと結び付け、考えたことを伝え合ったりすることで、さらに自分の考えを広げることができます。
単元の展開(11時間扱い)
主な学習活動
第一次(1・2時)
①数え方クイズを通して、数え方について興味をもち、数え方のしくみを知ろうという目的意識をもつ。
→アイデア1 主体的な学び
②学習課題を設定し、学習計画を立てる。
【学習課題】物の数え方のしくみを見付け、わたしたちのオリジナルの数え方をつくろう。
第二次(3~8時)
③④⑤⑥本文を読み、物の数え方は、どのようなしくみでできているのかを見付ける。
・「物の特ちょう」という言葉に着目して読む。
→アイデア2 対話的な学び
⑦新しい数え方のテーマを決め、クラス全員で考える。
⑧新しい数え方のテーマを自分で決め、考えて書く。
第三次(9~11時)
⑨⑩で考えた物の数え方について、友達と話し合って考えを書く。
→アイデア3 主体的な学び
⑪学習をふり返る。
アイデア1 数え方クイズを通して、物の数え方について興味をもつ
主体的で深い読みにつなげるために、子供が知らない物の数え方をクイズに出し、日常生活で何気なく使っていた物を数えるときの言葉(助数詞)について、興味をもたせます。また、なぜこのような数え方になったのかを考えさせることで、課題意識をもたせることができます。
この導入が、読みの目的をはっきりと意識するためのきっかけになり、教材文の内容把握や数のしくみについて共感したり疑問をもったりすることにつながります。
虹はなんと数えるのかな。一本、二本かな。だって、細長いでしょう。
調べてみたら、一橋、二橋とも数えるらしいよ。確かに見た目が橋のようだね。なんだかロマンチックね。
数え方っておもしろいね。その物をどのように見るかによって、数え方っていろいろありそうだね。
【次の時間からの読むめあて】
数え方は、物の何に注目してつくられているのか(数え方のしくみ)を見付けるぞ!
アイデア2 物の数え方のしくみを見付ける
アイデア1の課題意識を生かし、文章のキーワードに着目して読みます。物の何に着目しているか(視点)、どのように見るか(特徴)を関係付けることで、数え方が生み出されていることを見付けられるようにします。
▼ニンジンの視点や特徴
ニンジンの細長い特徴から数え方を考えたということは、形に注目しているね。色に注目すると一オレンジだね。
硬くてガリガリかじるということは、歯ごたえに注目しているね。
視点はほかにもあるよ。においや味、手触り、大きさ、温度…。でも、ニンジンは温度では数えられないよ。
物の数え方は、その物がよく分かる特徴を選んで生み出しているんだね。
数え方のしくみとは、数えたい物の何に注目するか、そして、よく分かる特徴を見付けることが大事だね。
▼学習のまとめ例
【物の数え方のしくみとは】
・数え方は一つではない。
・注目した視点によって数え方が決まる。
アイデア3 新しい数え方を生み出す
アイデア2の読み取った視点を手がかりに、それぞれが考えた新しい物の数え方を伝え合い、考えを出し合うことで、自分の考えを楽しく広げることができます。子供が数えたい物のテーマを決めてカードに書き、友達と話し合います。
1.数えたい物が同じグループで話し合う
同じ「給食のおかわり」でも視点が違えば、数え方が多様に広がることを楽しめるようにします。教師もさまざまな数え方を考えておき、行き詰まったときに子供との対話のなかで提示すると多様な考えを引き出せます。
▼「給食のおかわり」の数え方
「一もり」にした理由は、たくさん食べている感じがよく表れているし、元気「もりもり」にもつながっているからだよ。
私も「一もり」だけれど、視点が違っていて、山盛りの「もり」だよ。
僕は、おかわりをしたら、お腹がパンパンになるから「一パン」だよ。同じ給食のおかわりでも、視点の違いによって、数え方が広がるんだね。
先生は、二回よりたくさんおかわりする場合、「三どすこい」を考えました。どうですか。
2.数えたい物が違うグループどうしで話し合う
多様な発想に触れることで、物事を柔軟に捉える素地を養うことにつながります。
▼「給食のおかわり」「わすれ物」の数え方

同じ忘れ物でも、何に着目するかによって、いろんな数え方があっておもしろいね。
「一あせ、二あせ、三なみだ」は回数が増えていくと、数え方が変わっていくんだね。
一うっかりも回数が変わったら、「ウッカリーズ」と英語みたいに複数形になることも考えられるよ。
【単元のまとめ】
はじめは、物の数え方を考え出すことがどういうことか、よく分かりませんでした。しかし、友達と話し合ったり、自分とは違うグループの考えを聞いたりしてよく分かりました。
例えば、数えたい物の何に注目するかが大切だということやその特徴を基に考えることで、数え方がどんどん広がるということです。この学習で考えた私たちのグループのおかわりの数え方が、何十年後かに使われるかもしれません。
イラスト/横井智美
『教育技術 小三小四』2021年1月号より