小6算数「比例と反比例」指導アイデア
執筆/東京都公立小学校教諭・内藤信
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、東京都公立小学校校長・長谷豊
目次
本時のねらいと評価規準
本時の位置 8/15
ねらい
日常生活や算数の学習などの比例が活用できる場面において、比例の関係を生かして問題解決する。
評価規準
比例の関係に着目するよさに気付き、比例の関係を活用した問題解決の方法を考え式や表を用いて説明することができる。

問題
300枚の紙を用意しよう。
実際の紙だと…B5用紙 1枚当たり重さ約3.2g 10枚で32g
学年だよりを印刷するために紙を300枚用意したいのですが、1枚ずつ数えないとだめかな?
重さを量ればわかる。
1枚の重さがわかれば、300枚分がわかる。
1枚だと軽すぎるかもしれないから10枚の重さも量る。
どうしてそれでわかるのですか?
重さは枚数に比例しているからです。
300枚の重さを求めて、その重さ分を用意すればいい。
本時の学習のねらい
比例していることを使って300枚分の重さをもとめよう。
見通し
知りたい情報は何ですか? それを使って何をしますか?
1枚の重さが知りたいけれど、軽すぎてわからないかも。
10枚の重さが知りたい。
1枚の重さを求めて計算して求めます。
表に表して何倍かを矢印でかいて考えます。
この紙は10枚で32gです。
(実物を量ってみせるとよい)
自力解決



1枚分の重さが32÷10=3.2で3.2g
300枚分だから 3.2×300=960
300枚で960g
300÷10=30 300枚は10枚の30倍
比例なので枚数が30倍だと重さも30倍
だから3.2×30=960 300枚で960g
学び合いの計画
本時で大切なのは、今までに学習してきた比例の関係が日常の場面で使えるということに気付くことである。そのために、可能であれば、実際の紙の束(500枚くらい)を用意したり、10枚や20枚の重さを量って比例であることを確認したりする活動もできるとよい。そして、比例の関係を活用して300枚の重さを求めて、その重さ分の紙を用意すればよいことを確認し、本時のねらいを理解できるようにする。
その上で、比例の関係を使うためには「どのような情報が必要か」「何を使って考えて、表現するのか」を整理させることで見通しをもたせたい。
ノート例

全体発表とそれぞれの関連付け
10枚で32gという情報を基に、子どもは式や表を使っていろいろな方法で表現する。それを関連させることを大切にしたい。例えば、発表検討場面で、まず式だけを提示し、それが何を求めているのかを問いかけたい。「300÷10としているけどこれば何を求めているの?」「表を使っている人もいたけれど、違うやり方なのかな」などと問うことで、式の意味や式と表の共通点を見出す活動を通して、それぞれの考えを共有することが大切である。そして、自分以外の考え方にふれることで、自分の考えをよりよく改善していく態度を育てていきたい。その際に、これらの考え方が成り立つのは比例の関係であることを確認することも大切である。
学習のねらいに正対した学習のまとめ
数えないで求めるために何をしましたか。
比例の関係を使って計算した。
10枚や1枚の重さから300枚分の重さを求めた。
300枚分の重さを用意すればいい。
まとめ
数を数えなくても、比例の関係を使えば、10枚や1枚の重さをもとに、300枚分の重さをもとめて、その重さの分だけ用意すればよい。
評価問題
他にも比例を使って求められそうなものはないかな?
子供に期待する解答の具体例
紙の厚さと紙の枚数。
クリップの重さと個数。
同じ重さのたくさんのもの。
『教育技術 小五小六』2020年11月号より